王都ヴェランリードにて
聖地として名高い王都ヴェランリードの教会は今やすっかり落ちぶれていた。王位を継ぐはずだった王子は変死し、城下町はスラム街化。裕福であった教会でさえも、貴族の寄付でなんとか成り立っているという始末だった。◆ヴェランリードの元王子専属家庭教師エステルは、修道院の問題児ノアに手を焼いていた。しかしノアの両親は、王宮のエリート僧ヴァンスの最愛の父を殺害。ヴァンスの恨みを買ったノアは、「更生」と称して死んだことにされていた王子を修道院で育てることを頼まれる。◆歪んだ教会事情に嘆き、祈り、走り回る17歳の男女と、死んでしまったことにされた「元王子」のはなし。