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異世界呪われた救世主〜異世界召喚されたら呪いで女に。呪った奴はぶっ飛ばす〜  作者: 陽月純
第4章 宿敵と龍神

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戦場終結

 サウザート兵たちの中に飛び込んだ俺は、目の前の兵に向かって飛び出すと、キマイラブロウの熟練度が最大になった事で、修得したスキルを両拳に発動させる。


 それは、二つのスキル。<麻痺>と<誘眠>。右に<麻痺>、左に<誘眠>。どちらも状態異常を引き起こすスキルのため、相手を殺さずに、戦闘不能で終わらせるのに丁度良い。


「痺れるか、眠るまで殴る!」

「何だ!? この女!」

「おい! あの女、セドニー様から捕縛命令が出ている女じゃないのか!?」

「そうだ! あんな攻撃が殴る奴なんて、他に居ないだろう!」


 うん? 俺の捕縛命令が出ているなんて声が聞こえたけど、取り敢えず無視。


 ノゾムもさっきの兵士の声が聞こえたのか、俺の方を見て、どういう事だ? と言わんばかりの表情をしている。そんな顔をされても、俺だって分からないんだ。首を横に振り、サウザート兵への攻撃を続ける。


 半数近くはテネブラエの<エクスプロージョン>で気絶をしている。そして、俺とノゾムの二人で残っている兵の四割近くを戦闘不能にすれば、サウスバレンの兵たちも一気に攻勢に出て、あっという間にこの場のサウザート兵は全員取り押さえられた。俺たちの下に指揮官が再びやって来た。


「凄いですね。貴方方の力は。こんなにあっさりと戦闘が終わるとは」

「そんな事はないですよ。それよりも被害は?」

「幸い、負傷した者は居ますが、死者は出ていません」

「向こうは? サウザート兵はどうなのよ?」


 ミサオがサウザート兵の心配をするとは思わなかったが、指揮官の言葉に安心する。


「向こうも負傷した者だけで、一人も死者はありません。こんな事ってあるものなんですね?」


 戦争なのだから、死者の一人くらい出て当たり前なのだろうが、俺たちは人殺しをする気は無い。ましてや、この先の戦闘を考えたら尚更だ。


「良かったです。きっと、この先、彼等が生きていて良かったと思う時が来ると思いますので、くれぐれも乱暴なことは控えて下さいね」


 俺が指揮官にお願いすると、指揮官は頷き、


「はい。捕虜を乱暴に扱っては、ブラッド様の顔を汚すようなもの。そのようなことは絶対にしません」

「よろしくお願いします」


 指揮官は俺たちに敬礼をすると、部下たちに指示を出すため戻って行った。


「よし、それじゃあ俺たちも先に行こう」

「でも、どうするの?」

「そうだよ。砂漠を突っ切って行くの?」

「おいおい、それは無いだろう? だって、この先にも戦場はあるんだろ? いちいち構っていたらキリがないって」

「それなんだけど、こっちに来てくれ」


 俺は<エクスプロージョン>で空いた穴へと歩いていく。


「おい、これって!?」

「ああ。地下迷宮への入り口だと思う」


 その穴には見間違いでは無かった。確かに地下へと続く階段があった。


「上り階段の近くにある隠れた下り階段って、何か如何にもって感じがするね」

「どうするのアスカ?」


 行くべきだろう。ただ、その前にサウザート兵に話を聞く必要がある。


「勿論、降りるよ。でも、その前に」

「何かあるのか? あ、あいつらの言ってた事か?」

「ああ」

「何かあったの?」


 ミコトたちには聞こえていなかったみたいで、サウザート兵が俺の捕縛命令が出ていた事を話した。


「何で、アスカを捕まえないといけないのよ?」

「それを聞きたいんだよ」


 捕らえているサウザート兵の中で、誰が指揮官か問いただし、その男に質問をした。


「俺を捕縛するようセドニーが指示を出していたのは本当か?」

「答える必要は無い」

「指示が出ているかくらいは答えてもいいんじゃないのか?」

「答える必要は無い」


 二度の質問に全く同じ答えで返す指揮官に、ノゾムが鎌を首筋に当てる。


「なぁ、何時でも首を落とすことは出来るんだぞ。答えないなら、あんたの首を落として、次の奴に聞いても良いんだけど?」


 物騒な脅しをされても指揮官は顔色一つ変えず、


「脅しても無駄だ。答える必要は無い」


 答える必要は無いの一点張り。ミサオがあたしに任せてと、指揮官の前に立ち、


「ねえ、教えてよ。何でアスカのことを捕まえようとしたの? 教えてくれたら、いい事してあげてもいいかも」

「答える必要は無い。そもそも、お前みたいなのに、欲情などしない」

「な! アスカ! こいつ殺していい?」

「馬鹿なことを言ってんじゃないよ。まったく。話す気は無いんですね?」

「だから、さっきからずっと言っている。答える必要は無い」


 俺は溜め息を吐き、


「分かりました。もう良いです。直接、本人に聞けば良いことですし」

「お前たちのような奴にセドニー様が会う筈が無い」


 俺は諦めて、皆に階段を降りるように話し、その場を立ち去ろうと踵を返す。


 まさか、さっさと諦めて聞かずに終わるなどとは露にも思っていなかった指揮官は、呆気に取られていた。


 実際、今からセドニーに会いに向かうのだ。捕縛命令が出ていようが、出ていまいが関係なかった。


 セドニーと会った時、何故捕縛しようとしたのか、本人に確認すれば良いだけの事。それだけのことだから、ここで聞ければ良いと思っただけだ。


 だが、そんな俺の素っ気ない態度に、何か恐怖を感じたのか、指揮官が立ち去ろうとする俺を呼び止めた。


「ちょ、ちょっと待ってくれ。俺たちは何も詳しい事を聞かされていないんだ。セドニー様からは、召喚者の中で、拳で攻撃をする女を捕らえて、連れてこいという命令しかもらっていない。理由は本当に知らないんだ! だから、頼む! 部下たちは手荒な事をしないでくれないか!?」

「いや、俺たちは拷問とかする気はまったく無かったんだけど」

「何! そうなのか? 俺はてっきり、俺に対する質問があっさり終わったから、部下たちを拷問して聞き出すのかと思っていたのだが」

「そんな事はしないし、サウスバレンの兵たちもしないですよね?」


 俺の問い掛けにサウスバレン兵の指揮官が頷く。


「私たちは捕虜に対してそのような事はしない」


 尋問はするかもしれないがなと小さな声で呟いていたが、聞かなかった事にしよう。


 サウザート兵は、サウスバレン兵たちに任せて、俺たちは階段を下り、地下迷宮へと戻った。


「でも、何でセドニーはアスカを捕らえようとしたんだろうね?」

「さあな。あの指揮官も知らないと言っていたし、それは本人に会えば分かるさ」

「そうね。取り敢えず、私たちは」

「ああ。ここを突破して、今度こそ城に辿り着こう」

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