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異世界呪われた救世主〜異世界召喚されたら呪いで女に。呪った奴はぶっ飛ばす〜  作者: 陽月純
第五章 豊穣と異変

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邪神の影響

 グレイステラへ渡る為、船以外の手段が無いかプリメラに相談するため、エスティへと向かっていた。


「アスカ、ポーラが意識を取り戻していて良かったね」

「ああ。本当に。ただ……」

「ただ?」

「あんなに強かったポーラをあっさりと追い抜いてしまったなって。ポーラ、ショックをかなり受けていたみたいだし」


 俺の旅に最後まで付き合ってくれると言っていたポーラが、自分の弱さのせいでついていけなくなっていると知った時の顔は、本当に悔しそうだった。


「そうだねぇ。でもぉ、あの時、ポーラが無事でぇ、付いてきていたとしてもぉ、たぶん、ポーラは途中で抜けていたと思うよぉ」

「アル、どうして?」

「だってぇ、ミコト、よく考えてよぅ。君達とポーラじゃぁ、成長のし易さがぁ、違うでしょう?」

「そうか。途中で、どうしてもレベルやステータスに差が生まれて、今のポーラのように、自分は足手まといだからって、抜けていたかもしれないのか……」


 アルの言いたい事は分かった。それでも、ポーラとは一緒に旅をしてみたかった。俺のこの世界の一番の恩人であることには間違いないから。


「そうかもしれないけど。今度、ポーラのリハビリに付き合ってあげようよ。ポーラが魔術を使えるように、私ももっと凄い回復魔術を覚えたいな」

「そうだな。その為にも、グレイステラに渡らないと」


 そんな話をしながらエスティへと向かっていると、遠目に何かが動いているのが見えた。


 遠目でも人では無いのだけは分かる。きっとモンスターだろう。この辺りのモンスターなら今の俺たちなら大した事はないはずだ。


「ミコト」

「うん。モンスターだね」

「二人共ぉ、頼んだよぉ」


 数は二体か。まだ向こうはこっちに気付いていないが、前にここを通った時は、あんなモンスターは居なかった。全身が青色で、鎧を着ているようだ。ゴブリンの亜種なのかもしれない。


