クラカオと襲撃
冒頭で一部入力場所間違えてたので差し替えました
クラカオの果実。
カカオの実と似たような物だが、熟れて割れかけたゴーヤみたいな姿をしている。
カカオより種は小さく、ココアは貴重品であるが、樹木ではなく、一年草でどこにでも生えるが故に種も量が確保し易い。
が、若い時に皮を果肉を食べるとわりかし甘いのだが、たまに酸味が強くすっぱい物もある。
因みに種は発酵させて魔法の素材として扱われている。
いや、自分の部屋で発酵させたりはしませんでしたよ?
ちょっと、実験室から自由に持ち帰りできる支給品を多めに持ち帰って夜食にしていただけです。
小遣いは貰ってたんですが、返却された衣類の中の一部が再度使う気になれませんで買い替えばかりしてましたから…。
見ず知らずの男、つまり軍人に触られた下着とか触りたくなかったのですよ。
汚物は焼却です。
「ひさびさのココアうまし…」
グラム百円ですから割と高いですが魔法素材ですから仕方ないですよね。
普通は栄養剤的なポーションに少量使うだけで、砂糖ドバドバのねっとりココアにして愛飲してるのは私位のものでしょう。
ふふ。
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虫歯になる前に!
`ω)⊃´Д)*゛,゜、゜∴(総入れ歯
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さて、現実逃避はこのくらいにして、本日ちょっとした行方不明者の捜索願いが届きました。
依頼主は、大公国のお偉いさんらしいです。
目の下にクマが特徴らしいガリガリの目つきの悪い少年を探してる様です。
なんとなく思い当たる事があります。
これ私かぬ?
もしかして、これ私かぬ?
依頼主は、最近失脚した軍部のお偉いさんらしいけど、これ私かぬ?
「館長らしいのですが、犯罪者ではないですしサムトローム側から口を挟む事はないでしょうけど…」
「ガラス割られましたよ?」
「一応、本職のバウンサーみたいですが、サンデックの施設を破壊し職員を襲った彼らは然るべき場所に送られます」
私はただの図書館職員ですが、これでも館長ですから、地方公務員のトップの一人でもあるのですよ。
だって、公認の図書館ってサンデックではここだけしかありませんからね。
私こそ、この図書館の顔です。(どやっ!
「警備を増やして、自治体にも近隣の住民にも注意するよう伝えて置きましょう」
とりあえず現状を説明すると、捜索願いが出回った日は肌寒い夜で、布団でウトウトしていたら“賞金稼ぎ”が窓を割って不法侵入してきた訳です。
バウンサーは、国家公認の下請け事業者で、個人経営の警備員みたいなもんですが、大公国のバウンサーは軍部の下請けだけあって常識がないみたいで、窓壊して侵入してきました。
しかし、割と苦労せず撃退したのですが、ガラスがさらに大破、深夜の騒ぎに気づいた近隣の住人からの通報に警備隊がやってきた所です。
時刻は深夜三時。
イマココと言うわけで、そんなありえない状況に、寒々しい風の入る定位置(受付カウンター)で、ちょっとココア片手に旅に出いた訳だ。
依頼主が、とばっちりをうけた人はわかりませんが、教頭の話していた窮地に陥っている友人の関係者なんでしょうね。
ですが、完全に逆恨みでしょう?
私の落書きとか色々持ち帰るからそうなるんです。
でも、まさかあの落書きが刺繍みたいに動き出したとかじゃないですよね。
何かあってもただの因果応報だと思うのですが、流石にあれは落書きですから大丈夫でしょうが、知らない所で悪魔の子とか呼ばれて無いと思いたいです。
人目につく捜索願いは雀の涙ほどの金額で送り届ける費用の方が高いのに、裏ギルドとかにながれた手配書では一千万超えるらしいですわ。
凶悪犯で300万いくか行かないかの時代に、賞金1000万は流石にやりすぎだと思いますよねー。
オッサンのお陰で下手こいたー、どんだけ恨まれてんのワシ?
なう。
いや“なう”じゃないくて、大事なのは今からどうするかだよ。
「でも、警備増やした所で狙われるのは変わらないのでしょう?」
「ええ、それでも館長が一人になるような状況さえならなければ、こうした強行手段行動に移る事はないかと思います」
大公国のバウンサーって、天下りした軍人の掃き溜めみたいな所で、都合の悪い事は上が処理してしまう訳で、権力を傘に着てるからか態度も横柄になってバウンサーの居る所は治安も悪い。
正直、チンピラにしか見えないんですよ。
サムトローム側のバウンサーを見た事ないから比較できないのですが、普段が普段で他国でも甘い汁と権力に前後不覚になったおのぼりさん達による襲撃の可能性は十分あると思うんですよね。
「生きて捕らえるのが基本ですから、そこまで心配しなくても大丈夫だと思いますよ?」
「そうだといいのですが…」
身柄の確保なら命の保証はあるけど、手違いでなんて平気でやるらしいですし、あんまり期待できないんですよ。
よくある盗賊みたいに味見だなんだと…想像しただけで鳥肌立ったわ。
深く考えるのはやめましょう。
「彼らどうならりますか?」
「サムトロームの法に則り、警備隊で取り調べをして、数日間は牢屋でしばらくは身柄を預かる形になりますが、有罪判決がでれば当分労働力として服役する事になるでしょう。」
「あれ、結構重くない?数日で解放されるとばかり思ってました」
「こちらにも面子がありますから、あることないこと盛られるんじゃないかと思いますよ?」
え、盛るとかなにそれ怖い。
サンデック側も日本と比べたら大概おかしい部類に入ってしまいそうなんだけど…。
時代も国も違うから、法律なんかも少し頭に入れておかないとダメだなぁ。
犯罪はまあ大概犯罪だから常識が通じるつもりでいたけど、、オッサンの世界に知識にかまけ過ぎてて今が疎かになってたね。
転生とかにせよ、大した利益ないなオッサン。
いや、オッサン顕現化出来る訳じゃないし、いま自分が危険にさらされてるのは私の不始末から来ただけの話だから、オッサンは別に悪くないか。
「わかりました。なるべく自衛するようにしますよ」
「いや、あの警備隊つきますからね。少しは同僚を信用してもいいんじゃありませんか?」
「頼りにしてますとも、ただ大公国が信用ならないだけですから。みなさんに、ケガしないでくださいと伝えて下さいますか?」
「あまり気張らないでいてくれた方が守りやすいですからね?」
「わかりました。そうさせてもらいます。」
ただ、アサシンとか来たら、警備隊を人質にするくらいやりかねないですから作戦は“命を大事に”で生きたいと思います。
「少し横にならせてもらいますね」
「はい、こちらは任せてお休みください」
「お休みなさい」
イケメンに任せて後は布団に退散です。
―やべ、あくびしたら涙が鼻水になって垂れてきたし。