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異世界呪われた救世主〜異世界召喚されたら呪いで女に。呪った奴はぶっ飛ばす〜  作者: 陽月純
第3章 女神と親友

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タク族とタク村

 デイジーを追い掛けて、デイジーが向かったと思われるタク村へと向かう俺たち。道中、デイジーが通ったような痕跡も見付からなかったが、ノゾム曰く、何かあっても直ぐに樹海は元に戻すから、通った痕跡なんてものは残らないから、いつも兵士たちも探すのが大変だと嘆いているらしい。


 いや、痕跡が残らないというのもあれだが、どれだけ宮殿から出て行っているんだ?行動力有り過ぎ……、いや、自由過ぎだろ。


「流石に、サウザート軍と衝突していたりしたら分かるかもしれねぇけど……」


 ノゾムの期待に応えることはなく、タク村に着くまでの道中で、サウザート兵が縛り上げられているとか、死体が転がっているということは無かった。ただ、モンスターにも一度も遭遇しなかった事から、デイジーが駆逐しながら進んだ可能性は残されていた。


「着いたな」

「なぁ、俺、ここで待っていても……」

「さぁ、入るわよ!」


 ノゾムの言葉を遮り、ミサオが先頭を歩き始める。タク村は、ティバルと違ってそれなりの広さを持っていた。住人が十倍ともなれば当然か。


「おぉ、猫耳だぁ!」


 歩いているタク族の男性を見たミサオの反応がティバル族の時よりも嬉しそうだ。


「ひょっとして、ミサオって猫好き?」

「分かる? あたし、動物の中で猫が一番好きなんだよね」

「へぇ。私は犬かな」


 ミサオとミコトが自分の好きな動物について話しているとタク族の若い男性が声を掛けてきた。


「おや、これはノゾム様。ようこそいらっしゃいました」

「う……ん」

「お連れ様の方々もようこそ、このような何も無い村にお出で下さりました」


 ティバル族の時もそうだったけど、うさ耳、猫耳と尻尾があるだけで他は人間そのもの。まさにファンタジーといった感じだ。


「今日は、どうなされたのですか?」

「女神デイジー様はここに来ましたか?」


 ミコトが声を掛けてきたタク族に尋ねる。


「ええ。二日程前に。直ぐに出ていかれましたが」

「残念。入れ違いか」

「何処に行ったか分かりますか?」

「さあ? 族長なら知っているかもしれませんね」

「ぞ、族長か……」

「そういえば、ノゾム様は族長が苦手そうでしたね」

「いや、そんな事は……」


 俺たちは男性に礼を言うと、タク族の族長の家を訪ねた。ドアをノックすると若いタク族の女性が家から出て来た。

 

「はあい。どちら様ですかぁ!? ノゾム様ぁ!」

「こ、こんにちは」

「きゃあっ! 嬉しいっ! 今日は何て良い日なのかしらぁ。さぁ、入って、入ってぇ」


 女性はノゾムを家の中へと案内しながら、上着を脱ぎ始めた。


「ちょ、シャムさん! 脱がない!」

「えぇ……、だってぇ」

「だってぇ、じゃない! 前から言ってるじゃん! 俺はあなたとはしないって!」

「えっと、そろそろ本題に入ってもいいかな?」


 二人の世界(シャムと呼ばれたタク族の女性から一方的な)に入っている所に俺が話し掛けると、居たの? という顔でこっちを見た。


「ノゾム様、この胸ばかりデカい娘は誰ですか? 私達の世界に土足で入り込んでくるなんて、殺しても良いですか?」


 そう言うと、右手の爪が伸びてその鋭い爪を俺に向ける。


「いや、駄目だろうが! シャムさん、いい加減にしてくれ!」


 ノゾムが本気で怒ると、シャムの暴走が漸く収まった。


「す、すみません。ノゾム様に久しぶりに会えて、つい……」

「つい、じゃない!」

「いい加減話を進めたいんだけど、ノゾム。こちらの方は?」


 ミサオがうんざりといった表情で質問する。


「ああ。この人がタク族の族長のシャムさんだ。で、こっちは、他の女神や魔王に召喚された召喚者で、俺の仲間さ」

「初めまして、アスカです」

「ミコトです」

「ミサオだよ」

「これは失礼しました。タク族の族長をしているシャムと申します。よろしくお願いします」


 ノゾムと話す時と口調が違って至って真面目な口調だ。


(ちっ。ノゾム様に群がる害虫共が……)


 シャムがボソッとこっちに聞こえないように呟いた独り言が、聞こえてしまった。うわぁ。この人完全にノゾム一筋だよ。


「それで、今日はどのようなご用件でいらっしゃったのでしょうか?」

「デイジーちゃんがここに来ただろ?何処に行ったか知らないか?」

「デイジー様ですかぁ?」


 ノゾムと話す時は甘ったるい声で話すシャムにミサオがドン引きしているが、そこは無視して話を聞く。


「そうですね。ここに来た時、北の樹海に現れたモンスターについて、話を聞かれて直ぐにそちらの方へと向かって行きましたよ」

「北の樹海?」

「はい」


 樹海も何も、このバラトレストは村や首都以外、木しか無いんだけど。そんな事を思っていると、俺の考えていることが分かったのか、シャムは付け加える。


「ここから十キロメートル程北に行った場所に、どうもここらでは見ないモンスターが発生したようです。もっとも私達はそのような所まで行かないのでよく分からないのですが」


 十キロメートルか一時間もあれば辿り着けるけど、デイジーがここを出たのは二日前。流石にもう居ないだろうけど、行くしかないか。


「ありがとうございます。俺たちもそこに行ってみます」


 俺はシャムに礼を言うと立ち去ろうと後ろを向くと、シャムが声を掛けてきた。


「行くのは構わないですが、ノゾム様はここに残っては?」

「いや、残らねぇよ。じゃあ」

「そんなぁ」


 足早にノゾムはその場から立ち去った。


「はぁぁぁ……」


 大きな溜め息をノゾムは吐くとやっと開放されたとホッとしていた。


「ノゾム、シャムさんはいつもあんな感じなのか?」

「そうなんだよ。デイジーちゃんに一回連れて来られた時に、気に入られたみたいで、来るたびにあんな風に迫られて困っているんだ。ただでさえ猫苦手なのに」


 本当に迷惑だと嫌そうな顔をするノゾムを見て少し同情する。北の出口でもシャムの態度を知っているのだろう立っていた門番から族長が迷惑を掛けなかったかと心配され、苦笑いをしながらタク村を後にした。

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