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異世界呪われた救世主〜異世界召喚されたら呪いで女に。呪った奴はぶっ飛ばす〜  作者: 陽月純
第3章 女神と親友

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出発

 ミコトの魔術で気を失ったままだったミサオが漸く意識を取り戻した。でも、怨霊でもないミサオにダメージが入ったという事は、怨念に取り込まれ、悪霊になりかけていた? トナペレ族の族長が言っていた通り、かなりヤバい状態だったのだろう。


「良かった。ミサオ、ずっと気を失ったままだったんだから」

「え? あれ、そう言えば、ここは?」

「フォレストパレスの宮殿だよ」

「えっ! あいつは!? エンペラータイガーは!?」

「安心しろ。俺が倒したよ」

「嘘っ。あんな化け物アスカ一人で倒したの!?」


 ミサオが驚きの声を上げると、それ以上に分体デイジーから驚きの声が上がった。


「あなた達エンペラータイガーと戦闘したの!?」


 俺は頷くと、


「はい。森の死神と呼ばれる個体でした」

「森の死神! あの生意気なエンペラータイガーと! よく、生きて戻って来れたわね」

「新しい力のお陰ですね。これが無かったら生きていなかったと思います」


 実際、レベル三十で修得したスキルとアーツが無かったら、厳しかったと思う。


「なんて危ない事を。無事で良かったわ。それで、次はいよいよ……」

「はい。セドニーを止めるため、サウザートへ行こうと思います」

「ごめん。アスカ、その前に一度ブラッドの所に戻って良い?」

「どうした? 何かあるのか?」

「この間、デイジー様の本体に言われたでしょ。ブラッドの加護を貰えって」


 そう言えばそんな事を言っていた。セドニーと話をする前には恐らくサウザート兵との戦闘、そして、ヒデオとの戦闘もあるだろう。ミサオが力を付けることには賛成だ。


「分かった。それなら一度ブラッド城に戻ろう」

「ありがと。あ、ミコト、あたしのPDはどうなったかな? 気を失って、そのままだったと思うけど」

「あ、PDなら、その、一応、ここに」


 ミコトはそう言って、自分の異空間収納袋からPDを取り出す。


「よく、ミコトの袋に大人しく入ったね」

「大人しくはなかったよ。暴走してたし」

「うわ。ごめんね」

「えっと……。私もごめんなさい」


 PDが暴走していたと聞き、ミサオがミコトに謝ると、何故かミコトから謝られて、ミサオは困惑の表情を見せた。


「何で、ミコトが謝るの?」

「その、PD動く?」

「?」


 ミコトの言葉に疑問を浮かべるミサオは、PDに動くように指示を出したが、ピクリとも動かない。


「あれ? 動かない?」

「やっぱり……。ごめんなさい。ミサオ」


 再びミコトが謝罪すると、ミサオはミコトに何かあったのか尋ねる。


「その、PDが暴走して止まらなかったから、中に閉じ込めている悪霊が大人しくならないかと<ピュリファイ>を使ったんだけど」

「大人しくなるどころか、除霊しちゃったのかぁ」

「そうみたい。本当にごめんなさい」

「いや、謝らなくていいよ。暴走させたあたしが悪いし。PDの核になる悪霊はまた探せば良いし」


 ミサオは気にしないでとミコトに伝える。ただ、PDが使えなくなったのはミサオの戦力的には少々心許なくなったのは違いないだろう。ただ、それ以上に困ったと俺はミサオに告げる。


「参ったな。ミサオはPDにおぶってもらおうと思っていたんだけど」

「どういう事?」

「ブラッド城に戻るには、あの砂漠をまた越えないといけないだろ?」

「あ! あいつか」

「そう。デザートドラゴンだ」


 森の死神の次は砂の悪魔とか勘弁してほしい。あれのブレスなんか喰らったら、服が裂ける程度で終わる筈がない。うん?


「あ!」


 俺が突然叫んだことに皆が驚く。


「アスカ、突然叫んだりしてどうしたの?」


 ミコトの質問に俺は自分の体を指差す。そこには、森の死神の爪痕によって見える俺の立派な乳房がこれでもかと主張していた。

 

「これ、服が破れたままだった」

「ちょっと、アスカ。あたしに喧嘩売ってんの?」

「そんなつもりは無いよ。先ずは防具屋だな」

「さっさっと買って、隠しなさいよ!」


 俺たちは防具屋に向かった。ノゾム曰く、俺が装備している旅人の服はここには無いそうだ。動きやすい装備となると、ノゾムが着ている狩人の闘衣が一般的な装備品らしい。


 今思えば、神器や魔器が手に入るなら、装備は後回しで良いと思っていたけど、旅人の服は防具と呼べる代物では無いから、買い替えるのも良いかもしれない。防具屋に入ってみたが、やはり旅人の服は売っていなかった。


「へぇ。狩人の闘衣って素早さ向上の効果もあるのか」

「良いだろう?」

「そうだな。でも……」


 ノゾムとペアルックというのもなぁ。俺の小声が聞こえたのか、店主が俺の所までやって来ると、話しかけてきた。


「この商品でしたら、女性用のデザインの物もありますよ。ご覧になりますか?」

「お願いします」


 店主が奥に行き、女性用の狩人の闘衣を持って来た。おや、二種類あるのか?


「こちらがそうです。どちらか気に入って頂けると幸いです」


 店主に渡された物を見ると一つは、ロングコートのように、丈の長い上着とTシャツのセットのデザイン。もう一つは……。


「いや、ビキニだろ! これ! 防具の役に立たないだろ!」


 店主がちっと舌打ちしたのが聞こえた。上着はジャケット丈、だが中に着るのがビキニだった。ノゾムもそれを見てチッと舌打ちをした。店主と視線が合うと、これを着せろというアイコンタクトをしているようだ。


「ったく。ビキニなんて着ないぞ。というか、これ、ジャケットとTシャツの組み合わせは駄目なのか?」

「いえ、その組み合わせでも大丈夫ですが、お客様であれば、こちらの方がお似合いかと……」

「着ない! 着ないと言ったら着ないっ!」


 断固拒否すると店主は諦めたようにビキニの中着を片付けた。上着は、ロングコート丈、ジャケットを試着させてもらったけど、ジャケットはノゾムとペアルックに見えた。ロングコート丈は、意外と動いても邪魔に感じなかったので、こっちに決めた。


「この丈の長い方にするよ」

「……。ありがとうございます……」


 購入したのに、嬉しそうに見えないのは、ビキニを選ばなかったからだな。ノゾムも俺が元は男だと知っているくせに、残念そうな顔をしてやがる。仮に、ビキニを着ていて、男に戻る事があったら、ただの変態だろうが。


 ミコトとミサオも防具を新調しようか悩んでいたが、買うのは辞めたらしい。店主が俺にビキニを着せたがっていたのが理由だそうだ。そして、他の買い物含め、用意を済ませた俺たちは、ブラッド城へと戻るため、フォレストパレスを出発した。

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