表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

5/61

魔力

確か外部から侵入した場合は魔力が高いほど遠くへ飛ばし、攻撃魔法などは内包する魔力が失われる距離まで飛ばされるんだったかな。


転移呪文にドレイン効果が含まれてて、排除対象の中心から発動魔力を奪うように出来てたハズ。

そんなんだから、対象物に認識された私の魔力はスッカラカンだ。


それにしても、ピンチとか感情が高ぶると前世の言葉がお口に顔をお出しになるね


“オレ”は前世も気が小さいから汚い言葉を人前では使えなかったけどね。


コメカミがズキズキして頭重たいし、コレはしばらく動けないわ。


「誰かアスピリンをくれ…」



ダイハーと一緒さ。

アスピリン持ってる奴なんか誰もいないし、コッチじゃアスピリンなんて誰も知らないからネタにもならないのがツラす。


魔力切れってのは、脳とか精神の疲弊が原因だから一度寝ない事にはどうにもならないんだよね。


気絶出来たら楽だけど、下手な場所で気絶してたら食われてこの世からおさらばさ。


寝られる場所もさがさなくちゃならないし、山がない方向に向かっていくべきか悩む。


この世界は、大陸の中央に山脈があるせいで山沿いより海に面した場所に人が集中している。山沿いにも里や、街がないわけじゃないが、未開である山や森の魔物はより強い傾向にあるから、海を目指したほうが確実なんだろうけど、草が高くて何も見えやしない。


「そういや、刃物当てられたんだっけなぁ…」


首筋を押さえて身震いを一つ。どうやら傷はないみたいだが、あの時確実に刃物は肌をなぞった。


魔法力が、そのまま防御力に転嫁すような仕組みが腕輪に組まれていたから、私は無傷ですんだ訳です。

今同じことされたら普通に首切られます。


噛まれたら死にます食われます。


あのアサシンも、首にキズを付けられなかった事に大層驚いた事だろう。


ミスリルやオリハルコンのような、それ自体が魔力をもつ魔法金属であったら少なからず血を流す事になってたんじゃないだろうか。


「…いっそ、国外だといいんだけどな」


生徒指導室に居たアサシンは公国ね軍関係者というより、暗部とか呼ぶべき部類にいるのだろう。

どこかにあるような物語に添った展開であるならば、これからは何処にいても暗部に狙われ続けるのがセオリーと言う奴だろうね。


国外に飛ばされていても、安心は出来ないけど、国内をうろつく危険性と比べたらまだマシだと言えるけど、これからの身の振り方も考えなければならないし、早い段階で公国に残してきてしまった養父に手紙を送る事も考えないといけない。


―多分大丈夫だと思うけど…。


「被害妄想に駆られた人間のやる事はひどいものだ…」


私なりに学園生活に馴染んでいたのに、なんて厄介な奴に目を付けられたのか。


相反する磁力を帯びた魔石の反発力を利用した微妙な速度で永遠に回り続ける扇風機とか、それほど頭のいい発明ではなかった筈だが、どうやら此方ではとんでもなく進んだ考えだったらしい。


因みに私では、どんなに頑張っても微風以上の成果は得られなかった。


その機構を応用した洗濯機やかくはん機の図面を纏めて提出したものの一部が、横流しされたのが始まりだったか。


全く同じ仕組みを利用した論文を、研究の成果として提出した軍の研究チームが現れたのが原因か。


…この話は不毛だから止めようか。とにかく、帰るも逃げるも人里に出なければ話にならない。


とりあえず今は歩けない無理やりにでも寝るしかない。


そこで新たな事態が発覚。


「残念なお知らせです。結局給食は食べ損ねました…」


エリックがパンを貰ってきてくれてなければ、空腹のまま草原を歩き回らなくてはならなかった。


エリックに感謝。


翌日、目を覚ました私が草原を歩き始めると、小高い丘にたどり着き少しばかり視界が開けた。

進行方向にはいかにもヤバそうな森と山が見え、反対側は平原が続いていた。


あわてて引き返す。


どうやら、都合よく願った方向に行けるとは限らないかないようである。


森に入る気にはならないよ。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