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異世界呪われた救世主〜異世界召喚されたら呪いで女に。呪った奴はぶっ飛ばす〜  作者: 陽月純
第3章 女神と親友

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試しの宮殿

 長老の試練を合格した俺たちは長老が用意してくれたお茶を飲みながら、長老と話をしていた。


「長老は職業が狂闘士って言ってましたけど、他にもいるんですか?」


 ノゾムが興味津々に尋ねるが、長老は首を横に振った。


「いえ、いえ、恐らくこの職業は私の固有職業かと思いますよ。他に聞いた事はありません。この村の他の者は、闘士や獣闘士ですね」

「獣闘士って?」

「闘士と狂闘士の間のような感じですかな? 私の<カラミティスタイル>を使えないですが、似たスキルの<バーサク>というスキルを使えます。闘士は使えませんね」


 ノゾムは自分の超闘士とはまた違うんだなと感心していた。


「それで、長老の試練に合格出来たのなら、試しの宮殿への道を教えてもらえますか?」


 俺の質問に長老はにっこり微笑むと、首を横に振る。


「いえ、いえ、違いますよ」

「え? 合格したのに道を教えてくれないの!? 戦い損じゃん!」


 ミサオが不服そうに大きな声を上げる。


「ミサオ。長老さんの話を最後まで聞こうよ」


 ミコトがミサオを宥めると、長老が話を続けた。


「そうですね。私は道を教えるとは言いませんでしたが、どうやら、勘違いをさせてしまったようですね」


 長老は、困った顔をすると、ミサオの方へと向き直り、言葉を付け加える。


「ここが迷いの森を抜けるための村。つまり、試しの宮殿への入口なのです」


 長老はそう説明すると立ち上がり、俺たちに付いてくるように言うと、家の外へと出て行った。そして、向かった先は、昨日サウザート兵を転送した祭壇。


「これは」

「はい。昨日、サウザート兵をフォレストパレスへ送還した祭壇です」

「あたし達をフォレストパレスに送るってこと?」

「いえ、いえ、これの本来の役割は迷いの森の試練を越え、試しの宮殿へ挑戦する資格を得た者を転送するためのものです」


 すぐに行くかと尋ねられ、俺たちは一つ返事で頷いた。


「では、では、皆さん。無事に試練を乗り越えられる事を祈っていますよ」

「え? 試練?」


 長老の言葉にミサオが反応したが、祭壇が輝いたかと思うと、風景が歪み始める。


「ここは?」


 風景が歪んでいたのは十秒も掛からなかった。視界が元に戻ったと思えば、目の前には森の中にある大きな宮殿。金銀で装飾されるでもなく、いかにも古びた廃墟と言ってもおかしくはない程、その外観はボロい。ボロいのに、何故か妙に神聖な雰囲気を漂わせていた。


「ボロい、な」

「ボロい、ね」

「これが、試しの宮殿?」


 俺たちが宮殿の感想を呟いていると、宮殿の中から声が聞こえてくる。


「ボロいとは失礼な者たちね。さあ、中へ入りなさい」

「え!? 聞こえてたの?」


 俺たちはしまったという顔を見合わせ、取り敢えず中に入ろうと、宮殿の入口へ足を向ける。中へ入ると、大きな階段が目に入る。十人は横一列で上がれそうだ。階段の脇にはいくつかの部屋があるようだ。


「よく来たわね。さあ、こちらへ」


 再び声が二階から聞こえる。俺たちは声のする二階へと階段を上がる。


「試練なんて無さそうに思うのはあたしだけ?」

「この声はデイジー様だろ。やっぱり」

「そうよね」

「デイジーちゃんの本体かぁ」

「俺が思うに、デイジー様の所に着いてから試練が始まるんじゃないか?」

「私もそう思うな」

「えぇぇ。長老の試練で十分だよ」

「こっちよ。早く来なさい」


 階段を上がりきった所で、再び声が聞こえてきた。どうやら一番奥の部屋にデイジーはいるようだ。奥の部屋に行くまでにも多くの部屋があるらしく、ドアがいくつもあった。


「さあ、入りなさい」


 入口の前まで来ると、部屋に入るように声を掛けられる。俺たちはドアを開け、部屋の中へ入ると、予想通り女神デイジーが椅子に腰掛けていた。


 分体デイジーと全く同じ姿、だけど、本体からは分体以上の力を感じる。ノゾムは本体であるデイジーを目の前にして、分体の姿と違いが無い(当然だが)事に安堵をしているようだ。


