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師匠から習った内丹術で異世界脱出!〜旅はつらいよ〜  作者: 楊文理
第2章ーーガルバニアの夜明けーー紅き反乱軍ーー
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ガルバニアの夜明けーー紅き反乱軍ーー

これまでのあらすじ

盗賊団に囚われていた姫を救った太一、その後一人旅を続けようしたが。国から姫様のお忍び旅行の護衛をさせられる事になり、更に拒否権がない状況に追い込まれた。しかも姫様は箱入りそうで超お転婆だった。果たしてこの旅は無事に終わるのか!

「あとちょっとで着きますよ!早く!早く!」


「ちょっと待ってくれ!急ぎすぎだ!」


「別にいいじゃありませんか、早く着いた方が宿もすぐにとれますよ」


「いやぁそうだけど…」


 シャーロットが興奮しながら走ってるのを追いかけながら俺は走っていた。何しろ始めて国の外に出たんだ、それなりに興奮するのも分からなく無いだろう。


 しかし、それにしてもペースが早すぎる。初日からいきなり大体20キロくらいを歩いて、その次の日には30キロという、軍隊じみた強行ペースで歩き。更に、道中の村で散々農作業の手伝いをするという。バケモノじみた体力があった。

 何故そんなに体力があるのか、聞いてみると。


「私、たまに城から抜け出して色々なお仕事をしてみたりしていたからです。何なら家事もできますよ」


 にこやかに手慣れた手つきで料理を作りながら答えられた時には、とても驚いた。何しろお姫様という物は、箱入り娘が基本だと思ってたからだ。


 実際の所、今回はお忍び旅行と社会科見学みたいな物なので、あまり目立って欲しく無いのが本心だが。何しろ笑顔が可愛いので、ついつい許してしまってるのが現状だ。


 振り回されながら本来の日程より早く、三大国の一つのガルバニアに辿り着いた。


 ガルバニアはアルヘーンから見て東にあり、首都までの距離はおよそ100キロ近く離れている。

 経済的には三大国で一位で、軍隊では魔法強化兵という、魔法によって強化された兵による、少数精鋭な組み合わせで構成されている。


 首都ガルバニアには魔法によって出来ている巨大なバリアーと数百門はあるであろう大砲で構成された。マジーノの壁という城壁があり、王都に進行される心配が無いと言われてる絶対的な自信がある国だ。


 また、魔物が数多く生息する『魔界』と呼ばれる地域に三大国で一番大きく隣接しているため、魔物退治に関してはエキスパートが数多くいる国でもある。


 都市壁が見えるくらいの距離になってシャーロットの暴走を諌めながら、国の入り口に近づくと、衛兵に質問をされた。


「道中で、赤い長ズボンを履いた集団を見ませんでしたか?」


「いいえ、見ませんでしたよ」


「そうですか、ご協力ありがとうございます。それでは良い観光を」


 何か不自然に感じたので、赤い長ズボンが何かあるのかと尋ねると。


「最近、その集団が革命を企てているという噂があるんです。今の生活に私は困って無いんですけどね。困ってる連中が、貴族が悪いだとか、王政を変えろ、だとか騒いでるんですよ。困った話ですね」


 疲れた顔で衛兵が話してきたので、お疲れさまです、と言って街の中に入った。


「そこの嬢ちゃん!良かったらこれ見ていかないかい?お安くしとくよ!」


「このパンは美味しいよ!今買ってくれるなら二つ付けてあげるよ!」


「そこの色男!嬢さん連れならここの宿を安くするよ!」


 ごちゃごちゃとした人の濁流を泳ぎながら、耳には客引きの声が響き渡っている。地元を思い出して帰郷感を感じだが、それよりもシャーロットを止めるのに気を取られて、あっという間に消えて無くなってしまった。


「こんなに人が多いのは、アルヘーンでも祭りの時くらいです!市場の色んな店に目移りしてしまいます!」


「興奮するのは分かったから!取り敢えず、深呼吸しようか」


 そう言って路地裏に誘導すると、そこには先客がいた。


「オゥェェェ、気持ちわりぃ」

 そこには地面に向かって嘔吐物を撒き散らしている、ボロを着た男がいた。


「おお、そこの女連れの兄ちゃん。頼むから水分けてくんない?」


 そう言って、水を求め来たので。恐る恐る水を渡すと、一気に飲み干して。


「ありがとな、俺の名前はゼーフィス。あんな汚い物見せてすまんな、お礼とは何だけど、これやるよ」


 そう言って、男は何か金貨らしき物を渡してきた。


「んじゃ、いつか会う時に」


 気がつくと、男は気配も無く消えてしまっていた。


「何だったのでしょう?」

 そう言って首を傾げている、シャーロットを話よりも、俺はある事に気がついた。


「何で、この男も泥酔状態で歩いて来ただろうに、足跡がないんだ…?」


 俺はその事を一日中、考えていた。


 エスコートしながら、様々な買い物に付き合わされて。気が付くと日が沈んでいて、振り子時計が18時を示していた。


 俺は昼間の内に取っておいた宿へ行き、ディナーを食べてその日にあった事をまとめていると。シャーロットが隣から覗いてきて。


「貴方ってマメな人ね、私なら2日も持たずに投げ出すわね」


 興味深そうに見てくると、俺は恥ずかしくなり。


「俺の少ない日課だから大切にしたいからね」


 そう言って、俺は日記を書き終わると。時刻は21時を回っていて、シャーロットは既にベッドで寝ていた。

 護衛の為に同じ部屋に寝ないといけないが、女の子の匂いが部屋に篭っていてかなりドキドキしてあまり眠れそうになかった。

 俺は留まる期間の、1週間の無事を祈りながら、眠りについた。






 ーーーー 一方外では、


「あの兄ちゃん、隙も何もありゃしねえぞ。流石姫様の護衛だ」


「私はそんな事は聞いてないんだ、それより協力を仰ぐ事は出来そうか」


「まぁ、護衛も姫様も御人好しっぽいし。正直に言ったら出来るかもしれないな」


「そうか…こんな時に貴重な人材が来てくれて嬉しいよ。これなら我々の解放軍(ジュゼッペ・サンキュロット)にも光が見える」

「いつ、勧誘しますか?」


「明後日でいいだろう。必ず成功させろよ、これに我々の進退が掛かってるからな」


「お任せあれ、総司令(トータルコマンダー)


 夜は更けていき、革命の風が近づいてくる……






これからは新章なので温かく見守って下さい。

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