表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
4/4

第四章 心を動かす寝言

「お、兄ちゃん……? あれ……」

「よ、バステト! お兄ちゃんは強いんだ、そんな簡単に死なないよ」

 

 シンタローは、バステトの涙と鼻水でグシャグシャになった、顔を拭った。

 

「ほら、バステト、美人が台無しだ。顔を拭け」

「うん……お兄ちゃん……それ、欲しい」


 バステトは、俺に背中にある剣を指差した。

 バステトも人並みに戦いたいらしい、だが危険すぎる。

 可愛い妹にそんな道を歩かせるわけには……


 シンタローは、バステトの泣きそうで可愛い顔に負け。

 結局、剣を渡した。


「バステト、これはおまえにやる。だけど、無理はするな。怖いと思ったり、嫌だったら、逃げていいんだ。分かったか?」

「うん、お兄ちゃん……その時は……守ってね……」

「当たり前だ! よし、今日はもう帰ろう。疲れたしな」


 シンタローは、バステトの手を握り歩きだした。

 しかし、彼は一つ忘れている……。

 何の情報も得てない。


 シンタローがその事に気付いたのは、宿に帰ってからの事だ。

 当然、ミルフィアには酷く怒られた。

 その腹いせに、シンタローはある計画を決行した。


 (へっへっへ。ミルフィアめ。おまえの愚かさを今に見せてやろう。ベットの布団に入り込み、貴様のパンツを脱がし、その辺に隠してやる)


 シンタローは、布団の中に入り込むことに成功した。

 ここまでは、順調だ。

 そして、パンツをどんどんずらしていく。


 シンタローの手際は、まさにプロだ。

 パンツ脱がしにプロはないが……。

 そして、完全に脱がしたその時。


「ううん……シンタローのへんたーい……んん」


(寝言か……ビックリさせやがって)


「シンタロー……怒ってゴメンね……だから、死なないでね……絶対……んん」


 ミルフィアの寝言はシンタローの心を動かした。 

 一体どんな夢を見ているのだろう。

 

「勝手に、俺を殺すなよな……」


 シンタローは、パンツを履かせ、元に戻した。その時。


「ううん……ん? 誰!? きゃあああああ!!!」

「落ち着け! 俺は、履かせてあげたんだ! 信じてくれ!! グヘッッ!!」


 ミルフィアの強烈な回し蹴りが、シンタローの横腹にヒットした。

 鮮やかに吹き飛んだ、シンタロー。多分、肋骨が折れただろう。

 が、能力でコンマ一秒単位で、回復した。


 そして、そのまま眠りについた。


 朝が訪れた。天気は良く、ピクニック日和だ! 行かないだろうが。

 シンタローも目を覚ました。

 視界には、ミルフィアがしゃがんで、心配そうに見ている。


「あ、大丈夫!? 骨折れなかった!? ゴメンね」

「ああ、折れてもどうせ、治るし……俺も悪かった」

「それにしても、その能力何なの? 人間じゃないよね……それ」

「ああ、俺は、チートで出来た、チート剣士だ。しょうがない」


 ミルフィアは首を傾げた。チートと言う言葉が、理解できないのだろう。

 シンタローは、それはさて置きと、立ち上がった。

 どうやら、可愛い妹の寝顔を拝見するらしく。

 ベットに近づいた。


「うむ。今日も可愛い、将来が楽しみだ!」


 確かに可愛いが、兄としてどうかと思う発言だ。

 ミルフィアは、内心、少し引いていた。

 残念なチートと言うべきか……。


「う……ん……あ、お兄ちゃん。おはよ……」

「おはよー、バステト! 今日も可愛いな、食べたい位にな!」


 そこで、ミルフィアが会話に入り込んで、思わず口にした。


「食べっっ!?」

「例えだよ……まさか、変な事想像して……」

「してないわよ!!」


 ミルフィアは、頬を赤く染め、訴えた。

 そして、自分に言い聞かせた。

 私は、健全。私は、健全。私は、健全。と。


「お兄ちゃん……食べていいよ……?」

「いやいや、朝ごはん食べよーぜ? お腹空いたろ?」

「うん!」


 シンタロー達は、外食にしようと決め。外にでた。

 朝から外食はどうかと思うが、問題なかろう。

 三人は、適当な喫茶店に入り、朝食のサンドイッチを食べた。


「マスター。例の件の情報は?」


 ミルフィアが、喫茶店のマスターにそう言った。


「情報? 知り合いなのか?」

「ええ、どっかの誰かさんと違って、ちゃんと仕事してるんですー」

「分かったから、反省してます」

「ほんと、他に顔を見られなかったのが奇跡よ」


 シンタローは、サンドイッチを食べはじめ、バステトとイチャツキ始めた。

 それを無視して、ミルフィアは仕事を進めた。


「ああ、その件についての情報はいくつか、聞いた」

「ほんと、ありがと!」

「お安い御用だ。まず、侵入は地下通路を使えば簡単だ。だが、中に入って見つかったら、すぐに逃げた方が良い」

「どうして?」

「兵の幹部が、これまたスゴ腕らしい。最強の兵、マドレーヌ こいつと戦って、生きて帰った奴はいないらしい」


 ミルフィアは背筋が凍った。さすがに、その情報は聞いた方が良かったと改めて思った。

 そこに、シンタローが入った。


「マドレーヌって美味しそうな名前だな! 食ってやろうか! 別に逃げなくていいんじゃね? 俺死なないし」

「うーん、それもそうね! だけど、最初は隠密よ! そこは分かってね!」

「おう!」


 ミルフィアはマスターと話を付け、三人は喫茶店を出て町を歩いた。

 そして、バステトに魔法を教えようと、ミルフィアが提案し。

 皆、それに賛成して、町の外の草原に向かった。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