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異世界呪われた救世主〜異世界召喚されたら呪いで女に。呪った奴はぶっ飛ばす〜  作者: 陽月純
第4章 宿敵と龍神

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久しぶりの三人(?)旅

 砂の悪魔との戦闘に何とか勝利し、サウスバレンへと戻って来た俺たちは、ミサオとも別れ、久しぶりにミコトとアルの三人? での旅に戻った。


 グレイステラへと渡るには、エスティレのガートリアからの便で渡るか、北の大陸ノルディアイスから渡るかのどちらかなのだそうだ。そもそも南の大陸からノルディアイスへと渡る手段が無いのだから、俺たちにはグレイステラに向かうしか選択肢が無かった事に今更ながら気が付いた。


 ガートリアへと渡るためにサウスバレンの港町ウェステンドへと向かっていた。


 道中、ミコトの新しいジョブである戦乙女(ヴァルキリー)を試した。


 名前から予想はしていたが、予想通り近接戦闘のジョブだった。これでミコトは、回復、魔術、近接と一人で三役こなせるようになり、臨機応変な対応が出来る。


 ただ、ミコト曰く、戦乙女は暫く使わない。使えないらしい。その理由は、装備とアーツだ。近接戦闘用の武器も無く、専用アーツも無い。攻撃魔術は使えるらしいが、威力が牽制程度に落ちているらしく、暫くは聖女と聖魔だけでいくそうだ。


 とはいえ、これまで近接戦闘などしたことが無いということから、ウェステンドに着くまでの間は、俺との組手で経験を積むようにした。


 ウェステンドに着く頃にはそこそこの動きを出来るまでになったのは驚きの一言では表せなかった。ミコトには元々近接戦に対するセンスがあったのだろう。


 そして、ウェステンドに到着しガートリア行きの船を聞くと、二日後に出港するとのことで、二日間が予定が空いてしまった。俺たちは、宿屋で出港まで待つことにして、部屋で休んでいると、部屋の中をグルグル飛んでいたアルが文句を言い出した。


「ねぇ、アスカぁ。暇だよぉ」

「アル、お前、いつも<空納>の中に入って何もしてないくせに、こういう時だけ文句言うなよ」

「そんな事言われたってぇ、暇なものは暇ぁ。ミコトぉ」

「アル、我儘言わないよ」


 ミコトにも諌められ、アルは渋々ベッドの上に降り、ゴロンと寝転んだ。


「とはいえ、暇なのは間違いないな。そうだ、この間の砂の悪魔から手に入れた鱗を<錬装>しておくか」


 俺は手に入れた三枚の鱗を取り出し、その内の一枚を使って、<錬装>を発動させたが、反応が無かった。


「あれ、これも何かと複数で<錬装>しないと駄目なのか?」


 何か他の素材があったか? 何か無いかと考えていたら、前にカオスドラゴンを倒した時に手に入れた素材が残っていたのを思い出した。あの素材、今思えばレベルが足りなかったのか<錬装>しようとしたら気を失ってしまったきり、そのままだった。カオスドラゴンの素材が四つに対して砂の悪魔であるデザートドラゴンの竜鱗が三つ。一つ足りないが、取り敢えず試してみよう。


「アスカ、どうしたの?」


 <錬装>で考え事をしていた俺の様子を見て、ミコトが話しかけてきた。


「いや、<錬装>が上手く出来なかったから、どうしようか考えていたんだよ」

「そうなんだ。私は何をしようかな……」


 ミコトも暇で時間を持て余しているみたいだ。部屋にある椅子に腰掛けたまま、とりあえず俺の<錬装>を見守るつもりのようだ。


 カオスドラゴンの素材は、爪と牙、竜鱗と骨。デザートドラゴンは竜鱗だけ。


「やっぱり、先ずはこの組合せかな」


 鱗同士なら相性が良いかもしれない。それぞれの竜鱗を手に取り、スキルを発動する。相変わらず、OPをグングン吸い取られていく。だが、やはり砂の悪魔の竜鱗は他の素材と合わせる事で武器化出来るようだ。俺の全OPを吸い上げる直前に、二枚の鱗が混ざり合い、形を変えた。


