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異世界呪われた救世主〜異世界召喚されたら呪いで女に。呪った奴はぶっ飛ばす〜  作者: 陽月純
第3章 女神と親友

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死神の分身

 森の死神と俺の戦闘が始まった頃、森の死神が生み出した分身達はミコトたちを襲い始めていた。


「こいつらちっこいくせに強いぞ」


 飛び掛かってきた分身をオールフォームズ(大鎌)で叩き落し、そのまま斬りつけたノゾムは、険しい表情で自分の斬った相手を睨みつける。


「ちょっと、ノゾムの一撃を耐えるの? この分身は!」


 ミサオもノゾムの一撃が入っても倒れない分身を見て驚いている。自分の召喚している人形が火力の無いGDでは歯が立たないだろうと悟り、直ぐにもう一体の人形を召喚する。


BD(ブレードドール)! 出番よ!」


 SDと同様に新たに手に入れた人形。SDは魔力攻撃、ロングレンジタイプに対し、BDは名前が示す通り、剣を武器とした、物理攻撃、ショートレンジタイプ。


 ミサオの上位人形であるBDは背中に付いている棒状の筒を背中から外し、筒のギミックを作動する。


 カシュンと音を立て、筒の中から片刃の剣が伸び出ると、一本の長剣となった。


 そして、その長剣を真っすぐノゾムが攻撃した分身に構えると同時に突進し、長剣を突き出す。


「ギャウ!」


 BDの突きは見事に分身の右肩に突き刺さり、分身から悲鳴が漏れる。BDは突き刺した長剣を刺さったまま捻り、顔面目掛けて切り裂く。BDの長剣は、まるでバターを切るように、スパッと分身の顔面を斬り裂けば、分身がボンッと霧散した。


「ミサオ。やるじゃないか。俺も負けてられないぜ」


 ノゾムは、次に襲い掛かって来た分身を横薙ぎに斬り裂く。その攻撃で両前足を失くした分身は、地面に落ち、ノゾムの連続斬りを躱す事も出来ず、そのまま煙と化す。


「よし、強いけど、落ち着いて戦えばやれる。いけるぞ!」


 ノゾムとBDが次々と襲って来る分身を迎え討ち、次々と煙に変えていった。避けきれず、たまに受ける分身たちの攻撃は、かなりのダメージを受けたが、ミコトの<ヒール>とミサオの<ドールリカバー>で傷を癒しながら、戦い続ける。


「くそ、きりがねぇ……」

「どれだけ分身がいるのよ」

「二人共頑張って! 早く分身を片付けて、アスカを手伝わないと」

「分かっているよ。でも、まだあんなにいるぜ……」


 ノゾムが指さす方向にはまだ分身が五十体はいるだろうか。森の死神の分身達がミコトたちに向かって来ているのが見える。


「うへぇ。まだあんなにいるの……」


 ミサオはもううんざりと顔をしかめる。BDに戦わせていたとはいえ、BDの回復、二体の人形の制御は結構キツいものがあったのも要因の一つだろう。


 ノゾムも既に何体の分身を斬り捨てたか分からず、しかも、まだ次に森の死神本体との戦いが控えているかと思うと、流石にテンションが落ち始めていた。


「私が<ホーリーフレア>を使えると良かったんだけど」


 ミコトの新たに取得した職業、聖魔時に使える<ホーリーフレア>。再び使用出来るまで一週間。聖魔を折角取得したのに、今のままでは宝の持ち腐れみたいなものだとミコトは歯噛みする。


「大丈夫。ミコトの本命はやっぱり回復だよ。ミコトの分もあたしが倒すから!」


 ミコトの気持ちを察したのか、ミサオはGDを下げ、代わりにMDを召喚する。BDが意外と強く防御は不要と判断した。


「攻撃こそは最大の防御よ! MD! <ファイアーボール>」


 ミサオの命令に従い、MDは向かってくる分身の群れに向けて<ファイアーボール>を放った。炎球は真っ直ぐに群れの下へと飛んでいき、爆発音と共に分身達を吹き飛ばす。倒すには至っていなかったが、それでもかなりの数の分身にダメージを与えたようだ。


