スケルトンの群れ
前方から向かって来るスケルトンたちに向けて、ヒデオが先制攻撃にと<ソニックエッジ>を放った。
ノゾムの放った一撃は、全てのスケルトンに躱されてしまった。どうやらミイラとは一味違うようだ。
「まじか。躱されちまったぞ!」
「ミイラとは違うみたいだな」
「これが、他の挑戦者の命を脅かすモンスターってことだね!」
「私の魔術で! <ライトボール>!」
ミコトが放った<ライトボール>が杖を持ったスケルトンの放った<ダークボール>で相殺される。
「魔術も使うのか!?」
「気を付けろ! 来るぞ!」
杖を持ったスケルトンたちが一斉に<ダークボール>を放つ。通路が闇の球で埋め尽くされた。
「<ホーリーバリア>!」
一瞬でジョブチェンジになったミコトが障壁で防ぐ。
「ミコト、ありがとう!」
杖を持ったスケルトンは邪魔だな。先ずはあいつらからだ。
「ノゾム! ミサオ!」
「「分かってる」よ」
俺が<フラッシュムーブ>でスケルトンたちの中に潜り込み、杖を持ったスケルトンの一体を殴り付けると、その後を追って来ていたノゾムも大鎌を横薙ぎに振り抜く。
「おらぁ! どうだ!」
だが、ノゾムの大鎌は剣を持ったスケルトンにその攻撃を受け止められた。
「俺の攻撃を受け止めやがった!」
「ノゾム! しゃがんで!」
ミサオの呼び掛けにノゾムがしゃがむと、ノゾムの頭上を魔力の矢が通過し、その向こうにいたスケルトンの頭に突き刺さる。
「危ねえじゃねぇか!」
「だから、しゃがんでって声掛けたでしょうが!」
ミサオはSDにテネブラエを魂装させて、攻撃させていた。確かに通路が狭いから、近距離アタッカー三人よりもこの方が丁度良い。
二人が言い争いしながら攻撃をしている間に、スケルトン(杖)を二体、俺は倒していた。
スケルトンたちは、俺たちがスケルトン(杖)を狙っているのが分かったのだろう。スケルトン(杖)が後方に移動を始め、それを守るようにスケルトン(剣)、スケルトン(斧)が前に出て来る。
「ミコト! ミサオ!」
俺の呼び掛けにミコトは<ライトボール>、ミサオは魔力の矢でスケルトン(杖)を狙う。それを邪魔しようとするスケルトン(剣)とスケルトン(斧)を俺とノゾムで相手取る。
「こいつら、ミイラと違って、しぶといぞ」
「ノゾム、文句を言ってないで、攻撃続けろよ!」
「やってるよ!」
俺の首を狙って斧が横一文字で振り抜かれる。仰け反る形で避けると、顔の上スレスレを斧が通り過ぎる。更に、後ろから剣を振り下ろすスケルトン(剣)が居た。
「このっ!」
仰け反ったまま、後ろに居たスケルトン(剣)の腕を狙って、手を伸ばし、その腕を掴む。
「ぬぁ!」
腕を掴んで攻撃を止めようとしたのは良いが、スケルトン(剣)との力に差があり過ぎた。抑えることが出来ず、剣で斬られる事は防いだが、地面に背中を叩き付けられてしまった。
「アスカ! くそっ。狭いから大鎌だと戦い辛い!」
ノゾムは、密集した状態で大鎌を振るうのは難しく、思うように振り回せないでいた。それは、自業自得というものだが。
「あぁ! もうっ! これなら短剣二刀流とかの方が戦い易いのに!」
苛立ち気味にノゾムが叫ぶと、AFが光を放つ。
「え? おぉ!」
光が無くなったかと思うと、ノゾムの両手に長さ40cm程の短剣というには長いが、長剣と呼ぶには短い剣を握っていた。
「AF、双剣バージョンだぜ」
スケルトン(剣)が振り下ろしてきた剣を片方の剣で受け止めた瞬間に、もう片方の剣で斬る。斬られて怯んだ所を反対の剣で更に斬る。ノゾムの連撃で、あっという間にスケルトンは光の粒子となった。
「これはこれで、良いな!」
次は斧を剣で受け止めたが、片手では無理だったようで、両手の剣を交差する形で何とか受け止めた。
「くっ……、こいつら……、なんてパワーだ……」
少しずつ差し込まれるノゾムは、遂に片膝を地面に突いてしまう。このままだと斧がノゾムの頭をかち割ろうというところで、スケルトンの頭が魔力の矢で吹き飛ばされた。
「何やってんの! ノゾム、油断し過ぎ! もっと真面目に戦ってよ!」
『主様、それはちょっと言い過ぎでは……』
ノゾムを言及するミサオにテネブラエが意見を言うが、途中で止めてしまった。
「うるさい! 今は死ぬかもしれない状況なんだから、楽しみながら戦って、ピンチなんか作る奴が悪い! あんたもさっさと次を攻撃する!」
『はい!』
テネブラエは、ミサオの迫力に負けて、すぐに行動を開始する。
「俺だって、遊んでねぇよ! くそ、ミサオに文句ばっかり言われるのも癪だし、ここは、一丁やってやるぜ!」
ノゾムは起き上がると、意識を集中し、アーツを放つ。
「<サークルエッジ>!」
二つの剣の軌跡が円を描き、周囲のスケルトンたちを襲う。
「やっぱり。思った通りだ。一発分のMP消費で二本共にアーツが発動する」
ダブルヒットした<サークルエッジ>のダメージで怯んだスケルトンをSDの追撃が止めを刺す。
二人の連携を横目にしながら俺も杖を持ったスケルトンたちを全て倒した。これでほぼ半分のスケルトンを倒し、スケルトンたちが撤退を始めた。
「こいつら逃げるつもりか?」
「ノゾム、待て!」
撤退を始めたスケルトンたちを追い掛けようとするノゾムを俺は止めた。
「なんで止めるんだ?」
「試練のダンジョンにいるモンスターが逃げると思うか? 罠だって。深追いは禁物だ」
「ああ、そう言われると確かにそうか……」
ノゾムも納得し、立ち止まった。取り敢えず誰も怪我はしていないようで何よりだ。
「あんなに戦力を向けてきたと言う事は、ミコトの予想通り、こっちで正しかったのかな?」
「どうかな?私には分からないよ」
「ミサオの言う通りかもな。あのスケルトンたちは、ミイラと違って攻撃は連携してくるし、強さ自体も中々のものだった。こっちが正解なんだろうな」
「だったら、このまま進むとさっきより激戦が待っているってことか?」
ノゾムの言う通り、この先に進めば恐らくスケルトンの群れが待ち構えているだろう。だから、俺は皆に提案した。
「そうかもしれない。ここで少し休憩するか?」
全員頷くと、壁や床に罠が無いか注意しながら、休憩を取るのだった。




