思い出と決めた事
その後も横村さんの事ばかりを思い出していた。
楽しい思い出、嫌な思い出…色々な事があったけど結局思い出すのは、横村さんの笑顔だったりする。
「はぁ…」
朝、ため息を吐いたばかりなのに…。
やっと、戻りたかったお店に戻れて嬉しいはずなのに…私は横村さんといた水木店ばかりを思い出す。
『星村さん』
呼ばれた気がして振り返ると、深瀬さんが困ったように立っていた。
「どうしたんですか…?」
『ごめんなさい。ちょっと終わらなくて、手伝いをお願いしても良いですか…?』
昔、思っていた感情…それは、助けてあげなくちゃ…という思い。
私は、迷わず返事をした。
「大丈夫です。今からしますね。」
『ありがとうございます!!』
嬉しそうにお礼を言って、自分の仕事に戻って行った深瀬さんを見ながら、思わず微笑んでいた。
その後、深瀬さんのお手伝いをしながら、こんな事を考えていた。
いくら、水木店と横村さんの事を思い出しても、もう戻って来ない。
そしたら、今私が出来る事をするのが一番なんじゃないかな…。
いつか、横村さんに私が成長した姿を見てもらえるように…また星園店で頑張ろうと決めた。
そんな風に思えたのは、深瀬さんのお陰かな…。
理由は、自分でも分からないけど。