「よし、先ずはこれで様子見だな」


 俺は闘気を練り、<気弾>をモンスターに向けて放った。


 光弾が真っ直ぐにモンスターに向かって飛んで行き、着弾までの距離が半分を過ぎた所で、モンスターは気が付いたようだ。


 今更気付いても手遅れだと思っていたが、考えが甘かった。モンスターが何か動きを見せると、光弾が横一文字の形で半分に別れ、モンスターに届く前に爆発をした。


「嘘だろ!? この辺のモンスターにあんな真似出来るような奴が居たのか!?」

「<ホーリーランス>!」


 ミコトが別の一体に放った<ホーリーランス>も剣のような物で弾き飛ばし無傷だ。


 ミコトの<ホーリーランス>はともかく、俺の<気弾>でこっちに気付いたモンスターたちは、こっちに走って来るかと思ったが、来る様子がない。


「こっちに気付いてるはずなのに、気にも留めていないのか?」

「アスカ、あのモンスターは何か嫌な感じがするよ」

「ねぇ?」

「何だ? アル」

「僕の感覚が正しければぁ、あれ、邪神の気配を少しだけ感じるよぉ」

「「え?」」


 邪神の気配だって? 邪気は感じない。だけど、アルが言うのだから間違いはないのだろう。


「つまり?」

「一筋縄ではいかないってことかなぁ」

「だろうな」


 ミコトの疑問にアルと俺が答える。実際、俺たちの先制攻撃はあっさりと防がれた。


 ただ、気になるのは全くこっちに攻めてくる気配が無い事だ。邪神の影響を受けているモンスターなら、今のでこっちに突撃してきそうなものだが。


「無視して、迂回すればやり過ごせたりしてな」

「流石にそれは無いんじゃない?」

「アスカぁ、馬鹿なこと言っていないでぇ、早く倒してよぉ」


 しょうがない。攻めて来ないならこっちから行くしかないか。どのみち、放っておく訳にもいかないだろう。正直、この辺りの冒険者たちでは、全く歯が立たないと思う。


「行ってくるよ」

「私も援護するね」

「頑張ってぇ」


 俺は二体のモンスターに向かって駆け出し、それを合図にミコトが<ライトボール>を放つ。


 だが、光球はモンスターに届く事はなかった。<気弾>同様に、モンスターの一体がゆらりと動いたかと思うと、横一文字に真っ二つに切り裂かれてしまった。


「こいつら遠距離からの攻撃に対する迎撃力が高過ぎる。やっぱり近接戦か」


 <フラッシュムーブ>で一気に距離を詰め、モンスターの姿をはっきりと見て驚いた。


「こいつら、スライムなのか!?」


 青色のゼリー状の体が、人のような形状を取り、一丁前に鎧を着込み、剣を持っている。


 一先ず、鎧に被われていない剥き出しのゼリーボディに一撃を入れてみたが、ぷるんと揺れるだけ。


「やっぱり、殴り耐性が高い。でも、このタイガーフィストは殴るだけじゃないぜ!」


 タイガーフィストの爪を伸ばしクロー形態に変える。すると、目でも付いているのか? さっきまでは気にも留めていない様子だったスライム? が俺の動きを警戒し始めた。


「警戒しても、俺の動きについてこれていないだろっ!」


 爪で斬りつけるとゼリーボディが引き裂かれて飛び散った。やはり、スライムと同じで斬撃は通じるようだ。<アクセルブースト>を使っているお陰でスピードも俺の方が圧倒的に速い。同じ大きさなら攻撃が当たるような事も無い。


「それにしても、中々しぶといな」


 さっきから一方的に攻撃はしているのだが、未だに倒れない。<鑑定>を使ってみる。数字では見えなくても、残りのHPの割合は分かる。それを見て驚いた。


「は? 嘘だろ」


 このモンスターはスライムソルジャーという名前だった。それは別に驚かない。


 だが、俺が驚いたのは、HPバーの方だ。攻撃すれば確かに減っている。減っているけど、その場ですぐに回復しているのだ。


「こいつ、一撃で倒すか、回復力以上のダメージを連続で与えるしかない」


 そして、俺が鑑定結果に驚いている間に、もう一体が俺の背後に回り込み、前後で挟まれる形になってしまった。


「しまった! 油断した!」


 前方のスライムソルジャーが剣を振り上げ、後方のスライムソルジャーが刺突の構えを取る。俺は二体に背後を取られないように体を、九十度回り左右に迎えるようにした。


 右方のスライムソルジャーが剣を突き出すと、左方のスライムソルジャーも剣を振り降ろす。互いに俺との距離は離れていて、剣の間合いではない。


「まさか、アーツか!」


 咄嗟に背後に飛び退けば、突きを放ったスライムソルジャーの体が縦に真っ二つに割れ、剣を振り降ろしたスライムソルジャーは、突き出された剣の先から生じた衝撃波が前方のスライムソルジャーの体の真ん中に風穴を開ける。


「同士討ち、馬鹿だな。このチャンスは逃さない!」


 真っ二つになったスライムソルジャーは一つに戻ろうとしている。そこに<気弾>に毒を合わせた<毒弾>を挟み込ませた。


 風穴の開いたスライムソルジャーは、全く動かない。どうも麻痺しているようだ。動かない間に、もう一体同様に<毒弾>を穴の中に入れる。


 スライムソルジャーは毒を吸収してしまい、苦しみ藻搔いている。成程。毒が有効と。


「<ホーリーランス>!」


 隙ありとばかりにミコトも、<ホーリーランス>で追撃をする。


「俺もボサッとしていられないな! <双牙>、<瞬迅>!」


 右方のスライムソルジャーがその場で、べちゃぁと水溜りのように地面に広がる。倒せたのか?


「たぶん倒したんだよな? もう一体! <虎連牙>!」


 残りの一体も<虎連牙>の連撃を当てると、地面に広がった。


「邪神の影響で、光の粒子にならないのか?」

「そうだろうねぇ。というわけで、僕のぉ、出番かなぁ」


 アルが口を大きく開き、スライムソルジャーの死体を吸い込み、スライムソルジャーの着ていた鎧と剣だけが残った。


「海のモンスターが活発になったのって、邪神の影響かもね」

「そうかもな。こんなのが出て来たし」


 この先、再び遭遇するかと思っていたが、エスティへ向かう道中、スライムソルジャーと遭遇することもなく、無事にエスティへと到着するのだった。

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