「よく来たわね。ノゾム、本来であれば、本体である私があなたときちんと話しをする必要があったのだけれど、セドニーの馬鹿のせいで、分体に任せてしまったことを謝罪するわ」

「デイジーちゃん。いや、大丈夫さ。分体のデイジーちゃんにも良くしてもらったし、こうして本体の君にもきちんと会えたからね」

「そう言ってもらえると助かるわ」

「デイジー様」

「大丈夫よ。あなた達の話は分体を通して知っているわ」


 分体デイジーから俺たちの用件は伝わっているようだ。話が早くて助かる。


「その話は後回しね。まずは、あなた達のもう一つの目的を先に済ませましょう」


 話が早く済まなかった……。とは言え、ここはそもそも神器を授かる為の試しの宮殿。話が通っているのなら、確かにこっちの用件を片付けてからでも遅くはない。


「デイジー様、一つ聞いても良い?」

「何かしら?」

「あたし達、トナペレ族の長老の試練を受けて、ここに来ました。ここでも更に試練を受けるんですか?」


 ミサオは余程試練を受けたくないのか、デイジーに試練の有無を尋ねる。


「ふふっ。何を言っているの。神器が欲しいのだったら、当然よ」

「はぁぁぁ……。やっぱりあるのかぁ」


 試練があると言われミサオは肩を落とし、大きなため息を吐く。ミコトがミサオを慰めるように肩を叩いた。


「試練が嫌なら神器を諦めれば良いでしょう? 私は強制はしないわよ。他の者は挑戦するのかしら?」

「もちろんだ!」


 ノゾムが力強く肯定する。俺とミコトも頷く。そして、ミサオも渋々答える。


「あたしだって受けるわよ……」

「それなら、それぞれ好きな部屋に入りなさい。でも、同じ部屋に入るのは駄目よ。一人一部屋。別々の部屋に入りなさい」


 どうやらこの試しの宮殿は、個人の力を試す仕組みになっているみたいだ。確かにパーティを組んでいて、一人が強ければ、何もしなくても試練をクリア出来る事があるかもしれない。プリメラの試練の塔にしろ、ブラッドの洞窟にしろ、俺一人で挑んでいたら、クリア出来ていただろうか?


「アスカ、何を難しい顔してんだよ。行くぞ」


 ノゾムはそう言うと部屋を出てすぐの扉を開き、


「俺はここにする。また後でな」


 そう言って、部屋の中へと入って行った。


「張り切っているな。あいつ」

「初の神器取得が掛かっているしね」

「そう? デイジー様に良いところ見せたいだけじゃない? あたしは一階の部屋にする。じゃあ、後でね」


 ミサオもさっさと走って行ってしまった。ミコトはどの部屋にするか迷っているようで、たくさんある扉を見ては首を傾げている。


「じゃあ、ミコト。俺も適当な扉に入るよ」


 俺はミコトに声を掛け、歩き出そうとした時、デイジーから声を掛けられる。


「あ、あなたはちょっとこっちへ戻って来て」


 何の用だろう? 俺はデイジーの部屋に戻った。


「あなたと一緒に居る竜の子はここに残って。話があるのでしょう?」

「アルの事、分体から聞いていらっしゃったのですか?」

「ええ。私が話をしている間、あなたは試練を受けてきてね」


 アルが<空納>から出て来る。


「やあ、デイジーぃ。それじゃあ、話をしようかぁ」


 俺はアルを残して部屋を出るとミコトも既に何処かの部屋に入ってしまったようで、既に居なかった。


「それじゃあ、俺も始めるか」


 近くにあった部屋の扉を開けて、中へと入っていった。

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