「はぁ、はぁ。で、出来た……」


 出来上がったのは漆黒の篭手。竜鱗を使ったからか鱗模様が綺麗だが、色のせいか悪役が使いそうな武具だ。


「さて、装備してみるか」


 出来上がった武具を装備してみたが、腕が上がらない。


「あれ? 何でだ? 重たいし、腕が全く上がらないぞ?」


 俺は武具を<鑑定>で調べて見ると、その性能に驚きの余り、大声を上げてしまった。


「はぁっ? 何だよ、これ!?」


 カオティックナックル……攻撃力 百二十、耐久値 三百、固有スキル 竜鱗、必要STR  五十以上


 今使っているタイガーフィストの倍以上の攻撃力に耐久値。今までの武具と格が違う。


 そのせいか、使うのに必要なSTRがあるようだ。七十以上。中途半端だが、今の俺は、どのくらいだ?


 久しぶりにステータスプレートのステータス欄を確認する。最近は、スキル、アーツ欄しか見ていなかったからな。


 レベル:35

 HP(体力):471

 OP(闘気):405

 MP(魔力):490

 STR(筋力):46

 AGI(敏捷):54

 VIT(耐久力):28

 INT(知力):20

 MND(精神力):14

 DEX(器用):33

 LUK(幸運):28

 AP(魅力):661


 うわっ。全然足りない。これ、レベルいくつになったら装備出来るんだ。そして、相変わらず、魅力が理由のわからない数字だ。どれだけ高いんだ。外を歩いていると、人に見られるのは、いい加減慣れたから気にしていなかったけど、これのせいなのだけは分かる。


「それにしても、HP、MP、OPも意外と高かったんだな。でも、防御力が紙だから、高くても全然安心感が無い」


 この異様に偏ったステータス。他の皆や、この世界の人たちと比較したら、実際どうなのだろうか?


 これまでは何とかやってこれた。でも、セドニーの力を龍神に返すまでのアルの状態から考えると、邪神の力もかなり上がっていて、いつ復活するのか分からない。もうすぐにでも復活するかもしれない状態みたいだ。


「このステータス、本当に強いのか弱いのか、何か比較出来ると良いのにな」


 俺が<錬装>を終わらせ、独り言を言っていた間に、ミコトが部屋から出て行ったみたいだ。いつの間にか、ベッドの上で寝ているアルと俺の二人だけになっていた。


 ミコトも暇だったから、外に散歩にでも行ったのだろうと思った俺は、残り二枚の砂の悪魔の鱗と、カオスドラゴンの素材を<錬装>で、武具に作り替えた。出来たのは爪と牙からで、カオスファングに、カオスクロー。このどちらもSTRが七十以上必要。骨は、余ったというより、出来なかった。今の俺の全OPを注いでも変化せず、数分気を失ってしまったのだ。つまり、この骨は、もっと強い武具に化けるのだろう。装備するのに必要なステータスが他の物と同じなのかも怪しい。


 俺が<錬装>を終わらせると、ミコトが帰ってきた。俺が武器を作っているのを見て、武器屋に行って、戦乙女の装備でも買えないか確認してきたらしい。


 結果としては、装備出来る物が無かった。剣、短剣、槍、斧など色々試したらしいのだが、装備出来たのは、杖だけ。どれも近接戦闘するような代物じゃなかったらしく、何も買わずに帰ってきたらしい。


「やっぱり、戦乙女は、暫く使えないな」

「うん。折角、新しい力を手にしたと思ったんだけど」

「まあ、聖魔も神器が専用の武器になっているんだ。戦乙女も案外、次の神器で手に入るかもよ」

「そうだと良いんだけど」


 無いものを強請ってもしょうがない。ミコトはあっさり諦め、出港の日を待つことにした。


 そして、出港日が訪れ、俺たちは、船に乗り込み、ガートリアへと向かうのだった。

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