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異世界呪われた救世主〜異世界召喚されたら呪いで女に。呪った奴はぶっ飛ばす〜  作者: 陽月純
第3章 女神と親友

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眠ったままのミサオ

 森の死神との戦いに勝利した俺たちはトナペレ村へと向かった。気を失ったままのミサオは、ノゾムが背負って連れて行った。


「ミサオ、いい加減に目を覚ませよな。俺だって死にかけたんだぞ」

「そう言うなよ。この中で一番力が強いのはお前なんだからさ」

「そりゃそうだけどよ。距離があるじゃねぇか……」


 それにしてもミサオの様子がおかしい。黒いオーラに体が包まれたまま、気を失っている。


 黒いオーラは背負っているノゾムには、伝播しないことから、ミサオのスキルの副作用と考えるのが妥当なのだろうけど、それにしても長過ぎる。


「ミコト、これ<リカバー>でどうにかならないのか?」

「もう試したけど駄目だったわ」


 状態異常という訳では無いのか?


 ノゾムには悪いけど着くまでおんぶだな。

実際、ミサオはトナペレ村に着いても目覚めなかった。一先ず、ノゾムの異空間収納袋を作ってもらうために、族長の家を訪ねる。


 家に向かう途中、背負われているミサオを心配してくれているのか、すれ違う村人たちからジロジロと見られていた。


「族長さん、いらっしゃいますか?」

「おや、これは、これは。皆さん、思ったよりも早かったですね?」


 家から出て来た族長が、俺たちの姿を見て、ギョッとする。


「? どうしました?」

「いえ、いえ、どうしましたじゃないですよ……。あなた、胸が……」

「胸?」


 あっ。森の死神と戦った時に服が破れていたのを忘れていた。すれ違う村人が俺たちを見ていたのは、俺が胸丸出しだったからか。


「すみません。お見苦しいものを」

「いえ、いえ。中々のものをお持ちで……。それより、そちらの方は、どうなされたのですか?」


 族長は、チラチラと俺の胸を見ながら、ノゾムに背負われているミサオを見る。


「森の死神と戦った時に、気を失ってから、起きないんです」

「森の死神と戦った!?」


 族長が突然、大きな声を上げる。


「あれとは戦わないように、注意しましたが、なんと、なんと。よくぞ、ご無事で」

「すみません。逃げるのも無理そうだったので、戦ってしまいました」


 ふむ、と族長は頷き、ミサオの様子を伺っていると、これは不味いと呟いた。


「何か分かったんですか?」

「そうですね。これは、これは非常に不味いです。怨念に囚われているようです」

「怨念?」

「はい。何か心当たりが?」

「ミコト、ノゾム。分かるか? PDの暴走が関係しているのか?」

「そうだね。関係しているのかもしれないかな。PDが喋っていたし」

「そうだな。PDが何かのスキルを使わせた後、こうなったし」

「怨念を祓うことが出来れば、意識を取り戻すかな」

「そうでしょうね。ただ、ただ、それ以前に、早く祓わなければ、彼女の命に関わるかも」


 怨念を祓うとなると、どうすればいいのだろうか。


「この村では怨念を祓うような事が出来る者は居ません。ここは、早急にフォレストパレスにお戻りになるのが良いかと思いますが……」

「分かりました。ノゾム、材料を預けてフォレストパレスに向かおう」

「そうだな。そうしようか」


 俺は神聖樹の樹液を取り出すと族長に渡す。


「ふむ、ふむ。確かに。預かりました。ですが、すぐに出来ますよ」


 族長は、家の中から皮を持って来ると、樹液に漬け込んだ。


「これって、なめし革にするのにニヶ月は掛かるんじゃ?」

「えぇ、えぇ。一般的にはそうでしょうが、それは、これで」


 パンッと両手を合わせ、族長の姿が消える。


「え?」


 俺たちが突然の事に驚いていると、直ぐに族長が姿を現した。


「どうぞ」


 族長は出来上がった革袋をノゾムへと渡す。


「これは……」

「えぇ、えぇ。異空間収納袋ですよ」


 何でも、普通に作ればニヶ月は掛かるが、族長の試練の時に連れて行かれたあの異空間は、こっちと流れる時間の早さが違うらしく、向こうで準備を済ませて、加工までしてくれたらしい。そんな裏技があるとは。


 ただ、普段はこんな裏技は使わないそうだ。魔力をかなり使うらしく、今回は特別だと言ってくれた。


「ありがとうございます」


 ノゾムは早速、背中に背負っていた使わなくなった大鎌を収納してみる。スッと吸い込まれて袋の中へと消えた。


「おぉ、良いな。色々な武器をこれで収納しておけば、オールフォームズで変形出来ない武器を使う事も出来るぜ」


 他の武器を使う気は無さそうだけど、大鎌を使うのに適さない時とかは変えるのかな?


「良し。それじゃあフォレストパレスへ戻ろう」

「おや、おや、何処へ向かうのですかな?」

「え? フォレストパレスですよ」

「いえ、いえ、それは分かっています。もしや、歩いて戻ろうとお考えですか?」

「はい。それ以外に何かあるのですか?」


 もしかして、この世界にも乗り物があるのかと期待したが、


「いえ、いえ、あちらを使えば一瞬ではないですか」


 族長が指差したのは、あの祭壇だった。


「あ、そういえば、サウザート兵をあれを使ってフォレストパレスに転送したのか!」

「あら、そういえば、そうでしたね」

「そうですよ。無駄に時間を掛けては、意味がないです。えぇ、えぇ、本当に」


 族長に頭を下げて、俺たちは祭壇へと向かい、フォレストパレスへと転移させてもらった。


「トナペレ族、凄いよな」

「本当ね」

「取り敢えず、デイジーちゃんの所に行こうぜ。ミサオの怨念を祓う事が出来る人を紹介してもらおう」


 ノゾムの意見に賛成し、俺たちはデイジーの分身のいる宮殿を訪ねた。


「デイジーちゃん!」

「おや、ノゾム。どうしたのかしら?」


 分体デイジーが、突然訪れてきた俺たちに驚き、何の用かと尋ねる。


「ミサオを助けてくれ」


 突然のノゾムの話に頭に?マークが立った分体デイジーにミコトが説明を付け足す。

 

「ミサオが怨念に取り込まれて、意識を失ってから目を覚まさないんです。怨念を祓うことが出来る方を知りませんか?」

「怨念?」


 分体デイジーはノゾムが背負っているミサオの様子を見て、ミコトを見る。


「紹介も何も、聖女であるあなたなら、祓えるでしょう?」

「<リカバー>を試しましたが、駄目でした」

「何を言っているの? <リカバー>は状態異常を癒やす魔術なのだから当たり前でしょう。貴方は<ピュリファイ>は使えないの?確か、聖女固有の魔術だったと思うのだけど」

「使えます。え、あれって幽霊系の魔物を浄化する魔術じゃないのですか?」

「悪霊を浄化するのと変わらないわ。やってみなさい」


 分体デイジーに言われ、ミコトはミサオに<ピュリファイ>を使ってみる。


「あいたたたたた! ちょっと! 何するのよ! ミコト!」


 <ピュリファイ>がミサオを覆っていた怨念のオーラを浄化し、ミサオが意識を漸く取り戻したのだった。

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