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異世界呪われた救世主〜異世界召喚されたら呪いで女に。呪った奴はぶっ飛ばす〜  作者: 陽月純
第4章 宿敵と龍神

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再び地下迷宮へ

 再び地下迷宮へと戻り、歩き続けること一時間。この通路は、罠は無く、モンスターも出て来ず、更には分かれ道も無い。真っ直ぐ、ただ只管に真っ直ぐ道が続いているだけ。


「これまでと全然違って、何も無いけど」

「これ、大丈夫かな? 道は間違って無いよね?」


 ノゾムとミサオが何も起きない事に不安になって、疑問の声を上げる。


「俺だって分からないさ。合っていようが、間違っていようが、進むしか無いだろ?」

「そうだね。あ、あれ!」


 ミコトは俺の言葉に同意した後、前を指差した。


「何かあった? あ!」


 ミサオもミコトの指差した方向を見て、思わず叫ぶ。

 俺とノゾムも前を見ると、成程。扉か何か分からないが、前方が行き止まりになっていた。


「やっと何かあるのか? 待ちくたびれたぞ」

「ノゾム、お前の言い方だと、何か起きて欲しいとしか、聞こえないぞ」

「そういう訳じゃねえけどさ」


 こんなに何も無かったら、逆に不安になるだろ? と言う言葉に、皆、苦笑した。


 辿り着いた行き止まりは、壁ではなく、大きな扉だった。そして、


 〝ここまでよくぞ辿り着いた〟

 〝これより先は、最後の試練〟

 〝これを突破した者には、褒美を与える〟

 〝自信の無い者は、左の魔術陣で引き返し、自信のあるものは、そのまま扉を開き進め〟


 入り口にあった魔術による文字が浮かび上がった。そして、左の壁に、脱出用の魔術陣が現れる。


「城に続く道じゃなくて、魔器を手に入れる為のボス部屋か」

「この先に城へ続く道があるかもしれないね」

「進むしか無ぇだろ?」

「戦力アップにもなるし、行こう!」


 頷き、扉を開き、中に入る。


「何も居ない?」


 扉の奥にはドーム状の空間が広がっていた。スケルトンの群れが居た部屋よりも広い。そこには、何も居なかった。不思議に思いながらも、部屋へと足を一歩踏み込んだのと同時に、部屋の中央が輝き出す。


「中に入ったら現れる仕組みか」

「さぁ、やるわよ。BD、アキレス」


 全員が部屋に入ると、扉が勝手に閉まり、更には消えた。部屋から出さないということか。


「倒すか倒されるか。白黒はっきりさせろって事か。いいね。テンション上がるぜ」


 ノゾムが大鎌を構える。そして、中央の光の中からモンスターが現れた。


「「デカ過ぎだろ!」」


 俺とノゾムの声が重なる。ミサオとミコトは、気持ち悪いのか、嫌そうな顔をしている。


 現れたのは、デカい蠍の形をしたモンスターだ。デザートドラゴンまでは無いが、それでも体長は十メートルは越えている。


 そして、デカい鋏と毒針の付いた尻尾。死を連想させるような黒い色が更に不気味さを増している。


「デカくたって!」


 ノゾムが蠍に向かって駆け出す。それに合わせて、BDも駆け出す。


「<ライトボール>」


 ミコトの放った<ライトボール>が蠍に命中するが、全くダメージを受けていないのか、傷一つ付いていない。


「そんな、無傷なの!?」

「俺に任せな! オラァ!」


 ノゾムが気合を込めた一撃を蠍に当てるが、大鎌はその硬い皮膚に弾かれてしまい、これもまた無傷。


「嘘だろ!」


 自分の攻撃が通じなかったショックで動きを止めた所を大きな鋏で払われて、ノゾムは吹き飛ばされた。


「ノゾム!」


 俺は、<フラッシュムーブ>で蠍の背に乗り、拳打を打ち下ろしていたが、やはり俺の攻撃も全く通じてない。吹き飛ばされたノゾムに呼び掛けた所で、尻尾で払い落とされてしまった。


