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1,キャラクリとスキル

 待ちに待った新作VRゲームの発売日。

 日々の労働に耐え、ただひたすら時期を待っていた私は、今、ついに待ちわびたゲームを手に自室のベットで寝転んでいた。


「GRAND WORLD ONLINE」

 発売が決定してから、日本中、いや世界中で注目を集めたこのゲームは広大な世界で自由なプレイングができることを売りにしたVR型オンラインゲームだ。

 フルダイブ型オンラインゲームが世の中に普及し始めてからはや数年。様々な問題、批判を浴びながらもあまたのゲーマーからの熱い支持によってすさまじい盛り上がりを見せていいるこのVRゲーム、その新作が自分の手の中にあることをもはや現実だとは思えなかった。


 初期配布本数5万本…そのうちの一本がまさか私のもとに…


 これまでもVRゲームをプレイしてきたことはあった。しかし、新作ゲームの初期配布に当たることなど初めての経験だ。

 興奮して現段階でできる課金要素を全て行ってしまうくらいには…


「よし…8時になった。…ゲーム起動!!」


 傑作が約束されたゲーム。

 口元がにやけてしまうのを感じながら私はゲームを起動した。



 ・

 ・

 ・



「プレイヤー名を決定してください。」


 ゲームを起動して初めに飛ばされてきたのは、一面真っ白な何もない世界。

 これから自分のアバターを制作していくことになるのだが、私は課金をしていたこともあってか決められる要素が人よりも多い。アバターができる前からワクワクが止まらないわ!


 どこからともなく聞こえてくる声に従って、事前に決めていた名前を打ち込み、種族、職業を決めていく。



 名前:カブト

 種族:ピクシー

 職業:テイマー


 体力:5

 攻撃:3

 魔力:7

 防御:3

 魔防:4

 素早:10

 器用:6


【スキル】

 支援魔法、光魔法、逃げ足、テイム



 私の選んだ種族はピクシー。素早さが最も高く、支援魔法が得意な種族だ。元からテイマーをやりたかったこともあり、ベータテスターからの評判的に、モンスターを強化しやすいこの種族にした。


 職業でテイマーを選んだ理由は私の幼少期からの夢に起因する。


「職業でテイマーを選ばれましたのでこれよりテイムモンスターを紹介いたします。

 なお、カブト様は〈ゲーム開始得点キャンペーンLv5〉をご購入されております。よって下記のモンスターの中からご希望のモンスターをテイムすることができます。」


 アナウンスと同時に私の手元にウィンドウが表示される。

 十数種類のモンスター。可愛らしいもの、勇ましいもの、ちょっとグロテスクなものまでさまざまだが、私の指は迷うことなく一体のモンスターを選択した。



『カブト』

 カブトムシ型モンスター。

 力が強く、どんな相手にも勇敢に立ち向かう。


【スキル】

 突進、突き上げ、ぶん投げる、飛翔



 そう、私の夢とは「カブトムシにのって空を飛ぶ」ことだ!

 男の子ならだれでも考えるであろう夢。家で飼っていたカブトムシを見て、森で見つけたカブトムシを見て、その背中に乗り、大空へ飛びたいと誰もが思ったはずだ!だが!これは断じて男の子だけの夢ではない!!私だってカブトムシに乗って空を飛びたい!故に私はこのカブトムシを選ぶ!名前もお揃いだ!うれしいね!今はまだ子犬ほどの大きさで乗せてもらうことはできないが、私もピクシーという小さい種族。いつかはその背中にまたがり、一緒に空へ飛んでいけるだろう!


「続いてランダムボックスの開封を行います。どのランダムボックスを開封しますか?」


「モンスタースキルでお願いします!」


 そして!極み付けはこの課金特典のランダムボックス!

 武器、プレイヤースキル、アイテム、モンスタースキルの中から一つのボックスを選びその中からランダムなアイテムやスキルを貰うことのできる初期特典の目玉!

 私の狙いは「巨大化」だ。このスキルはベータ版のボスモンスターで確認されているため、ランダムボックスに入っている確率はゼロではない!故に!ここで巨大化を手に入れることができれば私はプレイして即、相棒と共に空へ舞うことができる!カブトムシに乗って空に!!!


「かしこまりました。ランダムボックスを開封します。」


 調子のよい音楽と共に、目の前には大きな箱が現れる。

 足元には煙幕、頭上からはスポットライト。ドラムロールの加速と共に、いよいよ箱の中身が明らかとなる。


 あとは私の運だけだ!頼む!こい!!!




「おめでとうございます。スキル【孤軍奮闘】を入手しました!」



 まぁ、そんなにうまくいくはずもないけど…

 しかし、悲観的になることはない。目的のスキルを手に入れることはできなかったが、このゲームを始めた時点でカブトムシに乗って大空を舞うという目標はほぼ達成されたも同然。

 普通に進めていけばこの子も進化するだろうしね。大きくもなるはずさ。

スキルは多ければ多いほどいいことはすでに様々なゲームで証明されているため、今回の課金も全く持って無駄ではない。はなから勝ちが決まっていた勝負ってわけさ!


「その他の特典は、ゲーム開始時にアイテムボックスへと転送されます。

 これにより、全ての設定が完了しました。ゲームを開始してよろしいでしょうか。」


 おっと、くだらない負け惜しみをしている間にゲームが始まりそうだ。しかし、ちょっと待ってほしい、私はまだ手に入れたスキルの確認すらしていないのだ。ゲームが始まってからでも遅くはないが、なんせプレイ人口は6万人。人だかりの中でスキルの確認何てしたくない。

 ということでまずはさっき手に入れたスキルを確認して………………………え?



【孤軍奮闘】

 単身で最も力を発揮することができるようになるスキル。

 パーティーを組むことができなくなるかわりに全ステータスに補正がかかる。

 テイマーの場合、プレイヤーがこのスキルを取得することはできない。モンスターがこのスキルを取得した場合プレイヤーはそのモンスター以外のモンスター、プレイヤーをパーティーに加えることができない。



「…………」


 どうやら私はぼっちが確定したようです


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