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異世界呪われた救世主〜異世界召喚されたら呪いで女に。呪った奴はぶっ飛ばす〜  作者: 陽月純
第五章 豊穣と異変

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異変

 サキの案内でグレイシアに向かっている途中見かけるのは、果樹園や広大な畑。本当にモンスターが徘徊することもなく安全なのだろう。自然豊かでのんびりした雰囲気だ。


「本当にモンスター居ないんだな。農家の人も伸び伸び仕事しているし」

「そうだよ。豊かな大地なんだ。ここは。召喚された場所がここで良かったと思うよ」

「私の召喚されたエスティレも緑は豊かだったけど、ここまでは無かったな。モンスターも出るし」

「バルディアの力が強いってわけじゃなくて、この大地が単純に作物が育つのに適しているみたい。モンスターが出ないのは、バルディアもよく分からないって言ってたよ」


 モンスターが出ないのは、邪神の影響が少ないからなのだろう。何故影響が少ないのかは分からないが。


 首都グレイシアまでは四日程掛かるらしい。かなり広い大地みたいだ。益々モンスターが出ないのが不思議だ。


 そして、グレイシアに向かって二日目。


「やっと半分。あの洞窟、本当に遠かったなあ」


 サキが溜息を吐く。


「そうだな。でも、確かに遠いけど、ここは緑が多いから歩くのも苦じゃないぞ」

「そうだね。サウザートの砂漠とは違うよね」

「二人共、砂漠の旅とかしたんだ。きつそうだけど、ちょっと羨ましいかな」

「そうか?」

「うん。だって、向こうでも砂漠は歩くことなんて無いよ。一度は歩いてみたいかな」

「そんなに良いものでも無かったよ」


 他愛もない話をしていると、遠くの果樹園が何だか騒がしい。


「あそこの果樹園、何か様子がおかしくないか?」

「そうだね。何か叫んでいるみたい。遠くて何を叫んでるのか分からないけど」

「あそこはアペルの実の果樹園だね。リンゴみたいな果物だよ」

「ねぇ、様子を見に行ってみない?」


 ミコトの提案に俺は頷くと、アペルの果樹園へと向かった。


 その果樹園は大きさとしては東京ドーム一つ分位だろうか。果樹園としては、大きい方では無いみたいだが、近付いた事で騒がしかったのが、悲鳴である事が分かった。


「何で悲鳴が?」

「ちょっと調べてみる。<探知>」


 <探知>を使ってその理由が分かった。


「サキ、モンスターは出ないって言っていたよな?」

「うん。このグレイステラでは、出ないよ。え!? まさか!?」

「そのまさかだ。果樹園の人たちはモンスターに襲われているみたいだ。急ぐぞ!」

「「うん!」」


 俺たちが果樹園に着く頃には従業員は怪我をした人は居るものの、何とか全員が果樹園から避難した所だった。


「大丈夫ですか?」


 ミコトが果樹園の外に避難していた怪我人の一人に尋ねると、


「はい。大した傷ではないので、私は大丈夫です。向こうにいる園長が、私たちを庇って怪我が酷くて。旅の方、すみませんが助けて戴けないでしょうか?」


 ミコトは、首を縦に振り園長の下へと案内された。


「すみません。何があったのか教えてくれませんか?」


 俺は無傷で逃げ出せた従業員に話を聞こうと尋ねると、その従業員は俺の腕を掴み、恐怖で震えながらもしっかりと答えてくれた。


「も、モンスターだ! こんな事は初めてだ。あんたらも早く逃げろよ! もうここの果樹園はお終いだ」

「大丈夫です。俺たちが来たから、そのモンスターは任せて下さい」

「何を言っているんだ! 君達みたいな女の子が勝てるわけ無い! 馬鹿な事は言わないで逃げなさい! もうあそこには誰も居ないから! 無理に行く必要は無い!」

「大丈夫。俺に任せて。サキ。この人を頼む」

「僕も行くよ?」

「いや、駄目だ。お前の魔導、この果樹園では使えないだろう?」

「あ、そうか。果樹園が灰になっちゃうね」

「そうだよ。男になれる時間だって短いんだから、ここは俺に任せろ」

「お、おいっ!」


 俺はモンスターがいる果樹園の中へと駆け出した。


 <探知>で確認したのは、十体。この果樹園に万遍なく散らばっている。そして、再確認するつもりで、<探知>をもう一度使ってみるが、配置は変わっていなかった。


「従業員を襲うにしては妙な感じだ。取り敢えず、外側から順番に片付けよう」


 一番近い位置にいるモンスターの下へ向かうことにした。


 モンスターの反応があった場所へ辿り着いたが、モンスターの姿が見えなかった。


「おかしいな。何処にいるんだ?」


 従業員も襲われていたし、<探知>の反応も確かにあった。それなのに肝心のモンスターの姿が見えない。


「何処だ? 姿を消せるモンスターなのか?」


 ここに来る前にどんなモンスターだったのか話を聞いておけば良かったと思う。


「俺が来るのに気が付いて逃げたのか?」


 確認のため、<探知>を使うと、目の前にモンスターが居るようだ。


「どういうことだ? 目の前にはアペルの樹しかないぞ?」


 <探知>を誤魔化す能力でも持っているのだろうか? 実は一体しか居らず、ダミーの反応を残して、背後から襲っててくるとか?


 別の反応がある所へ向かおうと走り出した時、頭上から何か降ってくる気配を感じた。


「何だ!?」


 ふと上を向くと、自由落下したとは思えないアペルの実が俺の方へと落ちて来ていた。


「アペルの実? 危なっ」


 落ちてくる実を避けると、実は地面にぶつかり爆発する。


「え? 果実が爆発した?」


 爆発する果実なんて育てるか? そんな事を考えていると、更に三個のアペルの実が降ってくる。物凄い勢いで。


「これは、絶対偶然じゃない。まさか!?」


 降ってくるアペルの実を避けて、目の前のアペルの樹に<鑑定>を使う。


「まさか、この樹がモンスターだったのか」


 鑑定結果、目の前にいるのは、トレントと頭の中に情報が入ってきた。


 この大きな樹がモンスターとは。見た目は周りのアペルの樹と何も変わらない。今まで擬態していたのだろうか。いや、それなら、もっと前にこの果樹園の人たちは襲われていたに違いない。それに、バルディアが植物から情報を入手出来るのなら、知らないはずが無い。


「何故ここにトレントが現れたのか分からないけど、今はそんな事を考えている場合じゃないな」


 タイガーフィストを装備して、目の前のトレントに向かっていく。トレントは、再び頭上からアペルの実を降らしてくる。


「動けないのか? だから従業員の人たちも逃げ出す事が出来たんだな」


 動けないのなら攻撃を当てるのも簡単だ。幹を思い切り殴った。


「これは、全然効いてなさそうだな」


 硬かった。全くダメージが入っているとは思えなかった。


「火が効果ありそうだけど、それじゃあサキを置いてきた意味が無い」


 さて、どうするか?

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