ガルバニアの夜明けーー紅き反乱軍ーーその16
これまでのあらすじ
政府軍の隊長である姉弟と戦っている太一、時間を稼ぎ相手の焦りを誘発して見事に魔法を同化吸収して術のカウンターで倒した。
しかし太一は殺す方が出来ずに、少しでもまともな生活を送らせて更生させたいと願い捕虜として捕らえた。
姉の第五魔法を吸収し、戦線に帰ってみると時間が一時間半過ぎて戦況が変わっていた。
果たしてこのまま勝利へと向かう事が出来るのか!
ーー戦闘開始から6時間半が経過した
両軍の戦力は徐々に削れていき革命軍の総軍は半数を割っていた。
「おい!あと何人いるか!」
「大体500人程です!」
「チッ!……取り敢えず隊伍を組み直すぞ、一旦引け!」」
「了解!おい、全員引け!」
姉弟を倒した後、太一は一度司令部に行き姉弟を牢屋に入れ再び前線へと戻って行った。
1500人ほどだった魔導師大隊も半分を割っており、大隊としての役割を果たせなくなっている。
しかし政府軍の魔導師軍も損耗は激しく、戦力で言ってみれば革命軍の方が質で優っていた。
政府軍を巧みに中心に誘導し、後は背後を衝くゼフィーの大隊を待つだけだが、その大隊の雰囲気が全く感じられないでいた。
(ゼフィー達の気をあまり感じない、もしかしたら殆どの人員が殺されてしまっているかもしれない。しかし、ゼフィー達が生きてないとこの戦いは絶対に勝てない…頼む生きていてくれ!)
前線から少し離れた高台で再編成を行っている時、太一は心の中で祈っていた。
このままだと練度の低い民兵の集まったこちらの軍は不利なため、ジリジリと削られていき負ける以外の結末が見えない。その事態を打開するための疑似包囲の戦術だが、その要は自身の軍とゼフィーの軍との連携なのだ。
(あぁ…俺は何でこんな戦いに巻き込まれたんだろうか…姫のお忍び旅行の護衛だったのに、気づいたら革命軍の隊長をされられているとか、ちゃっちゃと終わらせて旅に戻りたいよ…)
旅をしていた時を思い出しながら、ゼフィー達の状態を探っていたが。
気配を全くと言っていいほど感じられなかったため、打ち切って編成が終わった軍を連れて戦場に戻った。
ーー一時間後
「歩兵の兵力は後どの位か!」
「全軍合わせて4万です!」
「政府軍はどの位か!」
「推定五万です!」
「マジか!くっ…1万の差か…ゼフィー達が早く帰ってこないとヤバイぞ!」
魔導師大隊は殆どの兵数を減らさずに戦ったが、民兵の気力が限界を迎えどんどん狩られていっている。
前線が崩れていっていき戦況は政府軍に傾いている事が、素人でもわかる状況に陥っていた。
(もうダメか…シャーロット…君を連れて旅はもうできないかもしれない…)
死を覚悟し、最後に術を両方起動して倒せる分を倒そうとした時、ある事に気付いた。
(あれ…よく考えたら術を同時に使った事が無い、仮に使ったらどうなるんだろうか?)
