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異世界呪われた救世主〜異世界召喚されたら呪いで女に。呪った奴はぶっ飛ばす〜  作者: 陽月純
第五章 豊穣と異変

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グレイシア到着

 グレイステラにモンスターが現れ始めてから三日目。漸くグレイシアへと辿り着いた。エスティレと繋がっている海底洞窟からは、本来であれば四日の所が、モンスターの出現の影響で、五日掛かった。


「やっと着いた。ここがグレイシアだよ!」


 サキが手を大きくL字に開いて、グレイステラの首都、グレイシアの街を紹介する。


 広い大地のグレイステラの首都。しかも、他の大陸へ物資を輸出しているということもあって、街は活気付いていた。モンスターの出現を住人たちは気にしていないようだ。


「凄いな。他の大陸の首都とは大違いだ」

「そうだね。人も多いし、活気溢れているし、何より」


 ミコトが入口から街中を見渡し、


「こんなに人が居るのに花や木も一杯。素敵な街ね」


 そう。人の行き交う道の端には、街路樹や花が溢れ、とても心が和む風景だ。


「バルディアが花や木々を大切にするように言っているからね。それじゃあ、バルディアの所に行こうか。早く状況を説明しないと」

「そうだな」


 俺とミコトは頷くとサキは歩き始めた。


 尤も、バルディアは今の状況については、もう把握済みだと思うけどな。


 バルディアの下へ向かい歩き始めて一時間。それらしき建物はまだ見えない。


「サキ、まだ着かないのか?」


 俺は思わずサキへと質問すると、サキは立ち止まり、首を横に振って答えた。


「ううん。もう着いたよ」

「え? サキ、ここには何も無いけど?」


 ミコトも疑問をサキに投げかける。それはそうだ。目の前には建物も無いし、地面には魔術陣も無い。どう見ても道の真ん中だ。


「二人共、よく見てよ」


 サキはそう言うと空を指差す。俺たちは、サキの指した空を見上げると確かにそれは存在した。


「「空中庭園!」」


 俺たちの頭上に大地が浮かんであった。これがバルディアの居る空中庭園なのか。でも、地面に影が無い。どうなっているんだ?


「何で影が無いんだ?」

「あ、それはねバルディア曰く、空中庭園が日陰を作ったら植物の成長を邪魔しちゃうからって、魔術で影を作らないようにしているんだって。僕もどういう理屈でそんな事が出来るのか分からないから、これ以上は聞かないでね」

「そう、なのか?」


 魔術で影を消すって、消した所で、日光は遮っているだろう?


「それより、二人共行くよ」

「行くってどうやって?」


 サキがミコトの質問に答えるよりも早く、空中庭園の底が赤く光ったかと思った矢先、目の前の風景が変わった。


「もう着いたよ。空中庭園から魔術でここに転移させられるんだよ。さぁ、バルディアはあの建物の中に居るよ。行こう!」


 ここは下の街並みに劣らず、いやそれ以上に草木が綺麗に整えられており、正しく庭園と呼ぶに値する。そんな中に一つだけ庭園の中心にある建物がバルディアの居る所らしい。女神が住まうという割には、質素と呼ぶ程でも無いが、豪華でもない。至って普通の家と言えば良いのか。その中へサキは入っていく。俺たちも続いて中へと入った。


「バルディア! ただいま!」

「お帰りなさい。サキ。ご苦労様でした」


 サキの呼び掛けに応じて、二階からバルディアが下りてくる。金髪に青い目の美しい顔立ちは大抵の人が想像する女神像と言っても過言ではない。


「凄い美人……」


 ミコトも見惚れている。ただ、一点そんなバルディアにも残念な所があった。


「きゃ!」


 バルディアは階段を踏み外し、一階まで転げ落ち大きな音を立てて倒れ込む。


「またかぁ。本当にバルディアはドジだね」

「う、ぅんっ」


 バルディアは転げ落ちたのを誤魔化すように咳払いすると、


「ご苦労様でした。サキ。そして、プリメラの召喚した方。あと、貴方は変わった加護を得ているようですが?」


 バルディアは俺を見て首を傾げている。龍神アルバの力が少しずつ戻って、アルバの事は認識され始めていたかと思っていたが、バルディアは分からないようだ。


「はじめまして。俺はアスカです。龍神アルバの加護を受けています」

「はじめまして。プリメラ様の加護を授かっているミコトです」


 アルバの名を聞いても分からないといった様子だ。


「龍神アルバ?」

「そうだよぉ。思い出さないかなぁ?」


 アルが<空納>の中から現れ、バルディアの目の前に飛び出してくる。


「竜の子? あら、貴方は救世主だったのね」


 救世主は認識しているみたいだが、アルバについては分からないようだ。


「残念だなぁ。でもぉ、すぐに思い出すよぉ」


 アルはバルディアがアルバの事を思い出さない事については気にしていない様子だ。


「それより、バルディア。大変だよ」

「分かっています。花達から情報が入ってきていますから。私の大地にモンスターが現れたのでしょう」


 サキがモンスターの出現を報告しようとしたが、やはり俺の予想通りバルディアは今の状況を花を通して知っていた。


「うん。それで……」


 サキが話を続けようとした時、アルの体が光り出す。


「え?」

「おい! アル! まだ話の途中だぞ」

「僕のせいじゃ無いよぉ。本体だよぉ!」


 アルの言葉と共に当たり一帯が白い光に包まれ、何も見えなくなった。


「ねぇ、これは何? 何も見えないけど」

「サキ、話の途中にごめん。アルバがアルを通じてバルディアと話を始めたみたいだ」

「そうなんだ」

「いつもは、光った後、直ぐに戻っていたけど、今日のは長いな」


 アルが発光して十分程経って、漸く光が収まった。


「バルディア大丈夫?」


 サキが光の中から戻って来たバルディアが落ち込んでいる様子だったので、心配して質問する。


「大丈夫です。私の母である筈の龍神アルバの存在を忘れていた事にショックが大きかっただけですから」


 そう言ってバルディアはサキに微笑み返す。


「アルバの話によれば、私の大地にモンスターが現れるようになったのは、やはり邪神の影響だそうです。アルバも私達から力を取り戻し、本来の力に近付いているそうですが、邪神も同様に力を取り戻しつつあり、過去の状態に世界が戻りつつあるとの事でした」

「それって、昔はこの世界中にモンスターが存在していたってこと?」

「はい。アルバと邪神はそもそもこの世界の神では無く、異世界からやって来ています。その時には既にこの世界にはモンスターも人も存在していたそうです」

「え?」


 バルディアの一言に俺は思わず疑問の声を上げる。


「どうしましたか?」

「いや、今、アルバと邪神がこの世界の神じゃ無かったって?」

「はい。そう言いましたよ。そうですね。まだジェダがの力を返していないので、全てを話す事は出来ませんが、話せる所まで話しましょう」


 バルディアは、龍神アルバと邪神について語り出したのだった。

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