ーー姫様誘拐ーーその③
ここまでのあらすじ。
ウィリアム氏と一緒にアジトに行く事になり道中に盗賊の雑魚を倒して、盗賊のアジトに辿り着いた一行。姫様の位置を内丹術で見つけ、部下の死体がある場所でウィリアム氏が盗賊に対して復讐を誓った。
奥に進んでいると、おぞましい気を放っている部屋があり、そこに入ると女の死体が辺り一面に広がっていた!そこで嫌な予感を悟り急ごうとする一行。その先で道を立ち塞がる今までと違う盗賊の男がいた、どうやら戦いは避ける事は出来なさそうだ。
「貴様なぞ、私が焼き捨ててくれる!灰塵と化せ!《サン・レイジ》!」
ウィリアム氏はそう言いながら先手を打った。使った魔法は先程言っていた、自身が使える最強魔法である《サン・レイジ》だった。
洞窟の全域を焼き尽くす位の熱量があるであろう、火の玉を一点に集中して
ぶつける魔法らしいが、決まるのだろうか?そう思っていると、相手は。
「ほぉ?それがお前の切り札か、いいだろうぶつけてみろ!」
こちらを見下したように余裕の態度だった。
「なら、食らって見せろ!!」
火の玉が熱を開放し、辺り一面を火の海に変えた。
「ふん、口程でもないじゃ無いか」
そう言いながら、ウィリアム氏は先に進もうとしたが、炎の海から人影が出てきて。
「へへっ、兄ちゃん、この剣を見た事は無いのかな?」
そう言いながら、男は両刃剣を見せてきた。
「なっ…その剣は〈マジックイーター〉か!」
〈マジックイーター〉は確か魔力を食って持ち主の力になる、高位の魔法武器らしいが、何で持っているのかと考えていると。
「俺たちは、盗賊だ。盗品の中にこれがあってな、No.2の俺様が持って行ったわけよ」
そう言い、ウィリアム氏に斬りかかった。
「くっ……」
ウィリアム氏が護身用に持って短剣で受け止めたが、一撃で折れてしまった。
「腕も衝撃で折れただろう。あばよ、アンタの持ってる物は俺たちがありがたく貰っていくよ」
男はそう言い、吹き飛ばされたウィリアム氏に近づき、斬り捨てようとしている所を、寸で割り込んだ。
「くっ…何だおかしな服の兄ちゃん、お前もこの剣の恐ろしさを知ってるだろ、さっさとアルヘーンにでも帰ってな」
その男はそう言い、こちらを嘲笑いながら剣を構えて直していた。
俺は、ウィリアム氏を構えて距離を取りこう尋ねた。
「あんたの名前は?」
「何で俺の名前なんて聞く?」
「それは、愚か者の墓と犯罪者の記録をアルヘーンに残す為だよ」
「貴様ァ!殺してやるわ!!」
激昂した男は、こちらに向かって走ってきた。油断しているのか、はたまた魔法を使ってくると考えてるか、わからないが防御を捨てて斬り込んでこようとしていた。
「真っ二つになっておっ死ね!このアホ野郎が!!!!」
思いっきり袈裟に斬り込んできた剣を刀で流れにそっていなし、思いっきり気を込めて腹部に蹴りを入れた。
「ぐっ…ただの蹴りなんぞ効くか」
そう言いながら、距離を取ろうとしたが、足が動かない事に気付いた。
「何でだ?何故足が動かない?」
男が困惑しているところに俺はこう告げた。
「お前の体内に気を流し込み、全身に行く電気信号を徐々に遮断した、じきに全身も動かなくなるだろう」
男は理解してないようだが、事の重大さを理解した途端青ざめた。
「まっ、待ってくれ。俺は確かに人を殺したが、女は殺してない!」
「なら、あの女の夥しい死体は誰が作った?」
「あれはお頭だ、お頭は死体を見るのが好きだったから、犯した後殺してあの様にして飾ってたんだ」
「そうか、それなら姫はまだ無事か?」
「まだ殺しちゃいねえよ、なぁ頼むよこんなに喋ったんだから、助けてくれよ」
「お前はそう言った男達を助けてやったか?」
「いやそれは無いけど、なぁ頼むって」
男はそう言いながら、錯乱状態になっていた。
「最後に、お前から名前を聞いてなかったな」
「俺の名前はジェイクだ、助けてくれよォォ」
「俺は許すが、さてお前に殺された男の上司は許すかな」
そう言って、俺は立ち上がっていた、ウィリアム氏の腕を治し柳葉刀を渡してこう言った。
「復讐のチャンスですよ、ウィリアムさん。ここでジョン達の仇を取りましょう」
俺はジェイクにこう言った。
「お前の生死はこの男が決めてくれるよ、祈るんだな」
ウィリアム氏は憤怒の形相でジェイクに向かって歩いて行った。
「これは、フレッドの痛み!」
そう言って、横たわっているジェイクの右足を刺した。
「ギャアァァァ!」
まだ痛みは感じるらしく、ジェイクは叫びを上げた。
「これは、ジョージ!、これは、アドルフ!、これは、ジョン!」
そう言いながら、左足と両手を刺した。
「ギャアァァァア!!!!、もうやめてくれ!!」
ジェイクは、そう叫びながら命乞いをしている。
「そして…これは…これは……私自身の痛みだァ!!」
そう言って最後は心臓に刀を突き立てた。
「グワァァァァァァァア!!!」
ジェイクは血を口から吹き出しながら最後の断末魔を上げた。
「はぁ…はぁ……」
ウィリアム氏は肩で息をしながら突き立てたまま立っていた。
「どうでしたか?仇は取れましたか?」
横から俺が尋ねると。
「あぁ、ありがとう。君のお陰で仇は取れたよ。Mr.タイチ」
ウィリアム氏が満足そうな顔で言ってくれた。
「それなら、私達の任務を遂行しましょ
う!」
「あぁ、そうだね!さぁ行こうか」
そう言って、俺とウィリアム氏は奥へと急いで行った。
自分でもまだまだ文書力が足りない事を自覚してるので精進していきます。