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外堀を掘る

「ふむ、そうした話が苦手であるならば、ウチの孫のパートナーになってみてはどうかね?」


はい、此方今代のサンデック侯爵様に相談中であります。

白髪を撫でつけた老紳士、年寄りのイケメンって御方ですね。マジック・サンデック侯爵様です。

議会では“無言の重鎮”と呼ばれこの方に反対された案件はまず通らないが、何も口を挟まない案件は後によい結果得られているとの事。

養父とも交流があったらしく、図書館に保護してくれた方でもあります。


エルフとのハーフでも人間よりな顔立ちで、母親似なんだそうです。息子様のオルタ・サンデック伯爵も母に似ていて、エリックもお母さん似です。

今は亡き曾祖父の奥方に似たらしく、魔法力は高いそうですが、家族中で魔法は得意ではないと豪語しておられました。


エルフ(曾祖父)の遺伝子何処へ行った?


まぁ、エリックなんか得意ではないだけで、一般人からみたら馬鹿げた威力の攻撃魔法を放てるんだから、他の方も言葉通りではないのでしょう。


「…それは色んな意味でエリックが可愛そうです」


内年齢のカウントなしにしても私は17才、片や13の少年である。

サンデック侯爵の長男様を防壁にするなど平民には荷が重いですわ。何年かしたらエリックなら引く手数多の美青年間違いなしだろうからね。

防壁役でも、公私の役目も生まれるでしょうし、エリックのパートナーにされようものなら今度は若い娘さんからの嫉妬が凄そうで嫌だよねぇ。


女社会は新参者に厳しいらしいですし、平民なんて“あらこんな所にゴミが…”な感じでしょ。


背筋鍛えておかないと偽装ですら無理だね。



「淑女教育なんか受けてないからパートナーになっても私もエリックを困らせたくはないので無理ですよ」


ああ二人で壁の華になるか、エリックにやたら連れまわされる姿が見えるようだ。


いや、エリックの場合悪気なくパートナーとして紹介して歩きそうだし、“エリックな盾”では済まされない可能性が高いかも…。


「エリックもパートナーが出来るしいい話だとおもうんじゃがの…」


確かにいい話ではありますが、そうゆう問題ではないと思います。縁談話が嫌で相談に来たのに、上手い具合にエリックと纏められそうになる私の立場も考えてはくれませんかね。


勿論、サンデック侯爵も冗談のつもりでしょう。エリックを人身御供にどうだいなんて人の悪い言い方しませんでしょうとも。


私以外の女の子からしたら涎たらして喜びましょうな。商人や官僚の上流階級や貴族の侯爵家の後継ぎ息子なんてあーた、誰から見ても最良物件も良いところですよ。


「とにかく、上手く縁談を断る方法って他にありませんかね」


エリックを巻き込むって、早い話が私も貴族世界に踏み込むような形になるから、勘弁して欲しいです。


「しかし、エリック以外に適役もおらんからの…」


「とりあえず、誰かをあてがう方向から離れて下さいませんか?」


私的に、割と真剣に相談に来てるんで。


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