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3/9

3,出発

誤字報告ありがとうございました。

 カブちゃんとの出会いを果たし、人だかりも多くなってきたため一度、初期リスポーン位置から離れた私たちは課金特典の確認をしていた。


 うん、ちゃんと全部ある。


 私の課金特典は、テイムモンスターの選択権とランダムボックス以外に三つ。

 一つは、初期所持金を1000Gから3000Gにしてくれるもの。このゲームの物価がどの程度かわからないが三倍は大きいはずだ。

 二つ目は、体力回復ポーション3つ。しかし、これは正直使いづらい。戦闘での必需品であるポーションを使いづらいとは何事か、と思うかもしれないが、このポーション、使い捨てにも関わらず体力を15も回復してくれるのである。私の体力の3倍だ、正直もったいない。ということでこれはお蔵入り。ベータ版の情報で、その辺に生えている薬草が体力3回復だったのでそちらを使う。カブちゃんの体力は8もあるのでそちらに使うかもしれないけど。

 三つめは、選択式初心者セット。ベータ版の情報によると初心者セットは各ギルドで初心者クエストをこなさないと手に入れることはできない。それを手間なく手に入れられるのはかなりありがたい。

 実はこのゲーム、初期キャラで生産スキル持っている種族がいない。どのキャラクターでも生産ができるように、といった運営の配慮だそうだ。さすがにステータスの伸び方は種族によって違うので、攻略サイトにも生産にむいている種族、そうでない種族が記載されていた。しかし、こういう運営の心遣いはプレイヤーとしてうれしい。自由度を大切にしているってことだもんね。

 そんな私が選んだのは初心者用錬金セット。支援系種族のピクシーを選んだので私に戦闘力を求めると中途半端なステータスになってしまう。そのため、私は使えるものなんでも使ってバフを掛けるバッファーになる。

 アイテムをつくって、バフかけて、カブちゃんに戦ってもらう。それが一番やりやすいと思う。レベルアップしてスキルポイントがもらえたら『錬金』スキルをとろう。たしか、初期スキルツリーで2ポイントだったはずだ。



「----」


 私がアイテム確認を終えたことが何となくわかったのか、カブちゃんがこちらを見上げ、某じゃんけん昆虫ゲームに出てくるあのカブトムシたちのような声をあげる。

 あの声、獣っぽくもあんまりないし、ちゃんと虫の声ってわかるの凄いよね…


「うん、今終わったよ。それでカブちゃん、これからどうする?私は街を出て戦いに行くか、街中を散策するか迷ってるんだけど。」


 私はそう言って、右手を出しながら「戦う?」と、左手を出しながら「散策?」と尋ねる。


「-----!!」


 お、カブちゃんが私の右手角で小突いてきた。よーし、わかった。カブちゃんがそういうなら早速、街を出て、狩りに出かけよう。


「戦いね、わかった。それじゃあ行こっか。」


「-----!」


 カブちゃんは嬉しそうに声をあげる。基本好戦的な子なのかな?頼もしくてなによりですよ。精一杯支援させていただきます。

 散策の方も大事と言えば大事だけど、まぁ、そのうち掲示板に書き込まれるでしょ。ゲーム開始直後で新発見も多いだろうし、みんなこぞって書き込んでくれるよ。「第一発見者おれ!」ってね。正直言って私もやりたい。

 私たちはそれを逆手にとってレベル上げにいそしむ…ふっ、うちの子、頭もいいんですよ…なんて効率的な選択。将来はエリートカブト間違いなしよ。まぁ、リスポーンしたら所持金いくらか持ってかれるんですけど。しかーし、カブちゃんが戦いたいと言っているのだから狩りに出かけるのは最早テイマーとしての使命。下手したらアイテムも失うから課金した意味がなくなるけど、カブちゃんを仲間にできた時点でそんなもの問題なしだ!もってけ泥棒!


「えーっと、街の南の方が森エリアだっけ?カブちゃんの種族的にそっちの方がやりやすそうだし、そこに行こうか。」


 先ほどまで寄りかかっていた壁から離れ、南に向かう。

 子犬ほどの大きさのカブちゃんには私の歩く速度が速いのか、すでに地面から離れ、私の横を跳んでついてきている。可愛いね。いつか、その背中に私を乗せてくれな。

 真横をカブちゃんが飛んでいるというのに、カブちゃんの羽音は喧しくない。私たちが見たことのあるカブトムシの羽の動きと違って、カブちゃんの跳ねの動きは蜂やハエのそれなのだがそれでも不快な音は全くしなかった。たぶん、ゲームの快適なプレイのために抑えられているんだろう。もしくは味方だからか。敵モンスターだと不快感を逆に出してくるかもしれない。まぁ、私はカブちゃんがどんな音を出しても愛しますけどね!

 私が一人でごちゃごちゃと考えているとカブちゃんが「何にしてんの」と言わんばかりにこちらをのぞき込んできた。あら、お恥ずかしい。


 そんなことをしているうちにいつの間にか街の外壁へ。大きな壁は街を取り囲むようにそびえたち、出口の門には衛兵らしきNPCが立っている。

 あのNPC強いんだろうな、序盤では手に入らないだろう金属鎧をまとってるし。


 衛兵から目を逸らし、街の外に目を向ける。

 ここを抜けたらそこはフィールド。モンスターの闊歩する弱肉強食の世界だ。

 改めてカブちゃんと目を合わせ、一緒に外の世界に飛び出す。


「な、なんか緊張してきた…。カブちゃん!頑張ろうね!」


「----!」


 最初の目的地は第一エリア南の森。私たちからは既に遠目に見えているあそこだ。張り切っていってみよう!



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