みいちゃん 2
はあ、はあ、
息が切れる、水とうもどこかに落としてしまったようだ、のどがカラカラだ。
木の根につまづき、石ころに足をとられて、あちこちすり傷だらけ。土によごれたひざからは血がにじんでいる。
それでもボクはがんばって走った。
ようやく、さんかく山の頂上に着いた。急に青い空がひらける。
「きもちいいねー!」
いつの間にか、みいちゃんが横に立っていた。ぼくの心臓はさらに速く打つ。
「あれ、ひざ」
みいちゃんが、ボクのひざに気づいて、かがみこんだ。
「ころんだの? ドンくさっ」
そう言いながらも、自分のリュックから白いハンカチを取り出して、そっと上からぬぐってくれた。
「はい、いつものやっといてあげる。いたいのいたいの、とんでけ~」
あまりにも軽い言い方だったけど、ボクの心も少しだけ軽くなる。
頂上の風は、とても冷たくて気持ちがよかった。
水とう、落としたの? やっだ~、みいちゃんはオバサンみたいな言い方をしてから、自分の水とうを開けて
「ひとくちだけだよ」
そう、渡してくれた。
みいちゃんの麦茶は、まだ冷たくて思わずひと口、もうひと口、そしてついついボクは一気にのどに流し込んだ。
「あー! ひとくち、って言ったのに!」
みいちゃんが怒ったのはほんの一瞬で。
すぐに
「暗くならないうちに帰らなくちゃ。じゃ、いっくよ~~!」
元気に叫んで、今度は下り坂を、ずんずんと駈け出していった。
泣きそうになりながら、ボクはまたあわてて後を追いかけた。