「がはっ」


 こいつは、なんてパワーだ。まともに受けたら洒落にならないぞ。


「ギィイイイ」


 蠍が雄叫びを上げた。どうしたのかと思えば、BDの魔力で作った剣の攻撃は効いたようで、両手の鋏でBDを捕まえようと暴れ始めた。


『むぅ。危ない。こいつ、私ばかり狙って、うわっ』


 鋏を剣で弾いた所を尻尾の毒針で串刺しにされかけた所を、後ろに飛んで躱す。


 毒針の刺さった床がドロっと溶ける。


「毒で溶けた! アキレス!」

『分かっています。分かっていますが……』


 蠍の防御力が高過ぎる。セドニーは何で、こんなに強力なボスを用意しているんだと皆が心に思っていた。


「ノゾム、<ディメンジョンスラッシュ>か<ソウルブレイク>ならいけるんじゃないか?」

「ああ。その二つならダメージを与えるのは与えられそうなんだけどよ」


 ノゾムはあまり二つのアーツを使いたくなそうなので、聞いてみた。


「何だ? 何か気になる事でもあるのか?」

「うん? ああ。あいつの体の大きさ的によ、この部屋広すぎないか?」


 そう言われると、確かにあの蠍はデカい。だが、この部屋の広さからしたら、まだあと三体はあのサイズのモンスターが同時に現れても、問題無く戦える広さはある。


「おい、まさか」

「嫌な予感しねぇか?」


 ノゾム。それはフラグという奴だ。何で口にしたと心の中で文句を言ったが、それは既に遅かった。


「あちゃあ。やっぱりかよ」


 そう。吹き飛ばされた俺たちの前に、光が起こり、その中から二体目の蠍が現れたのだ。


「ノゾム! お前が余計な事言うから!」

「俺のせいじゃねえよ!」


 蠍は早速俺たちに向かって突進してくる。


「くそっ! これじゃあMP保たねぇぞ。でも、やるしかねぇ」


 ノゾムは大鎌を双剣に変化させる。


「これで、一回で二発分だ。喰らえ! <ソウルブレイク>ぅ!」


 双剣が黒く染まり、十字に黒い剣閃が蠍の体を貫く。


「ギィアアアアッ!」


 蠍の絶叫が上がるが、まだ生きていた。


「嘘だろ。<ソウルブレイク>二発分でも死なないのかよ!」

「任せろ! <烈破>ぁ!」


 蠍の上に乗り、拳を叩き付け、体内へと衝撃波を徹すと、蠍は光の粒子と化した。


「俺とお前の防御力無視攻撃で何とか倒せるのか。よし、あれも同じ手で行こうぜ」


 ノゾムは、異空間収納袋から魔力回復薬を取り出そうとしたが、異空間収納袋が機能しない。


「うわ、やべぇ。ここ、異空間収納が使えない! 俺、もう何の役にも立たねぇ」

「おいおい、どこまで難易度を上げれば良いんだよ」


 セドニーに呆れながら、<練気>でOPを回復させ、<癒しの光>で魔力を回復させる。


「<ソウルブレイク>は無理でも<ディメンジョンスラッシュ>ならいけないか?」

「いや、さっきのサウザート兵達との戦闘で消費していたから、もう残ってない」

「分かった。じゃあ、俺は行ってくる」


 BDがちまちまとダメージを与えながら、ギリギリの戦闘をしている。早く手伝わないと、いつ攻撃を受けて、BDが動けなくなるか分からない。ミサオ本人は、間違いなく一撃で死んでしまうレベルだ。


 <フラッシュムーブ>を使おうとした時、BDの援護に向かうことは出来なくなった。何故なら、目の前に新たに蠍が現れたのだ。

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