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5.公園は危険が一杯

「ちいいいっす。現在公園に来ております―」

「ハト、相変わらずテンション高っけえな! くああ」

「遊びましょう! 先輩!」

「おい、ハト、砂場はやめとけ」

「え? そうなんすか?」

「砂場は奴らがマーキングしている。掘り起こして……」

「なるほど……さすが先輩っす!」


 ハトはくるっぽくるっぽと鳴きながらよちよちと砂場の前までくると、クンクンと匂いを嗅ぐ。

 しかし、ハトの鼻ではよくわからなかった。


「やめておけよ! ハト。分からないからってつつくなよ!」

「そう言われるとやりたくなりません?」

「マジ、しゃれにならんからな! って、噂をすれば奴が来た」

「マ、マジっすかああ!」


 奴の姿を確認したカラスとハトは、急いで木の上へと退避する。もちろん奴が登ってこれないほどの高い位置に。

 つぶさに奴を観察する二羽……しかし、奴は二羽のことなど気にも留めず砂場へゆっくりと足を運ぶ。

 そして、左右を見渡した後、砂を掘り返し用を足す。

 

「先輩、立ち去りませんね」

「用が済んだら行きゃあいいのにな……面倒な奴だぜ」


 口では悪態をつきながらも、高い位置から動こうとしないカラスとハト。

 そんな彼らの後ろから不意に声がかかる。

 

「何してんだ? お前ら?」

「ト、トンビ兄貴!」


 間の悪いことにトンビが彼らの元へやって来てしまう。

 

「あ、あそこに奴が……」


 たどたどしく説明するハトへ、トンビがふうんとビビった様子もなく奴へと目を向ける。

 

「あんなのにビビってんのか。よおし! カラス、お前も来い」

「え、えええ。俺も?」


 トンビに睨まれ、カラスは掠れた声で「はい……」と答えてしまった。

 トンビが飛び立つと、カラスも嫌々ながらそれに続く。

 

 トンビが奴の目前まで迫ると、奴は本能といえる動きでトンビを目で追い前脚を繰り出す。

 

「う、うおお。こいつ……強ぇえな……驚いた。退散だ! カラス! ってえおおおい、何してんだよ!」

「あ、いや」


 余りの恐怖から気が動転したカラスは何故かトンビの背中にライドオンしていた。

 トンビはカラスを振り払っている余裕もなく、そのままカラスを乗せたままハトのいる場所へと戻る。

 

「全く……またな、お前ら」


 トンビは捨てセリフを残し飛び立っていった。

 

 トンビが見えなくなると、カラスとハトはめいいっぱい「くああ!」と叫ぶとはああと胸をなでおろす。

 

「先輩! パねえっす。まさかトンビの背に乗るなんて!」

「は、ははは、そうだろそうだろ」


 彼らがそんな会話を交わしている間に人間の子供が二人やって来て奴を見つけると、奴は尻尾を巻いて逃げて行ったのだった。

 人間の子供も滑り台を一度滑っただけで去っていく。

 

「ふう、静かになったようだな。ハト、滑るか?」

「そうっすね!」


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