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異世界呪われた救世主〜異世界召喚されたら呪いで女に。呪った奴はぶっ飛ばす〜  作者: 陽月純
第3章 女神と親友

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異空間収納袋を求めて

 ノゾムの異空間収納袋を手に入れる為に、再びトナペレ族の村へと向かう事にした俺たちはデイジーに別れの挨拶をすると、デイジーからまだ話があると引き止められた。


「ここを出る前にもう少し話をさせて。私があの方に力を返却したのは、分かるわね?」


 ノゾム以外が頷く。えっ、俺だけ分かっていない、と慌てているが、デイジーはノゾムをスルーして話を続ける。


「それにより、まず世界の理が変化したわ。世界中の人に邪神の存在が認識された筈よ。その事で、混乱する人も少なくないと思うわ」


 何の事だろうと顔を見合わせた俺たちにデイジーは話を続ける。


「邪神はルーディスコアに居る」

「あ、伝承と話が矛盾するのね」

「成程」


 確かに、ルーディスコアを手に入れた者が世界を制すという伝承があるのだったら、邪神が世界を制していないといけない。


「ムジュン?」

「あ、俺たちの世界の言葉です。最強の矛と盾。どっちが強いっていう。辻褄が合わない事を表現した言葉です」

「へぇ。面白いわね。そう、その矛盾が生じているの。邪神を倒すことで世界を制すという解釈をすれば、矛盾しないかもしれない。でも、それなら今は邪神に支配されていると言うことになる。今、世界を統べているのは私達三女神と三魔王。きっと、セドニーの馬鹿は、突然そのような認識を持って、この戦争の意味が分からなくなっている可能性があるわね。そして、ルーディスコアへの進撃も考え直すかもしれない」


 確かに、三女神、三魔王が世界を統べている。邪神という強大な敵が、今世界に牙を立てているなら、邪神討伐という成果で世界を統べる事が出来るかもしれない。でも、今は、大きな問題は起きていない。態々寝た子を起こすような真似をする必要は無い。それで戦争が終わるなら、俺たちがここに来た意味もあるというものだが、そんな簡単に始めた戦争を止めるだろうか?


「ふふ。その顔は戦争が終わるのかという顔ね」


 デイジーは俺の顔を見て微笑むと、


「私は終わらないと思っているわよ。あの馬鹿は始めたことは最後まできっと続ける」


 デイジーは、はぁっと大きな溜め息を吐くと馬鹿は本当に困ると愚痴をこぼし、


「そして、今、私もブラッドもあの方に力を返し、弱体化してしまった。これをあの馬鹿が知ったら、間違いなく全力で攻めて来るわ」

「はい。それはブラッド様も懸念していました」

「だから、早急にセドニーの馬鹿とアルを引き合わせることを願うわ」


 俺たちはコクリと頷く。ノゾムだけは、話に追い付けていなくて、俺だけ除け者と少しイジケているが、後で説明すると言って、部屋を出た。


「よし、早急にとは言われたけど、まずはノゾムの異空間収納袋を作って貰うか」

「悪いな。助かるよ。あと、ちゃんと説明しろよ」

「ああ。後でな」


 試しの宮殿の入口を出ると直ぐに魔術陣があった。その上に乗ると転移が始まる。転移した先は、トナペレ族の村にあった祭壇だった。


「速攻で目的地じゃん……。ま、いっか」


 ノゾムが何か文句? を呟いていたが、俺たちは族長の家を尋ねる。


「おぉ、おぉ。無事に試練を乗り越えたようだね」

「はい。それで、族長さんにお願いがあるのですが」

「お願い? 何かな?」

「俺に異空間収納袋を作ってくれないか?」

「ほぅ、ほぅ。異空間収納袋か。成程、成程。確かに、超闘士ならば、あると便利だね。でも、済まないね。今は無理なのだよ」

「え? どうしてですか?」

「材料を切らしていてね」


 族長は材料があれば作れるが、最近物騒になったから、材料が入手出来ていないと嘆いていた。


「私が行けば問題無いのだけどね。族長が村を数日留守にするのもね」

「俺たちが取りに行くのは?」

「ほぅ、ほぅ。行ってくれるかね?」


 ノゾムは二つ返事で肯定した。


「有り難い。有り難い。では、お願いしようかね」

「分かりました。それで、材料というのは?」

「このバラトレストの森林の最奥に神聖樹があるのだが、その神聖樹の樹液が必要なのです」

「樹液?」


 ミコトが聞き返す。神聖樹って、俺の試練の時に生えていたあのデカい木か。


「えぇ、えぇ。神聖樹の樹液は魔力を溜める事が出来るのです。その樹液を使ってなめし革を作り、その皮に異空間収納の魔術を施せば、異空間収納袋が出来るのです。では、では、材料採取お願いします」


 神聖樹の生えている場所は、試しの宮殿よりも更に北西だという。試しの宮殿までは、また転移魔術陣で移動し、そこから歩いて行くと良いと教えてくれた。礼を言って再び転移魔術陣で試しの宮殿まで移動する。


「同じ所を行き来して、効率悪いなぁ」

「悪いな。俺の我儘に付き合わせて」

「そう言うなよ。ミサオ。取り敢えず、進もう」


 神聖樹の周りはモンスターが出現しないらしい。試しの宮殿の試練にも使われる位だから、デイジーが何かしらの加護を施しているのだろう。だが、その道中は別だ。危険なモンスターが徘徊しているらしく、中でもエンペラータイガーという虎のモンスターは強力らしい。


 その中でも、森の死神という二つ名の個体が居るらしく、こいつと遭遇したら、逃げるように言われた。遭遇率は、そんなに高く無いらしいが、物騒な二つ名を持つモンスターなんかに出会いたくはないな。道中、ノゾムにアルの本体と女神達、邪神の関係について説明をした。


「本当にアスカ、羨ましいな。お前の状況。どう考えても、主人公だよな。ま、それに加わった俺も主役級になるか。それは、それで悪くはないな」


 変な納得をしているが、デイジーとのやり取りを理解出来て満足気だった。距離的にトナペレ族の歩きで何も無ければ三日程の距離。

 身長差を考えれば、俺たちの歩きだと四、五日は掛かりそうだから、小走りで進む。


 一日目は、モンスターに出会う事もなく、順調に進んでいった。


 二日目は、ミコトが試練の時に戦ったというクレイジーモンキーに遭遇。特に問題無く撃破して先を急ぐ。


 三日目、朝食を取って出発をした俺たちの目の前にそれは現れた。

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