???の加護と鑑定
洞窟から戻ってきた翌日、俺は昨日ポーラが気絶した後に起きた事を説明した。
「体が金色に光って、力が湧いてきた?聞いたことも無いわ」
「嘘じゃないぞ」
俺自身よく分かっていないのだからポーラが信じないのも無理はない。でも、本当の事だからしょうがない。
「うーん。でも、あなたのレベルであれを倒すのは絶対無理だもの。それは本当の事なんでしょうけど……。第一、<錬装>? そんなスキルも聞いた事無いのだから、そんな現象もきっと私が知らないだけなんでしょうね。きっと。それに」
やっぱり<錬装>も珍しいスキルなのか。拳士の固有スキル何だろうなきっと。
「あと、<アクセルブースト>ってレベルニで覚えるようなスキルじゃないわよ。しかも、動きが倍になったって言ったわよね。あれはAglが一.ニ倍くらいになる程度のスキルよ。あなたのスキル滅茶苦茶だわ……」
そうなのか。でも間違いなく俺は倍の速度で動けた。だからゴブリン達を倒せたんだ。
「そうだ。ステータスプレートは確認したの? 金色に光ったのもスキル一覧に載っているんじゃない?」
そう言われたら、昨日戦闘中に確認した時から見ていないな。俺はポケットからステータスプレートを取り出し確認してみる。
レベル:3
HP(体力):22
OP(闘気):21
MP(魔力):20
STR(筋力):6
AGI(敏捷) :4
VIT(耐久力):4
INT(知力) :3
MND(精神力):3
DEX(器用) :5
LUK(幸運) :20
AP(魅力) :222
状態:性別反転の呪い
???の加護
スキル:錬装
アクセルブースト
レベルが三に上がっていた。でも、相変わらずのカスステータスだ。魅力だけ大きく上がっている。あり得ねぇ。
スキルは戦闘の時に確認したものと同じだった。だが、状態に変化があった。他の文字と比べると薄い字で《???の加護》とかいうよく分からないものがついている。
「何だこれ? 《???の加護》って?」
「また聞いたことがないわねぇ。見せて」
ポーラが俺のステータスプレートを手に取り確認する。
「本当だわ。書いてある。あと、何この字? 読めないんだけど……」
「え? どの字だい?」
「これよ。あなたの話だと、これが<錬装>なのね。きっと」
ポーラが指さしたのは確かに<錬装>だった。というか、今よくよく見てみれば、<錬装>は日本語で書かれている。他の文字は、読めていたから気にはしていなかったが、こっちの世界の文字だ。
「あ、普通にこっちの文字が読めていたから気付かなった。これ俺の世界の文字だわ」
「そうなの?」
何で日本語が書かれているのかは分からないが、俺が召喚者だからなのだろうか。<錬装>は拳士というより、俺自身の固有スキルなのかもしれない。いや、そもそも拳士という職業自体が固有職業なのかも。
ポーラもそう思ったのか、それ以上は気にしなかった。そして、思い出したように自分の道具袋からニ本の爪を取り出し、俺に渡した。
「あ、忘れていたわ。これ。ゴブリンコマンダーの装備の下に転がっていた物よ。あなたが倒したんだから、あなたの物よ。あと、あの不思議な宝箱の中にあった巻物は?」
俺は爪を受け取り、ポケットに仕舞いながらあの洞窟で手に入れた宝箱を取り出す。
「そうだ。これも忘れてたよ。何が書いてあるんだ?」
箱の中から取り出し、ポーラに見せるが首を横に振る。どうやらポーラにも何が書かれているのか分からないらしい。俺も見てみるが、これまたよく分からない文字で書かれている。何が何やらさっぱりだ。
「鍛冶屋に行きましょう。あなたのその破れた防具を買い替えないといけないし、あそこの親父さん。スミフさんなら、<鑑定>スキルを持っているから、何か分かるかも」
「分かった」
やっぱり<鑑定>ってスキルあるんだな。俺も覚えられたりしないだろうか。こういった異世界召喚なんかの話は<鑑定>って重宝されるスキルだからな。
俺は右胸を隠しながら鍛冶屋へと向かう。道中、すれ違う男達が俺の胸を凝視してくるのが鬱陶しかった。女性からは睨まれるし。視線が痛い……。
鍛冶屋に着き、すぐに旅人の服を購入すると着替える。勿論、お金は無いのでポーラが立て替えてくれた……。
「ところで、スミフさん。ちょっと鑑定してもらいたいものがあるのだけれど、いいかしら?」
ポーラが俺に巻物を見せるように言ってきた。俺は、巻物を取り出すとスミフは巻物よりも宝箱が気になるようにじっと見ている。
「スミフさん?」
「あぁ、すまない。鑑定だったな……。それより、その見たことも無い宝箱は何だ?」
やっぱりこの箱が気になっていたのか。俺は洞窟で手に入れた事。ゴブリンと戦った事を説明した。
「何! セティフの洞窟にそんな隠し通路やゴブリンが出ただと……。それにお前しか開けられない宝箱か……」
スミフは俺から巻物を預かり鑑定を始めた。暫くじっと巻物を手にしたまま、首を傾げたり、うーんと唸ったりしている。
「何だ。この巻物は……。俺の<鑑定>じゃ何も分からない……みたいだ……」
俺に巻物を返した後、俺の方をじっと見て何か考えている。
「どうかしましたか?」
俺がスミフに尋ねると、スミフは暫く目を瞑り、更に悩みだした。俺とポーラが顔を見合わせスミフの態度に困惑していると、スミフが口を開く。
「お前しか通れなかった隠し通路の先にこれはあったんだよな……」
頷き肯定すると、驚くことを提案してきた。
「お前自身が鑑定したら……、何か分かるかもしれない……」
「え? 俺は鑑定スキルなんて持っていないですよ」
「ちょっと待っていろ……」
スミフは店の奥、鍛冶の工房に向かいそこから一枚の巻物を持ってきた。
「今、これに俺の鑑定スキルを転写した」
「え、スキルって巻物に転写出来るの?」
「可能だ……。ただ、生産系は転写する機会は多いが……。戦闘系は使えないものが多いから、転写される事は少ない……。それに無地の巻物は高価だからな……。使われる機会は多くない……」
高価な無地の巻物に鑑定スキルを転写してくれたという事か……。
「俺、お金無いですよ……」
「金など要らん……。俺の気持ちだ……。取っておけ……」
「スミフさん、ありがとうございます」
巻物を受け取り早速使う事にした。巻物を見ると、確かに<鑑定>と書かれているのが分かる。やっぱり普通は読めるんだよな。そうじゃないと、何のスキルを覚えるのか分からないからな……。
巻物を広げると、巻物が光り輝く。そして、巻物が青白く燃え上がり、俺は慌てて手を離した。燃え上がった巻物が消えてしまった後、俺の頭に何かスッと入ってくるような感覚を覚える。
「これで俺は<鑑定>が出来るようになったのかな?」
「ああ……。早速見てみろ……」
俺は頷き、謎の巻物を鑑定することにした。さて、鑑定出来るのか、出来たとしてどんなものが書かれているのか……。




