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あの頃と今
『星村さん』
私の1日は、"あの人"の呼びかけで始まる。
もう私の名前を読んでくれる事はないのに…思い出してしまう。
「はぁ…」
ため息を吐いて、会社へ行く為の準備を始める。
あなたがいたら、私の気持ちは明るくなるのに…と思っても仕方ないのは分かっている。
準備が終わり、会社へ向かった。
会社に着いた私は、気持ちを切り替えてパートさん達と挨拶を交わしながら、従業員用の部屋へ向かっていた。
『お疲れ様です』
頭を下げながら声を掛けてきたのは、大好きだった深瀬さん。
「お疲れ様です」
あの頃は、挨拶が出来る事さえ嬉しかったなぁ…と思い出していた。