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プロローグ

――太古

 星海の彼方で戦があった。

 それは、互いが互いを殺しつくす、総力戦。

 決して相容れぬ存在が邂逅してしまったが故の、鏖戦(おうせん)であった。

 そこにあるのは憎悪ではない。

 ただひたすら純粋な本能。己の子孫を生み、増やし、そして宇宙(そら)に満ちていく。

 幸運にも母星の重力の軛を振り切り宇宙へと進出したものたちは、いつしか“異種”と出会い、ニッチを巡る闘争に突入するであろう。もしそれが、ニッチを棲み分けられるものであればよい。

 しかし、同じニッチを占めるもの、あるいは決して分かり合えぬ相手であれば……互いが互いを排除するまで戦いは続く。



 これは、そうした戦いの一つであった。

 暗い宇宙空間の中、美しい光が一つ閃くたび、幾千、幾万の命が散っていった。

 両者は知略や闘争心、技術、そして生命。その持てる全てを注ぎ込み、戦った。幾度も、数え切れぬほど繰り返し……。

 そして、数多の死と破壊を撒き散らし、戦いは終焉を迎えた。

 いや……消滅したというべきであろうか。

 殺戮と破壊の末。敵味方ともに疲弊、消耗し、もはや戦闘を継続する事が出来なくなった為だ。

 あるものは宇宙へ出る手段を失い、あるものは母星を失って放浪者となった。またあるものは、次なる戦いに備えて休眠した。

 そうしてまた宇宙に静寂と平穏が訪れる。

 はたして、数多の生命を代償に捧げたこの平和はいつまで続くのであろうか……



――かつて戦場であった宙域の近傍

 銀の流星が宇宙を疾駆していた。

『コノママデハ “ヤツラ” ニ カテナイ……』

 “それ”は誰にともなく独語した。

『“チカラ”ヲ アツメネバナラナイ。……“ヤツラ”ニ ウチカツチカラヲ』

 “それ”は戦いで深い傷を負っていた。途切れがちな意識の中、その方法を思索する。

『……“チカラ”……“チカラ”ガ ホシイ。“ヤツラ”ヲ ホロボス “チカラ”……』

 と、その意識は、微かな反応を示す“何か”をとらえた。

『アレハ……。“チカラ”ヲ カンジル。マダチイサナ “チカラ”。ダガ……』

 “それ”はつぶやくと、その“何か”に意識を向けた……。

 そして、暫しの時が流れた。

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