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異世界呪われた救世主〜異世界召喚されたら呪いで女に。呪った奴はぶっ飛ばす〜  作者: 陽月純
第五章 豊穣と異変

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回復無効の呪い

 ソーンマッシュアサルトの弱点は分かった。だが、<重竜牙>の副作用で片腕しか使えない俺がどこまでやれるだろうか?


「サキ、ヘルモードにはなれないのか?」

「まだ駄目。あと一時間は使えないよ」

「そうか。分かった。ミコト、戦乙女になって、あいつの茨を斬ってくれないか?」

「それは良いけど、どうするの?」


 ミコトもサキも茨を斬って、俺がどうするつもりなのか気になるようだ。


「どうもこうもないよ。あいつを倒すんだ。左腕が動くようになるにはまだ時間が掛かりそうだから、あいつの攻撃を捌きながら反撃するのは厳しそうだからさ」


 俺の言葉に二人は納得してくれた。サキの<インフェルノ>では茨を燃やすだけで本体に届かず、ミコトも聖魔、戦乙女共に決定打に欠ける。こんな時にノゾムやミサオが居てくれると助かるのだが。最悪、ヒデオでも構わない。だが、居ない人間に期待してもしょうがない。ここに居るメンバーでどうにかするしかないのだから。


 早くソーンマッシュアサルトを倒して、背後のソーンマッシュドラゴンを相手にしなければ。今は回復に専念しているみたいだから、ソーンマッシュアサルト一体に集中出来るが、傷が癒えれば背後からも攻撃されるだろう。何より、折角与えたダメージが回復されてしまうのも癪だ。


 ミコトがホーリーランスを構える。俺は小さく頷くと、ミコトが前へと出る。


「やあっ!」


 気合いと共にミコトはソーンマッシュアサルトに突きを出す。その攻撃をソーンマッシュアサルトは、俺の最初の打撃を躱した時と同じように穴を開けて突きを防ぐ。だが、それは悪手だ。


「これなら!」


 そのままミコトは横に薙ぎ払い、ソーンマッシュアサルトの茨を斬る。筈だった。


「え?」


 ソーンマッシュアサルトはミコトの薙ぎ払いに合わせて、茨を操作して、槍の軌道から茨を無くす事で、斬られる事なくミコトに反撃をする。


「こいつ! させるか!」


 ミコトを捕らえようと伸びてくる茨に向けて拳の炎を投げつける。ギリギリのタイミングで茨を燃やし、ソーンマッシュアサルトが再生する間にミコトは、その場から離れることが出来た。


「ありがとう。アスカ」

「いや、まさかあんな避け方が出来るとは思わなかった。間に合って良かったよ」


 元に戻ったソーンマッシュアサルトは、茨を組み始め、三本の砲塔が出来上がる。


「さっきの砲塔か! それも三門! 二人共回避するんだ!」


 俺の呼び掛けと同時に、三門の砲塔から俺たちに向けてブレス攻撃が発射される。


「だめっ。避けきれない!」


 サキにブレスが当たってしまった。幸いにも、三門に分かれていたため、威力も従来の三分の一に落ちていたようだ。クリスタルローブに穴は空いたが体の傷は命に関わるほどではなかったようだ。


「サキ!? 大丈夫? 駄目かもしれないけど一応掛けてみるね」


 ミコトはサキに<ヒール>を掛けると、サキの傷はみるみる治っていく。


「あれ? サキには効果があるの?」


 ミコトは自分の魔術に効果が見られ戸惑いを見せる。直ぐに俺にも掛けてくれたが、やはり俺には効果がなかった。


「アスカだけ<ヒール>が効かないみたい?」

「それってもしかして俺に問題があるってことなのか?」

「分からないけど、たぶん」


 回復出来ないのは不味いが、今はソーンマッシュアサルトを倒すことを優先しよう。


 そのソーンマッシュアサルトは再びブレス攻撃をするつもりなのだろう。三門の砲塔をこちらに向けたままだ。


「ミコト、もう一回頼む」

「分かったよ」

「僕も手伝うよ。先ずは僕から!」


 サキが二つのチャクラムをソーンマッシュアサルトを挟むように投げ、<アブソリュートゼロ>を使う。成程。凍らせて行動を阻害するのか。


 ソーンマッシュアサルトの茨が凍りつき動きが鈍った所にミコトが飛び込んでいく。


「これならっ!」


 ソーンマッシュアサルトの手前で止まったミコトは、手に持つホーリーランスを十字に振るう。


「<ホーリークロス>」


 凍って動きの鈍くなったソーンマッシュアサルトは、ミコトの十字斬りを避けることが出来ずにまともに受ける。十字斬りの当たった場所が白く眩く輝くと爆散した。


「凄いな。お陰で邪魔な茨が無くなった」


 ソーンマッシュアサルトが無くなった茨の再生を始める。


「ほら、再生している暇は無いぞ」


 <瞬歩>で近付き、無防備な茸に手を当てる。


「これでどうだ! <烈波>ぁ!」


 茸が爆発を起こすと茨の再生が止まる。だが、まだ光の粒子となって消えてはいない。まだ足らないのか。


「アスカ! 任せて!」


 ミコトがホーリーランスを茸に突き刺した。それでもまだ消えない。


「いい加減にくたばれよ!」


 俺は<換装>で右手の装備をカオティックナックルに再び変えると、串刺し状態の茸を殴りつけた。その衝撃でソーンマッシュアサルトは吹き飛んで行く。


 串刺しになっていた部分からパックリと裂けた状態で地面に転がるソーンマッシュアサルトにサキが止めの<インフェルノ>を放つ。


 ソーンマッシュアサルトは燃えながら漸く光の粒子となって消えた。


「やっと倒せたな。後は、後ろで傷を癒しているドラゴンだけだな」

「うん。でも、もうその傷も殆ど治ってしまっているね」

「本当だ。でも、あのきのこ頭を倒せたから良かったよね。あれとドラゴンの二体を同時には無理だったよ」

「そうだな。さて、再戦の前にこっちも回復しておかないとな」


 二人が頷き、俺は<練気>を使って<烈波>によって消費したOPを回復しようとした。その時に異変を感じ、直ぐに<練気>を中断する。


「おかしい……、MPをOPに変換出来ない?」


 これはミコトの回復魔術が効かないのと関係があるに違いない。


 体の異変に漸く気付いた俺は、ステータスプレートの状態欄を確認すると、その理由がそこに載っていた。


「嘘だろ。回復無効の呪い? いつの間に」


 呪いのせいであらゆる回復が無効になっていた。

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