もしかして…
8月31日 夏休み最後の日
アキラは目覚める
この日は友達と夏休み最後の日を満喫することになっていた
設定していた目覚ましを止めようと 寝返りを打つが
手が届かない
(だるいなぁ 目覚ましを止めるのも 着替えるのも…)
何とか体を起こし目覚ましを止めようとすると
目覚ましは既に止まっていた っていうか 服まで着替えていた
(あれ? 着替えてったけ?)
アキラは疑問を抱きつつも
リビングに行くために階段を降りる
彼はまだ気付いていない
人間が持ってはいけない「特殊能力」それは
【一時的に移動速度がマッハ5まで増加する】
一見すると学校までの登校や
プライベートの移動 楽になると思うかもしれない
しかしマッハで動くと ソニックブーム というものが生まれ マッハ1では窓ガラスを破壊するほどの衝撃が起こる
マッハ5になると家を破壊してしまう程の威力になる
だが、彼はまだ 特殊能力 を持ったことを自覚していない 故に今はマッハ1すらも出せていない がおそらくマッハ0.1は超えているであろう
朝食を食べ終え彼は集合場所の公園へ着いた予定より
早かったのか まだ誰もいなかった
来るのは タカシ ミツル ケント の3人だ
電車で2駅程度の大きなゲーセンで遊び尽くすことになっている
(楽しみだなぁ)
アキラはウキウキしていた
っしかし遅ぇなぁあいつら
約束覚えてんのか?
すると タカシ ミツル ケント は3人で一緒にノコノコと来やがった
「ったく おせーよ どうせ3人でコンビニよって なんか買ってたんだろ? エロ本とか」
「ニヒヒヒヒ!流石は我らの友 アキラだ 正解だ〜
今回は電車内での〇〇もんだ!」
こんな奴と友達になったことを若干後悔することがある
「さて、行くぞ!今日は茜ちゃんのフィギュアを何としてでも取るぞー!」
ウキウキしていた理由はこれ
俺が大好きな異世界冒険アニメ 「ディファレント ワールド」のヒロイン 茜ちゃんのフィギュアを取る唯一のチャンスが今日だったからだ
ケント情報によれば、今日はアームが強く設定される日らしい 何故そんなことが分かるのか 気になるところだが…
この公園から駅までは10分程度で行ける
俺達はゆっくり歩きながら
最近のアニメについて語る
俺は異世界系が好きだ
いつも異世界に行けたらなぁって思ってる
もちろん 本気で行けるとは思ってない
もし、もし仮に行けるチャンスがあれば
誰よりも行きたいと思っている
そこら辺の主人公体質の奴には奪われたくないもんだ
ミツル ケントは青春ラブコメアニメ
タカシはハーレムアニメ
俺達は好きなジャンルこそ違うが
「アニメ」という共通の趣味
それだけで友達になり 仲良くしている
ふと時計を見ると 電車が出発する時間まで
残り3分を切っていた
しかし駅まではまだ後5分くらいある
「ちょっと時間がやばいから 走るぞ!」
俺はそう呼びかけ小走りをした
否 小走りをしていたつもりだった
何故か外の景色がいつもより早く動く
後ろを振り返ると
もう3人の姿は見えない
(あれ?おかしいな 道間違えたかな?)
位置情報を確認しようと足を止めると
そこは駅の前だった
なんだ 道間違えてなかったのか
ふと時計を見ると
(あれ?おかしい結構長く走ったつもりだったが
10秒しか経っていない )
時計が壊れているのではないかと確認をしたが
針はちゃんと動いているし
スマホも同じ時間だった
彼は今 自らが持つ 人持たざる能力を手にしたことを少しばかり自覚する
(? とりあえず 3人を待つか)
俺が走り始めた時刻から2分後
タカシ ミツル ケント が到着する
3人とも息が切れている
「ハァハァ 速…すぎだろ…お前 ハァハァ
お前 そんな速かったけ?走り」
(とりあえず…言っておいてやるか!)
彼は俺は胸を張り 大声で言った
「フハハハハハハ!俺は超能力を得たのだ!身体能力がアップするという異世界系アニメの主人公のような
素晴らしい能力をな!」
3人は呆然とする
ミツルが口を開く
「超能力…ってそんな馬鹿な 第一 人間はそんな能力を持てるはずがない お前の親は普通の親だろう?
遺伝でもない限り一般人が超能力を持つことはありえないはずだ!」
言い切りやがった
遺伝はありなのかよ…
内心ツッコミを入れた
「もしかして〜?俺は〜? 異世界に行っちゃうのかな〜?そんなことになったらどうしよう?
お前ら 短い付き合いだったが 友達でいてくれてありがとうな!俺は異世界で彼女を作りまくって
ムフフハーレム生活を送るわ!」
ミツル ケントは唖然とし
タカシは悔しがっていた
(ふふふ どうだ タカシ 悔しかろう 勉強では負けているが 今俺は勝った…勝ったぞ…)
「っで?いつ行くんだ? その異世界とやらに」
ケントが尋ねる
「さぁ?いつかなぁ もしかしたら電車に足を踏み入れた瞬間 俺だけが異世界に飛ばされるのかもなぁ?」
ミツル ケント タカシがため息をつく
「そんな訳ないだろう? とりあえずホーム行くぞ」
ホームへ行くと電車が既に止まっていた
「よし 異世界行きの電車に乗るぞー?」
「俺達が乗るのは2駅先を通る普通電車だ」
ケントがツッコミを入れる
ドアが開く
(よし 俺は…俺は異世界へ行くんだ…
服装はこれで大丈夫かな? まぁ向こうに行けば
服装は変わるだろう)
「何やってんだ?乗らないのか?」
ミツルが聞く
(そうだ…うじうじしていても仕方がない!
俺は ハーレムをつくるんだろう?)
意を決して俺は電車にのる
するとそこには…
素晴らしい世界が広がっていた!
何と夏休み最後だと言うのにスカスカの客席
俺達は堂々と座ることが出来たのだ!
ってぇぇええええ?
異世界じゃないのかよ!
俺は涙目になる
「あれれ?なんでここにアキラ君がいるのかなぁ?
異世界に行ったんじゃなかったけ?おかしいな〜」
3人は俺は嘲笑う
(くっそ! こんなはずじゃ…)
この時彼らは知る由もないだろう
アキラが持つ能力が世界を恐怖に陥れることを…