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異世界呪われた救世主〜異世界召喚されたら呪いで女に。呪った奴はぶっ飛ばす〜  作者: 陽月純
第3章 女神と親友

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衝撃の事実

 巨大なマンイーターを倒した事で周囲のマンイーターが全て消えた。マンイーターに捕まっていたデイジーの下へと駆け寄ったノゾムが目を覚まそうと、デイジーの体を揺すっている。首がカクンカクンなっているが大丈夫か?


 それでも中々目を覚まさないデイジーにミコトが<ヒール>を掛けると、漸くデイジーの意識が戻ったようだ。


「うぅん……」

「デイジーちゃん! 気が付いたか!?」


 更に激しくデイジーが揺すられ、カクンカクンどころかガクンガクン揺れている。


「ちょ、ノゾム。や、止めなさい! 私の首が!」

「あ、悪い。つい……」

「つい、じゃないわよ。それより私は何でこんな所にいるのかしら?」

「マンイーターを討伐に来たんじゃないですか?」


 俺がデイジーに声を掛けると、デイジーは俺の方を向き、再びノゾムの方を見る。


「ノゾム、彼女らは?」

「あいつは俺の元の世界の親友。で、こっちの二人は他の召喚者だ」

「成程。そっちのは、ブラッドの召喚した者。で、そっちのは……、プリメラか」


 ミサオとミコトの召喚主を言い当て、俺の方を向くと首を傾げる。


「お前は、分からん。魔力の残滓が二つあるとは。それも私の知らない魔力? いや、知っている?」

「俺たちが誰に召喚されたのか分かるのですか?」

「分かるわよ。あなた達召喚者には、召喚主の魔力の残滓があるからね」

「それって、加護の事かな?」


 ミコトにはプリメラの加護、ミサオにはブラッドの加護というステータスがある。恐らくそれがデイジーの言う魔力の残滓とやらなのだろう。


「ええ。あなた達のステータスにはそのように表示されているのね」

「そんな話はどうだっていいから、デイジーちゃんがここに来た理由を教えてくれ」

「私も状況整理をしたいから、一度宮殿に戻りましょうか」


 そう言うと、デイジーの右手の指先が光り出す。その光がこの場にいる全員の体を包み込んだかと思うと、視界が歪む。


「え?」

「何?」

「何なの!?」


 そして、次に左手から途轍も無い量の魔力を放つと、その場には何も居なかったと言わんばかりに、俺たちが戦った痕跡を消し去り、俺たちの姿も消えてしまった。


「さて、話を整理しましょうか」


 デイジーの声が聞こえて、目を開くと、さっきまで居た樹海ではなく、豪華な作りの部屋の中央にある円卓。そこにあるこれまた高価な椅子に腰掛けたデイジーの姿が目に入った。


「え?」

「ここは?」


 ミコトとミサオも驚きを隠せず、キョロキョロと周囲を見渡している。


「ここは、私の宮殿にある会談室よ」

「転移したのか?」

「そうよ。もしかして、転移は初めて?」

「ダンジョンのフロア移動位です」

「そう。これは、私の宮殿にならどこからでも転移で戻れるのよ」


 便利でいいなと思ったが、ここから他の場所には、転移は出来ないらしい。ヒデオの<ゲート>とはまた違う転移のようだ。


 そして、お互いの状況を説明する。


 デイジーが何故あんな状況になっていたのかというと、あそこにデイジーが到着した時には、あの巨大なマンイーターが十体生えていたらしく、小さなマンイーターも地面にびっしりと生えていた。そこかしこから根っこがデイジーを捕らえようと伸びて来る中、巨大マンイーターを何とか倒し、残り一体となった時、足が捕まってしまったという事だ。


 あの根っこには封印の力が宿っているらしく、捕まったら最後、抜けられなくなり、最後にはマンイーターの養分となってしまうらしい。俺たちが来なかったら女神といえど、溶かされ吸収されてしまう所だったと。


 そして、俺たちがここに来た理由、デイジーに会いに来た理由を話すと、デイジーは困ったような表情を一瞬見せると、ボソリと呟く。


「この世界のためにはセドニーを殺すな、か……」


 更に詳しい話はアルがデイジーと話をすれば良いはず? そういえば、デイジーを目の前にしているのにアルが出てこない。


「アル? 何で出てこないんだ?」


 俺が<空納>の中にいるはずのアルに声を掛けるとミコトがどうしたの? と目で訴えてくる。


「アルとは竜の子のことかな?」


 デイジーの質問に頷くと、デイジーも成程と言う顔をする。


「何か納得しているみたいですが、どういう事ですか?」

「それは……」


 デイジーが説明をしようと口を開こうとした時、アルが<空納>の中から飛び出して来た。


「アスカぁ、目の前にいるのは、デイジーだけど、デイジーじゃないんだよぉ」


 アルの言葉に俺たちは意味が分からず頭の上に? を浮かばせ、キョトンとしていると、アルの言葉を肯定するようにデイジーが話しだした。

 

「やはり、分かるのね。その子の言う通りよ。私はデイジーだけどデイジーではないの」

「どういうことですか?」

 

 ミコトがデイジーに質問する。アルは俺の肩に止まるとデイジーの話を聞く必要もないのか、大きな欠伸をして静かに目を閉じた。


「私は、女神デイジーの分体なの。デイジーと同じ力を使えるけれど、力は本体に遠く及ばないわ」

「僕と同じだねぇ」

「あなたが誰の分体かは知らないけど、よく分かったわね」

「だってぇ、本物のデイジーならぁ、あんなモンスターに捕まらないでしょ?」

「その通りね。私の力は本体の十分の一にも満たない。本体なら苦もなく倒しているわ」


 デイジーの分体はアルの言葉に腹を立てることもなく、あっさりと自分自身の力の無さを肯定する。とは、言っても俺たちとは比較にならない力を持っていることには変わりはない。


「分体に話をしてもぉ、僕の本体も話を出来ないよぉ」

「なぁ、デイジーちゃん? でいいんだよな?」

「そうね、ノゾムにとっては私がデイジーで良いわよ。本体はあなたを召喚した後、魔力が回復するまで、身を隠しているから。私が本体の代わりにあなたと接触したの。他の分体と入れ替わったりはしていないから」


 今まで接してきていたデイジーが本体では無いと言われて動揺していたノゾムだったが、今まで接してきていたデイジーが目の前の分体のままだったと聞いて、少しホッとしたようだ。


「それで、さっきの俺の話については?」


 俺は分体デイジーに俺たちが来た話についての返事を催促すると、分体デイジーは静かに目を瞑り、口を閉ざした。


「………………」


 暫く沈黙を保っていた分体デイジーだが、漸く目を開けると、閉ざしていた口も開く。


「今、本体と記憶を共有して、あなた達の事を伝えたわ。返事は本体に聞いて。どのみち、私の力では、セドニーは止められないから」


 分体デイジーが黙っていたのは本体との記憶共有をしていたからだったらしい。


「分かりました。本体の女神デイジーは、今、何処にいらっしゃるのですか?」


 ミコトが本体の居場所を尋ねると、分体は静かに答えた。


「試しの宮殿よ」

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