フォレストパレス到着
何故かパーティーリーダーを決めるという勝負をノゾムとすることになった俺は、勝利し、リーダーをする羽目になった。
「う〜ん……」
「お、気が付いたか。ノゾム」
「アスカ……? 俺、負けたのか?」
「見事に気絶していたわよ」
ミサオがざまあみろと言わんばかりのドヤ顔でノゾムに答える。いや、お前、負けただろうがとツッコミを入れたくなったが、ここは我慢しておく。
「救世主は伊達じゃないってことかぁ。勝てると思ったんだけどな。ま、いいや。リーダーはアスカで決定っと。じゃあ、フォレストパレスに向かおうぜ」
ノゾムは、自分のやりたかった事を終わらせて、満足した顔をしていた。
「はぁ、ま、いいや。よし、行こうか!」
俺たちはフォレストパレスへ向かって歩き出した。暫くして、ノゾムにフォレストパレスまでどれ位か質問する。
「ノゾムここから、どれ位かかる?」
「歩きだと、あ三3日位だな。全力で走って一日ちょっと、って所だろうな」
「走ったらって、それお前だけの場合だろう?」
「あぁ、そっか。お前はまだスキル使えばいいけど、二人は無理かぁ」
ノゾムは髪を掻き上げ、頭をポリポリと掻き出した。イケメンには余り似つかわしくない仕草なので、向こうでは偶に俺が止めろよと注意していたのだが、癖になっているみたいで中々治らない。
「なら、三日だな。何も無けりゃぁ」
ノゾムの言う通り、三日後には、フォレストパレスに辿り着いた。正直、野営の時、ノゾムが寝込みを襲ったりしないよなと内心ヒヤヒヤしていたのだが、何事もなく済んでホッとしたのは言うまでもない。
道中、何回かモンスターにも襲われた。だけど、ノゾムのチートステータスのおかげで、特に苦戦することもなかった。残念ながら新しい素材はゲット出来なかったので、新しい錬装武器は出来なかったのは残念だ。でも、ノゾム以外はレベルが一上がっていた。
「なぁ、アスカ。そういえば、お前、今レベルいくつだ?」
「二十九だな。何かあるのか?」
「三十無いのか……。でも、俺を倒せるくらいなら……」
何か一人でブツブツと呟き出したノゾムは放っておいてフォレストパレスの入口に向かっていくと、警備に立っている女兵士に呼び止められた。
「おや、ノゾム様。また新しい女性をお連れになったのですか?」
ノゾムが苦笑いしながら首を横に振る。ミサオはそんなノゾムをジト目で見ていた。
「この人たちはそういうのじゃ無いよ。ところで、デイジーちゃんは?」
「デイジー様ですか? まだお戻りになられていません。宮殿でお待ちになられては?」
ミサオの視線は無視して、あちゃあという顔をするノゾムの顔を見て、何か嫌な予感がする。
「デイジーちゃん、いつ出て行った?」
「昨日ですよ」
「あらら……」
デイジーは昨日出て行って戻っていないらしい。それにしては、ノゾムのやってしまったという雰囲気が気になる。
「どこに行ったか分かる?」
「タクの方かと……」
門兵が自信無さげに答える。
「あぁ……。やっぱり行き先告げずに出て行ったのか」
「はい。我らのステータスでは、デイジー様のお姿を追う事もままならず。方向位しか。お力になれず、申し訳ございません」
ノゾムが門兵の手を握り、肩をポンと叩いた。
「気にしないで。俺だってまだデイジーちゃんの動きには全くついていけないんだからさ」
二人の話を聞いている限り、デイジーはいつも誰にも行き先を告げず、勝手に出て行っている女神のようだ。放浪癖でもあるのだろうか?
「ノゾム。デイジー様には会えないのか?」
「そうだな。昨日かぁ……。たぶん、一週間から十日後位なら帰って来るんじゃないか?」
「「は?」」
俺とミサオの声が重なる。ミコトは声には出さなかったが、やはり驚いているようだ。
「いや、女神としての仕事で出ていくと、暫く帰って来ないんだよ」
「サウザートと戦争が始まってからは、更に出掛けている期間が長くなりました……」
門兵が困ったものですと、ノゾムの言葉に付け加える。放浪という訳でもなさそうだが、ブラッドの伝言が伝わる前に、セドニーと戦いにでもなったら、ここまで来た意味がなくなってしまう。
「何とかならないのか?」
出来ることなら早く伝言を伝えたい。ノゾムは俺の問いに頭を掻きながら答える。
「また行き違いになる可能性もあるけど、タク村に行ってみるか? 途中で出会えるかもしれない」
ノゾムは少し嫌そうな顔をしながら答えた。
「どうしたの? 何か嫌そうだけど?」
ミサオもノゾムの様子に気が付いたのか質問をする。
「いや、すれ違いになるとな……」
「何か別の理由がありそうだけど?」
俺はふと門兵に尋ねた。
「タク村って?」
「タクですか? タク族が住む村です。ここから北東に四十キロメートル行った所にある住人が三百人程の村ですよ」
タク族という事は亜人族?
「タク族は亜人族なのですか?」
ミコトも気になったのか尋ねると門兵は頷いた。亜人族ならファンタジー好きのノゾムが好きそうだけど。待てよ。
「亜人族という事は、やっぱり獣人なんですか?」
「そうですよ」
そういえばノゾムが苦手な動物がいたな。小さい時に襲われてから、怖いんだとか。
「それって、猫人族なのか? ノゾム?」
「う、あぁ、そうだよ……」
「「???」」
成程。それで行きたくない訳だ。
「え、ノゾム。まさか、猫駄目なの?」
ミサオが核心をつく質問をする。
「わ、悪ぃかよ、子供の時に、滅茶苦茶、引っ掻かれてそれから猫だけは駄目なんだ!」
「ぷっ。何それ? かわいいとこあるじゃんっ。くすくすっ」
「わ、笑うんじゃねぇ」
はぁっと俺は大きな溜め息を吐くと、ノゾムの肩に手を置き、
「猫人族は人だろ? 猫じゃないんだ」
「分かっているよ。分かっているけど、猫耳がやっぱり苦手なんだよ……」
「じゃあ、お前を置いて俺たちは行くよ。お前は宮殿で待っていればいいさ」
俺はミコトとミサオに行こうとタク村のある北東へと向き歩き始める。
「わ、分かったよ。行くよ、行けばいいんだろ!」
「無理しなくても良いですよ?」
ミコトがノゾムを心配して声を掛けるが、ノゾムは首を横に振る。
「ありがとう。ミコトちゃん。大丈夫。一緒に行くと決めたのは俺だからさ」
ノゾムは、門兵に、もしデイジーが先に帰って来たら、何処にも行かないように伝えておいてくれと頼んで俺たちと一緒にタク村へと向かう。




