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異世界呪われた救世主〜異世界召喚されたら呪いで女に。呪った奴はぶっ飛ばす〜  作者: 陽月純
第4章 宿敵と龍神

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ボス攻略

 二体目の蠍を倒し、ミコトたちを手伝おうとした時、目の前に三体目の蠍が姿を現した。


「三体目!」

「セドニーは本当に試練をクリアさせる気あるのかよ!?」


 文句を言った所で、この状況は変わらない。


「ノゾム、こいつは俺が! お前は、攻撃は通じなくても、援護なら出来るだろ! 二人を頼む!」

「おう! 攻撃を引き付ける位のことしか出来ないなら、それをするだけだ!」


 ノゾムがミコトたちの方へ向かおうとしたのが分かったからか、蠍がノゾムの行く手を阻むように立ち塞がった。


「こいつ! 邪魔だ!」


 ノゾムが双剣で蠍の鋏を斬りつけるが、やはり火力が足らず弾かれるだけ。


 だが、やはり攻撃されれば、そちらに意識が向くのは分かった。


「おっとぉ!」


 ノゾムに鋏を突き立てようとしたのを、ノゾムは横に飛んで躱す。更に追い打ちを掛けようとしている所を、俺が足を殴ったことで、今度は俺に意識が移った。


「じゃあ、任せたぞ!」

「ああ、ノゾムも頼んだぞ!」


 俺の呼び掛けに応えるように、右手を上げ走っていった。


「さて、<烈破>はどれだけの威力を叩き込めば良いかな?」


 ノゾムの<ソウルブレイク>二発分でも倒れなかった。あいつの攻撃力は今の俺なら左手に装備しているタイガーフィスト<創装>と同等レベルだ。


 つまり、全力二発以上の威力が必要だ。それならば、やることは決まってくる。


「<連環>!」


 魔力を闘気と結合させる。このスキルの欠点は完全に結合するまでの時間だ。少しずつ紫色の闘気が俺の体を覆い始める。


 蠍も俺が何をするのか感じ取ったのか、猛攻撃を開始する。


 右手の鋏を開いて掴みに掛かり、それを後ろに飛んで躱せば、左手の鋏で突いて来る。それを体を反らし躱すと、そのまま左手の鋏で横払いをされ、両腕でクロスガードをするが、後ろへと吹き飛ばされる。


 蠍は、吹き飛んで行く俺を追い掛けてきて、また右手の鋏で掴みに掛かる。吹き飛ばされていたとはいえ、防御していたのだ。体勢を直ぐに整え、鋏の上に飛び乗って躱す。


 すると、尻尾で突き刺そうと連続で突きを繰り出してきた。


「うわっ、危な、うぉっ、このっ!」


 次々とやって来る致死級の攻撃を躱し続け、漸く紫の光が体を覆い尽くした。


「さぁ、これで終わりだ!」


 突きを躱して前へ出ると、蠍の顔に掌を当て、


「<烈破>ぁ!」


 オレンジ色の光が蠍の体へと入っていき、体内で衝撃波が爆発する。


「良し……、なんとか倒せたな……」


 光の粒子となって消える蠍を前に、片膝を地面につく。<連環>で闘気も魔力も略使い切り、疲労感が半端ない。


 早く回復して、ミコトたちを手伝わないと。<癒やしの光>と<練気>を同時に使い、回復した魔力をそのまま闘気に変換させる。暫くは動けそうにない。向こうを見ると、ノゾムの参戦で、少しずつだが、BDの攻撃頻度が上がっているみたいだ。