天啓を得たような閃きを起こし、発動してみると。
(やはり発動しなかったか……いや?微弱な気らしき物が出ている…これをどうにかして増幅すれば新たな術が作れそうだが、もう遅かったか…)
新しい術への糸口を見つけ興奮していたが、これ以上の研究ができない事を悟り気を落としていると、政府軍の方から悲鳴が聞こえてきた。
「ギャァァァ!地面が発火し始めた!」
「なんだ!敵襲か!」
「我々の軍の背後から魔導師が出てきて、攻撃し始めてきました!」
「なんだとォォ!さっさと殺せェェ!」
「いえ、勢いを止める事が出来ませんーーギャァァァ!」
ーー地を焦がしながら一つの赫い影が万物を灰燼と変え、その光景を呆然と見ている太一の元へと向かってきた。其の姿は正に赫き魔神で、観るもの全てに恐怖と絶望を与えた。
「……おい!しっかりしろ!太一!おい!」
「お前…その姿は…」
大多数の政府軍の兵士を灰に変えて、太一の所へと向かってきたゼフィーだが。
左目を真っ赤に染め、軍服を火で燃やし尽くしながら向かってきたゼフィーを見て太一が驚いていると、ゼフィーは苦笑いで答えて。
「俺の第五魔法は、色々あって制御が難しいから服まで燃やしてしまうんだ。左目は別に気にしない良いぞ!」
いつもとなんら変わりがない様子で話しかけて来たので、少し驚きを隠せなかったが、足並みが崩れている今が一番の好機と確信して、ゼフィーに連携を提案した。
「士気が下がっていて足並みが崩れている今が攻め込むチャンスだ、お前の大隊のメンバーはどこか?」
「置いて行っちゃたからいない…」
「ハァ!お前何してんだよ!」
「お前と俺で組めば大体何とかなるしいいだろう!」
「まあ…そうだけど…そういうもんじゃ無いだろ…」
「そうならつべこべ言わずに行くぞォォ!」
「おい!ちょっと…仕方がねえなぁァ!行くぜ野郎どもォォォ!」
「ウォォォォォォォォォォ!」
勢いに任せて全軍突撃を行い、一気に戦況をこちらの物へと取り返した革命軍は破竹の勢いで政府軍をなぎ倒していった。
ーー一時間後
「ハァ…ハァ……政府軍は退却したか…」
「はい…およそ残存兵力二万…全員退却しました!」
「そうか…よっしゃ俺達の勝ちだな!タイチ!」
「あぁ!俺達の勝利だ!勝ったぞォォ!」
「ウォォォォォォォォォォォォォ!」
「クソ政府軍の鼻を明かしてやったぞォォォォ!」
ーーここに政府軍と反乱軍の初の正面衝突の会戦が終わった。
反乱軍の残存兵力は三万二千六百十五人、後の兵士は戦線復帰は難しい状況だった、しかし政府軍の隊長を四人も倒しその内二人を捕虜に取るという大戦果を成し遂げた。
ゼフィーは森林で敵を避けながら裏を取ろうとしていたが、途中で完全に囲まれてしまったので作戦を変更して単騎で突入してその後ろを他の兵士が追従するという戦術を行い、結果として見事な戦果を挙げる事となった。
ーー数日後
太一とゼフィーはカロカソンーヌの城下町で休養を取っていた。
「俺は一度本部に戻ってシャーロットに会いたいね」
「ふーん、俺は女はいないからここにでも残って休息を取るか」
「お前にもいるだろう、お守りを頼まれた女が」
「アイツ〜?まあ顔は悪く無いけど性格がメンドくせえしやだね!」
「いやいや、お前にホの字だよ。あっ!走ってきたぜ」
太一が茶化していると、全力疾走で走ってきたジェーヌが泣きながらゼフィーに抱きついてきた。
「心配したんだからね!バカバカ!無理しちゃダメじゃない!」
「えっ?いや…ごめん…」
「さぁ!私と一緒に城下町回るわよ!お金は持ってるでしょ」
「おいおい強引だなぁ!あっ、じゃあなタイチ!多分次は一週間後だろう」
「またね、タイチ」
「またな、お二人さん」
手早く別れの挨拶を済ませて宿に戻り、太一はシャーロットのいる本部へと向かう事にした。
(ハァ…久々にシャーロットに会えるのか…ついでにあの姉弟も預けるか…アイツら手出しできないようにしておいたし)
日が高く登っている昼頃、太一は眠らせておいた姉弟を連れて久々の旅へと出た、自分の好きな女の子へと逢いに行くために。
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この小説は仕切り直しでポラリスーー内丹好漢録ーーで新たに再スタートを切る事になりました。
もし良ければそちらを読んで頂ければ幸いです。




