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異世界呪われた救世主〜異世界召喚されたら呪いで女に。呪った奴はぶっ飛ばす〜  作者: 陽月純
第五章 豊穣と異変

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再会

 グレイステラ行きの船がモンスターの被害が大きくなり、出港出来ないため、その解決に少しでもなればいいかと、海のモンスター討伐の依頼書を確認していた時、背後から声を掛けてきたのは、プリメラの下で治療を受けていると思っていたポーラだった。

 

「ちょっと、何よ。その顔は? まるで死人を見ているような顔しないでくれるかしら」


 俺とミコトの声が出ない。


「ねぇ、何か言ったらどうなのよ?」

「ポーラ?」

「何よ? 私の事忘れたの?」

「忘れる訳ないだろ! 無事だったのか!?」


 目の前に立っているのは間違いなくポーラだ。ヒデオの魔弾にやられ、意識不明になっていたはずのポーラが目の前に居る。


「えっと、そうね。少し前に意識を取り戻したの。心配掛けたわね」

「良かった」

「そうだね。良かったね。アスカ」


 ポーラが無事に意識を取り戻した事を喜んでいると、ポーラ自身は複雑そうに苦笑いをしている。


「まあ、意識を取り戻したのは良いんだけど、私、魔術が使えなくなったのよね。今は、この剣だけが頼りになったからね」


 そう言えば、プリメラがそんな事を言っていた。意識を取り戻さないのは、体内の魔力の循環が狂っているせいだとか。


「魔術も使えないのに、こんな所で何をしていたんだ?」

「それはこっちのセリフよ。貴方達サウスバレンに行っていたんじゃなかったの?」

「向こうの用事は済んで、次はグレイステラに行く予定だったんだ」

「そう。どうやら、私が倒れていた間に、だいぶ力の差を付けられたみたいね。私も頑張らないと」

「それは仕方ないでしょ? ポーラはずっと眠っていたのよ」

「ありがとう、ミコト。でも、事実は事実よ。私は力を付ける為に、旅を始めたの。それで、街や村に寄ったら、モンスターの討伐依頼を受けて、経験を積んでいたのよ」


 それでも、貴方達には追い付けないのでしょうけど。小さく呟く声が聞こえた。


 一緒に旅を出来なくなったのが悔しかったのだろう。少しでも強くなって、俺たちに追い付きたかったのだと思う。


「それで、貴方達はここで何をしていたのかしら?」


 俺はポーラにこれまでの事を話し、次はグレイステラに行こうと思ったが、船が出ずに困っていることを伝えると、ポーラは呆れた顔をしていた。


「船が出ないのなら、プリメラ様の所に行って、相談すればいいじゃないの」

「プリメラ様か……」

「船は無理でしょうけど、他の方法を教えてくれると思うわよ?」


 ポーラの言う事も一理あるか。


「そうだな。ここで悩んでてもしょうがないし、ミコト、それで良いかな?」

「私は良いよ」

「ポーラはどうする?」

「私は……、たぶん足手まといになると思う。もっと強くなって、貴方達の横に立てる自信が付いたら、また一緒に行動しましょう」


 ポーラは自分が足手まといになるのが余程嫌なのだろう。元々は、俺の方が足手まといだったのだから、気にしなくても良いのだが、彼女の表情を見る限り、決心は固そうだ。


「分かった。でも、魔術が使えないんだから、無理はするなよ」

「ふふっ。分かっているわよ。絶対に追い付いてみせるから。あ、でも、その前に、今の貴方達との実力差を知りたいから、ちょっと手合わせ願えるかしら?」

「それは良いけど」


 最近目が覚めたばかりと言うのなら、レベルも前と大差ないはずだ。大丈夫か?


「勿論、本気でやってよ」

「大丈夫か?」

「死ななければ、ミコトに傷は癒やしてもらえるでしょう?」

「分かった。それじゃあ、普段通りの戦い方でやるよ」

「お願いね」


 俺たちは、ギルドから出ると街の外へと向かった。そして、模擬戦をするため、街から離れた場所へ移動する。


「ここならいいかな?」

「ポーラ、大丈夫? 今のアスカはかなり強いと思うよ?」

「その方が良いわ」

「ポーラ、準備はいいかい?」

「いつでもいいわよ」


 俺はいつも通り<アクセルブースト>、<パワーライズ>を使う。


 ポーラが俺に向かって駆け出した。元々Agiは高い方じゃなかったけど、こんなに遅かったか?


 ポーラが剣を振り降ろすが、俺は動きを最小限にして、その剣を躱す。攻撃を躱された事に驚く事もなく、ポーラは剣を横に薙ぐように軌道を変える。


「やるな! でも、今の俺はこの位!」


 ポーラの横薙ぎは、後ろに飛ぶことで躱した。そして、剣を振り終えた所で前に出ると同時に、ポーラの鳩尾を狙って拳を突き出した。


「速い! でも!」

「はっ!」


 俺の狙いを読んでいたのか、ポーラは剣を持たない左手で既に鳩尾を守っていた。


 だが、俺の気合いと共に放った一撃は、ポーラのガードを物ともせず、ポーラを吹き飛ばす。


「そん……な……」


 ポーラは、たった一撃で気を失ってしまった。


 ミコトが気を失ったポーラに<ヒール>を掛けていると、傷が癒えた事で意識が戻ったポーラがゆっくり起き上がる。


「う……ん」

「お、目覚ましたか?」

「大丈夫?」

「えぇ。ありがとう、ミコト。それにしても、アスカ。強くなったわね」

「まさか、一撃でポーラが気を失うとは思わなかった」

「出会った時と立場が逆転しちゃったわね……」


 確かに出会った時は、俺もレベルが低く、ポーラの一撃で気を失っていたな。この世界に来て、三ヶ月位。まだ三ヶ月しか経っていないのか。色々とありすぎて、一年位経っているように感じていた。


「貴方達が来て三ヶ月で私の二十二年を越えられるとはね」

「そうだな。俺たちはこの世界の人たちよりレベルが上がりやすいみたいだ。そうでなきゃデザートドラゴンやエンペラータイガーなんてモンスターと戦えるはずがない」

「え!? ドラゴンとまた戦ったの!?」

「ああ。でも、カオスドラゴンよりもかなり弱いドラゴンだけどな。ポーラも強くなるには、他の女神や魔王の神器や魔器を手に入れると良いよ」

「そうね。でも、今の私には、その挑戦すら厳しいけれど……」


 ポーラは自分の不甲斐なさが悔しいのか、俯きながら小さく呟いた。


「まあ、でも、ポーラが元気で良かったよ」

「心配してくれて、ありがとう。ほら、先を急ぐのでしょう?」

「ああ。それじゃあ、また会おう」

「またね」

「アスカ、ミコト。二人共頑張ってね」

「「ありがとう」」


 俺たちは、ポーラに別れを告げ、プリメラに会うため、エスティへと向かった。

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