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異世界呪われた救世主〜異世界召喚されたら呪いで女に。呪った奴はぶっ飛ばす〜  作者: 陽月純
第1章 救世主と聖女

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異変の始まり

 駆け込んで来た荒くれ者の冒険者とポーラがぶつかりそうになった。さっと、ポーラが半身を翻し、回避すると冒険者は謝る事もなく、パルの方へと駆けていった。


「どうしました? フレイルさん、そんなに慌てて」

「パル、回復薬だ! 早く!」


 フレイルの剣幕にパルも慌てて奥の部屋へと向かうと回復薬を一ダース持ってきた。


「これでいいですか?」

「ああ、助かるぜ、金は後だ! 急がねぇと、ルーザーが死んじまう!」


 フレイルは回復薬の入った箱を奪うように掴むと、すぐに外へと出ていった。


「何だったんだ? 一体……」


 ポーラがパルの所に事情を確認しに戻って行った。パルから話を聞いたポーラが慌てるように俺の所へ戻ってくる。


「アスカ! 急ぐわよ!」


 俺の手を掴み、ポーラが走り出した。


「おい、そんなに慌ててどうしたんだよ」


 ポーラに手を取られ、走りながら俺がポーラに尋ねるとポーラは前を向いたまま俺の問いに答える。


「新種のスライムが出たらしいの。それで今日はギルドに人が居なかったって」


 新種のスライムが出たくらいでそんなに慌てないといけないのか? 俺が戸惑っていると、ポーラが続けて口にした事で、俺は納得した。


「新種のモンスターを討伐して、素材を持ち帰れば、大金になるのよ。下手すると万を超えるわよ」

「そうなのか。じゃあ、それを倒せば、俺もポーラが立て替えてくれた防具代も払えるか。分かった、急ごう!」


 でも、所詮はスライム。そんなに強いなんて事はないだろうし、もうすでに討伐されてしまっているかもしれない……。そんな事を思いながらも、俺達は走って行った。そのスライムが現れたという草原に。そこにはスライムは居らず、フレイルがボロボロになったルーザーに回復薬を使っていた。


「フレイル! スライムは!? どこに行ったの? あと、どんな奴だったの?」

「ポーラか。あれには手を出さない方がいい。あれはスライムなんかじゃねぇ……。バケモンだ……」

「え、所詮スライムだろ。そんなに強いのか?」

「戦ってない奴が言うんじゃねぇよ。お前なんか速攻で殺されるぞ。あの銀色のスライムに」


 銀色のスライム? それは、某ゲームでも有名なあのスライムなのか? 経験値がいっぱいもらえる。


「なあ、そのスライムってもしかして体は金属みたいに硬くて、攻撃が全く効かないとか……」


 俺の質問にフレイルが驚く。


「お前、あいつを知っているのか!?」

「アスカ、そうなの?」

「いや、知っているというか、何というか……」


 フレイルの反応から察するに、俺の想像しているあのスライムの特徴と一致しているようだ。


「俺の居た世界のゲームに出てくるんだ。その銀色のスライム。メタルスライムが」

「「メタルスライム……」」


 その時、草からガサガサと音が鳴り揺れている。まさか、メタルスライム! 皆が息を呑む。


 ガサッ。スライムが草の陰から出てきた。出てきたのは前に見たスライムとは色が違う。

 だが、その体の色は銀色ではなく、緑色だ。


「メタルスライムじゃない……。でも、緑色って……。ポーラ、こいつは?」

「リーフスライム。普通のスライムと大して変わらないわ。まあ、珍しいといえば珍しいけど。そうね。五十回に一回は出会うくらいの確率じゃないかしら……」


 二パーセントって意外と低いな。そんな奴と遭遇するとは。メタルスライムとなると更に遭遇率は下がるんだろうが、この二人はなんて運が良い奴らだ。まあ、メタルスライムじゃないが、これはチャンスだ。前回のスライムとの戦闘は散々だったが、今の俺ならきっと。


「こいつは俺に任せてくれないか」

「大丈夫? この間みたいにポヨンポヨンなるだけじゃない?」


 ポヨンポヨンって……。まあ、前は実際そうだったから仕方ないけど。スライムも俺の胸も…………。


「大丈夫だよ!」


 まずは、素手で!


 …………あ、ダメか…………。


 リーフスライムの体がプルンと横に流れ、俺の胸も…………。前と全く同じ結果だった。あ、ポーラの目が……。やばい、ちょっと怖い。フレイルは……。俺の胸をガン見してやがる。気持ち悪いな。


「ゴホン」


 俺が咳払いをするとリーフスライムが消化液を俺に向けて飛ばしてきた。半身逸らし、消化液をやり過ごすと<空納>を使い、中からバットタスクを取り出し両手に装着する。


「ポーラ、そんな目で見るなよ。今のは前よりレベルが上がっていたから素手でもいけるか確認しただけだよ。これからが本番だ!」


 一歩前へと踏み出し、右拳を上から叩きつけるように振り下ろす。ザクッ、リーフスライムの体に切り傷がつくと、リーフスライムが後ろへ飛び退いた。


「思った通りだ! いける!」


 リーフスライムを追いかけるように前へと出ると次は左アッパーをお見舞いする。リーフスライムの体が宙へと舞い上がり、それに合わせて右拳を前へと突き出す。俺の拳が当たる直前、リーフスライムの体が緑色に発光していた。何の光だ? このまま攻撃しても大丈夫か? 俺の突きがリーフスライムに命中し、草の中へと吹き飛んで行く。


「今の光、何だったんだ? まあいいや。追いかけないと」


 草の中へと駆け込んでいくと、再び緑色に発光している所を見つけた。


「また光っている? 何だよ。一体」

「アスカ! それは傷を癒す光よ。あなたの攻撃が効いている証拠だから、早く止めを!」


 そうなのか! なら、回復する間を与えないように連続で攻撃を叩き込む!


「これで、終わりだぁぁぁっ!」


 左右の連打をリーフスライムに当てると、リーフスライムは光の粒子となって消えた。そして、そこには緑色の核が落ちている。<鑑定>を使い、その核を調べてみると、


 『スライムの核(緑)』 リーフスライムの核。この核によってスライムのボディを形成している。錬装可能。作製武器:スライムブロウ(緑)。


 これも錬装可能なのか。スライムブロウ(緑)って事は、普通のスライムからもスライムブロウという武器を錬装する事が出来るんだろうな。


「倒したぞ」


 俺はスライムの核を回収し、皆の所に戻る。丁度ルーザーの傷も回復したようで、ルーザーが起き上がっていた。


「アスカ、良かったわ。例の銀色のスライムじゃなかったけど、兎に角、一度村へ戻りましょう。貴方達も。いいわね!」

「「ああ」」


 二人ともポーラの言う事を素直に聞き入れ、村へと戻って行った。村に戻った俺達は、ギルドへと戻るとパルが入り口に走って来た。かなり心配してくれていたみたいだ。


「皆さん! 良かった。無事だったんですね」

「ああ。残念ながら新種のスライムは逃げてしまった後だったけどね」

「そうですか。その事なんですが、どうも最近、各地でモンスターに異変が起きているみたいで、今回の新種のスライムについてもその影響じゃないかって連絡があったんですよ」

「連絡?」


 俺がパルに聞き返すと、パルは頷き話を続けた。


「はい。このエスティレの首都、エスティの冒険者ギルドから。そして、こちらに視察として聖女さま御一行が来られるそうです」


 パルはとんでもない一言を言ったのだった。


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