「ミサオに負けてられねぇや。<ソニックエッジ>追加の<サークルエッジ>だ!」


 ノゾムは高く飛び上がり、MDに吹き飛ばされ、体勢を整え再び駆け出そうとした分身を狙って<ソニックエッジ>を連続で放った。斬撃は、二体の分身に当たるとその分身を中心に斬撃が円を描く。


「ヨッシャー!」


 MDの<ファイアーボール>、ノゾムの放った<ソニックエッジ>で、半数の分身が消える。それでもまだ二十五体の分身が残っており、向かって来ている。しかも、さっきの攻撃を警戒してか、一体、一体の間隔が広くなり同じ攻撃は通用しないだろう。


「まずいな……。流石に疲れてきたし、あの量が一度に来るとなると、軽い怪我じゃ済まなそうだぞ」

「一体ずつ倒すにしても間に合わないわよ。<ダークボール>にしろ<ファイアーボール>にしろ、あんなに間隔開いたら、せいぜい二体巻き込めるかどうか」


 このままだと最悪、死ぬかもしれない。そんな事をミサオは思い、嫌だと首を振る。


(…………え)

「?」


 何か声が聞こえた気がした。キョロキョロと周りを見るが、自分に話しかけてきた様子はない。ミサオは首を傾げていると再び声が聞こえてきた。


(お…………かえ)

「ねぇ、ノゾム何か言った?」

「うん? 何も言わねえよ。戦闘中に馬鹿な事言ってるんじゃねぇよ」

「何よ! 別に馬鹿な事言ってないでしょ」


 ミサオが少し不貞腐れ気味に答えるとまた声が聞こえた。今度ははっきりと。


(俺を使え! さっきから声をかけているのに! このちっぱいが!)

「誰がちっぱいじゃあ!」

「ミサオ?」

「お前、戦闘中に何言ってるんだ?」


 思わず叫んだミサオを心配そうに見るミコトと、呆れ顔のノゾムを見て、声の主に心当たりが出てくる。


「え? でも、まさかね? 今までそんな声聞こえた事無いし」

(さっきから声をかけているのに、無視するのか? お前は、これだから、ちっぱいは……)

「また言った! やっぱり、モーレスなの!?」

(そうだ。お前に人形の中に閉じ込められたモーレスだ。お前のレベルが上がったからか、俺の声が届くようになったみたいだな。俺を使え。そうすれば、あんな雑魚共、一網打尽にしてやる)


 デイジーの言っていた人形と感覚を共有するというのが、出来るようになったのだろうか?


 ミサオは不安になりつつも一網打尽に出来るという言葉を信じ、BDとMDを送還し、PDを呼び出した。


「PD、本当にやれるんでしょうね?」

『任せろ』

「「人形が喋った!?」」

『<マジックブースト>を使え』

「命令するのはあたしよ。命令口調は止めなさい! <マジックブースト>?」


 ミサオがPDの言う通り<マジックブースト>とやらを唱えてみる。すると、PDの体が黒い、いや漆黒のオーラに包まれ、ミサオも同じように漆黒のオーラに包まれた。


『<エクスプロージョン>』

「え?」


 ミサオも使えない<ファイアーボール>よりも上位の広範囲殲滅魔術をPDは使った。分身達の中心に黒い炎の珠が現れると、一気に爆発。轟音を立て、爆発にて広がった黒い炎は、残った分身全てを包み込む。炎が消えた後には、そこには何もいなかった。


「やったな! ミサオ!」

「ミサオ?」


 ノゾムとミコトがミサオの方を見ると、ミサオは黒いオーラに包まれたまま倒れ込み、気を失っていた。

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