師匠と呼ばれて 第三話
チュートリアルが終わると、通常プレイの画面に変わった。どうやら今の画面は曲を選曲するところらしい。J-POP、アニメソング、演歌、クラシックなど様々なジャンルの中から自分の遊びたい曲を選ぶらしい。だけれども、曲の種類があれど、僕の知っている曲はなかった・・・。
「まぁ、とりあえずこれでも遊ぶか」
とりあえず、オリジナルのジャンルからジャケットがきれいな曲を選んでみた。
レベルは・・・10?
曲の開始と同時に、大音量の過激な音楽、目まぐるしいほどの映像とともに出てくるtouchの文字。
(こんなの打てるわけがないよ)
僕はそう心の中でつぶやいた。
そして、曲が終了し、画面上にNo goodの文字が現れた。どうやらクリア失敗したらしい。だけれども先ほどの選曲の画面に戻り、さっさと決めろと言っているように数字のカウントが始まった。まだプレイはできるようだ。
気が付くとあれほど人が閑散としていたこのゲームの機会の周りに人がわんさかと、溢れかえっていた。そして僕の隣にある、僕と同じゲームをしている人を、きらびやかな目で傍観している。ゲームをプレイしている人はどうやら、僕がさっきプレイしたレベル10の曲をやっている。まるで機械のような動きに僕は言葉を失ってしまった。周りでそのプレイを傍観している人が口々に「さすが、このゲームの達人だよ」「あの人、人間やめてるよ・・・」と口にしていた。周りが口にしていた言葉の中で、僕はある言葉に疑問を持ったんだ。
「やべぇよ、あいつゴリラだぜ」
おい、ゴリラって何なんだよ。人間だぜ?
疑問を持ってすぐに自分がプレイしているゲームが終了していることに気づいた。どうやら、勝手に曲が決まって、勝手に曲が始まったらしい。あまり遊べなかったが、まぁ楽しかった。初めての体験だからとかではなくて、なんだか自分にあっている気がする。
とりあえず、このゲームを続けてみようかな。
とりあえず、僕は家に帰ることにした。ゴリラっていうのが何か知りたいし、今日のことを日記に書いておきたいからだ。本当に充実した日だった。夏の暑さに感謝をしたいところだよ。
・・・・ゴリラという言葉を調べてみた結果、あることが分かった。音楽ゲームでいうゴリラというのは、ゴリラ人間といわれていて、超難関譜面を難なくプレイすることができる人のことを言うらしい。
ここで、僕はある夢が生まれてしまった。僕もいつか、僕もいつかゴリラになってみたい。超難関譜面を難なくプレイするゴリラになりたい。そんな夢が僕に生まれてしまった。
その日から僕はゲームセンターに行きその音楽ゲームをやり続けた。バイトで稼いだお金を無理をしない範囲でつぎ込んだ。
そして、今に至る。