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みいちゃん 5
みいちゃん。
いや、みずきはずっと、追ってくるはずだ。
ボクのことを。
小学校から中学校になって徐々にボクの背たけが伸びて、いつの間にか彼女を追い越し、学校では体育や学級活動ばかりではなく、勉強も優劣がつくものなんだ、と誰もが心身ともどもみずからの芯からすっかり染められた頃にボクは『僕』に成長して、誰もが認める優等生という存在になって。
そんなつもりはなかったのに、『頭脳明晰』で『沈着冷静』、『何ごとにも動じない、鉄の心臓』だなんて言われて、どこか自分でもその気になっていって。
そして、
幼ななじみの呼び方が
『みいちゃん』
から
『みずき』
に変わって。
いつの間にか、追うのは僕ではなく、みずきの方になっていた。