「いいわよ! アキレス! 蠍の甲殻に罅が入って来たわ!」

『ノゾム殿のお陰で攻撃に集中出来るようになりましたので』

「俺の火力じゃまだダメージが入らない。悪いけど、その罅を砕いてくれ」

『お任せを』


 BDの魔力剣が罅に突き立てられ、更に拡がっていく。


「うぉおおおお!」


 ノゾムが罅の中心部に大鎌へと形態を変えたオールフォームズを突き立て、気合一閃。その甲殻が音を立てて剥がれ落ちた。


「アキレス!」

『はいっ!』


 ノゾムとBDが甲殻が剥がれ、蹌踉めいている蠍に追い打ちを掛ける。剥き出しとなった肉は甲殻と違って柔らかく、ノゾムの攻撃でも簡単に通る。


「アキレス、一気にやって! <パワーブースト>!」

「おぉおおおお!」

『はぁっ!』


 二人の攻撃が同時に剥き出しの肉に突き刺さる。蠍がビクッと痙攣したかと思うと、動きを止め、そのまま光の粒子となって消えた。


 そして、部屋がゴゴゴと音を立てながら揺れ始める。


「今度は何!?」

「地震!?」

「いや、あれを見ろ!」


 ノゾムが指差した方向を見ると、部屋の中心に下から何か台座のような物が、上がってきている。


「あれ、ブラッドの試練の洞窟にあった祠の台座みたい」

「そうね。近付いてみましょうか」

「分かった」


 ミコトたちが台座の方へと歩いていく。俺も行かないと。だいぶ体が楽になってきた。なんとか、立ち上がり台座の方へと歩いていく。


「やっぱりそうだよ!」


 ミサオが台座の前にある文字を見て喜んでいる。


 〝無事、試練を突破した者に褒美を〟


 これまでの大変さをたった一言で済まされてもという気持ちになるが、魔具を貰えるのだから、一先ず喜ぶべきか。


「じゃあ、あたしから!」


 ミサオが台座の上に手を掲げると、ミサオの手が光に包まれる。


「さぁっ! 何かなっ!?」


 光が収まり、手の中にあったのは、蒼い宝石の綺麗なネックレスだ。


「指輪じゃなかったけど、またアクセサリーなの……」


 ミサオはテンションが少し下がり気味だが、交換は出来ないのだから、仕方がない。


「よし! じゃあ、次は俺!」


 ノゾムも同じく台座の上に手を掲げると、ミサオと同じように手が光に包まれ、光が収まると、手の中にあったのは紅い宝石が埋め込まれた指輪だった。


「俺もアクセサリーか。まぁ、武器はオールフォームズがあるから良いか。でも、どうせなら防具の方が良かったけどなぁ」


 ノゾムが台座から離れ、次はミコトの番だ。


「じゃあ、次は私ね」


 ミコトが、手を掲げるとブラッドの時のように体全体が光に包まれた。


「え!?」

「また!?」


 光が消えてもミコトの装備は何も変わらない。これは、ブラッドの時と同じパターンだ。


「これって、きっと、あれだよね?」

「後でステータスプレートを確認しないとだな。よし、最後は俺だな」


 今まで被ることなく全て防具だった。さて、今回は何だろうか?


 台座に手を掲げ、光が手を包み込む。ミサオやノゾムの時よりも光が大きい。


「これは、道着?」


 膝丈くらいの長さがある中国の拳法家とか着ていそうな道着だった。


 そして、俺たち全員が魔器を受け取ると台座が大きな音を立てて下がっていく。


「これで終わり?」

「城への道は無いのかな?」

「いや、魔器を手に入れたのはいいけどよ、肝心の城への道が無いんじゃ、意味が無くね?」

「大丈夫だ。あれを見てみろよ」


 俺は部屋の奥を指差すと、皆がその方向を見る。そこは、この部屋の最も奥の壁。その壁が台座とは逆に上に上がっていく。


「あの奥か?」

「可能性は高いと思う」

「ここで悩んでてもしょうがないよ。行こう!」

「そうね」

「その前に、皆、しっかりと準備をしよう。特にミコトは、また新しいジョブを手に入れた可能性もあるしな」


 各々手に入れた魔具の確認をしてみれば、やはりミコトは新ジョブ戦乙女(ヴァルキリー)だったそうだ。一人で、回復、魔術、物理の三役出来るようになったらしい。


 ミサオは、ウォーター系統の魔術が使えるようになっていた。そして、ノゾムは、新しくアーツを取得出来たらしい。


 俺は、これまでの装備と変わらず、ステータスさえ上がればとんでもない防具に化ける。ステータスさえ上がれば。


 自分たちの状況確認が終わったところで、現れた階段を昇ることにした。

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