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第一章 ハーフエルフの少女とチート能力

「ちょっと……大丈夫? 生きてる?」

「ん……誰? ここ……どこ?」


 青年の眠りを妨げたのは、腰まで届く薄い紫の髪に、桃色の瞳をした……女。

 しかし、耳が少し長く人間とは、形が少し異なっていた。

 眠っていた青年……黒田 伸太郎 16歳は口を開いた。


「ああ、ハーフエルフか……可愛いな、結婚してくれよ」

「嫌よ」


 ハーフエルフの女は、頬を少し赤く染め断った。

 その返事を耳に入れた瞬間、伸太郎は我に返った。


「ああ!! ここどこ!? 君は誰!?」


 言っている事は、全く一緒なんだけどと、思いつつ女は答えた。


「私は、ミルフィア そしてここは、ルーガ王国よ。あなたは?」

「え? ここ異世界!? ファンタジー!? 転生!? うおおおお!! えらいこっちゃ!!」


 ミルフィアは、少年のオタ語に理解できず、勝手にテンションが上がっている伸太郎に水を差した。


「質問を繰り返す。 あなたは誰?」

「あっ、ごめん。俺は……ファンタジーは英語表記が定番だから……」

「速く答えて!」

「ごめん、ごめん。俺は、シンタロー・クロダ シンタローで頼むよ」


 シンタローが答えた後、ミルフィアは表情を和らげた。

 可愛い、結婚したい! シンタローの脳裏にはそんな言葉が浮かんだ。

 (ん? どうして俺はこんなところに? ……記憶がない……。まあ、いっか)

 自分が、何故ここにいるかなど、どうでもよく、この世界で生きようと決心した、シンタロー。


「で、どうしてシンタローは、こんな所で寝てるの?」

「それが……記憶がないんだ。何も思い出せないんだ」

「ええっ、記憶がない!? でもまあ、少しづつ思い出せばいんじゃない?」


 シンタローは、うんと頷いた。

 しかし、また、表情を歪める。まだ、この世界について理解できてない。

 不安と心配を抱えたシンタローの表情に、ミルフィアが大丈夫と言葉をかけた。


「見つけたぞーー!! このクソエルフめ、この剣で真っ二つにしてくれるわ!!」


 王国の兵士らしい服装をした男が数人出てきた。

 シンタローはまた、訳が分からなくなり混乱した。

 ミルフィアがシンタローに叫んだ。


「事情は後で話すから、とりあえず一緒に戦って!!」

「ちょ、俺まだ何も……」


 できない、と言いかけたシンタローは背中に背負っている剣の存在に気付く。

 そして、右ポケットに手を突っ込み、1枚の紙を発見した。


「こんにちは! 君は事故で死んじゃった。だから、転生させました。理由は気にするな。僕は神です。よろしくね、本題に入るよ、君には特殊能力2つある! 嬉しいだろう? 1つ目は、自然回復能力1000万倍、2つ目は、料理の腕が一流シェフ並み! 以上、頑張れ! 神より」


「いや、適当すぎるだろ!? 具体的に説明しないと全然分かんないよ!」

 

 思わず声に出して、叫んだシンタロー。

 兵士達は不審に感じたのか、険しい目線でシンタローを見つめている。

 どうやら、仲間と認識されたのだろう。


「しょうがないなぁ……やってみるか」

「ありがとう、シンタロー! この恩はいつか……」


 ミルフィアが言いきる前に、敵陣に突っ込んで行った剣士。

 彼は、もちろん剣など使用した事なんて一度もない。

 だが、シンタローは言う。


「女の頼みは男として、絶対断っちゃあダメだ!」


 シンタローは剣を手に取り、兵士に向かって大きく振りかぶった。

 

「甘いわっ!!」


 兵士の腕前は確かだ、素人のシンタローは呆気なく攻撃を跳ね返され、衝撃で後ろによろめいた。


「隙あり!!  せええいっっ!!」

「うあああ!!」


 兵士の剣は、シンタローの胸部を裂いた。

 辺りに大量の血が放出した。 致命傷だ、誰もが死んだと思った。が。


 わずか、一秒足らずで胸部の血は止まり、傷口が消えた。

 皆が息を止めた。何が起こったのか……誰もが知る余地もない。

 だが……一人空気を読まず……。


「ぎゃあああああぁぁぁ、俺死んだあああああ!! なーんてね、予想はしてたけどここまでとは!」

「シンタロー……あなた生きてるの? 何で?」

「え、死んで欲しかった? まあ、能力みたいなもんだよ」


 ミルフィアは、笑っているシンタローを見て、最初は怖がって居たものの、一緒に笑っていた。

 シンタローは、仕切り直して兵士に飛びかかった。

 兵士は、震えながらも剣を振った。


 その剣は、シンタローに命中しているそれは、確かだ。

 だが、瞬く間に回復し、元通りになりその直後に不意を突いた、剣の一撃で敵を仕留めている。

 攻撃をしても、全く止まる事のない剣。無敵だ。


 敵の数が大幅に減ってきた所に、ミルフィアが割り込んで。


「聖なる光!!」


 叫んだと同時に、ミルフィアの手から一閃の光が敵を貫いた。

 シンタローは目を輝かせた。生まれて初めてみた現象。

 物理限界や、科学の法則を完全に無視した物、それは―


 ―魔法。それが一番相応しいだろう。

 シンタローは魔法に釘つけだ。それと、ミルフィアに。

 敵が全滅した。幸いここは人通りの少ない、裏路地だった。


「シンタロー! あなたすごいわね! 助かったわ、ありがとう」

「ああ、気にするな。ミルフィアの魔法もすげーよ」


 ミルフィアは嬉しそうに、まあね、と言った。

 可愛いいいい!!! のんきにそんな事ばかり、考えているシンタロー。

 こんな子が、何で狙われているのだろう? と疑問を隠せないシンタロー。


「それにしても、何でミルフィアは、追いかけられているの?」

「ああ、実は私…………。怪盗なのよ……」

「は?……」


 シンタローは目の前の少女から、信じられない言葉を聞き。

 

 耳を疑った。

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