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9羽



「わがっだ…わっがだからエターナルだけバッ……ぶっふぉ! ごっふぉ」

 ちょっとこの咳はあれですな、多分アレルギーの一種ですな。でも、ウサギアレルギーとか持ってたのかな。ていうか、渡されたこの丸薬みたいなのでかいな。

「噛まずに飲めよ?」

「むびばッフォ…!」

 苦しい、大変苦しゅうございます。

「はあはあ……」

 これは決してウサギたんに好意を持っているとかそういう方じゃなく、普通に死んじゃう前の息遣いだよ……。ほんとだよ!?

「もう食わせてやるから、ほら、よっと」

 あー、ウサギたんの可愛いおててが口の方へと近づいてくる。あの球体を持ったまま近づいてくる。

 それは滑らかにコーナーを駆け抜けていくレーシングカーの如く、口の近くに来た途端、速度を上げた。

「ン、ゴッホ……」

 あっれ……ゴホ。飲み、込んだ?

「オットセイ丸飲みとかやるジャン!」

「今、思いっきり手を喉奥まで伸ばしましたよね!? 一瞬仏様見えたよ! もう少しで南無阿弥陀仏だったよ!」

「のど、ぼとけ、か……るっくんも成長したのね」

 少し悲しげに遠くを見つめるその姿は、どこぞの母親のようだった。

「もう! そんな細かい指摘良いんだよ! というかなんでこれ治ってるのさ!」

「あーもう、うるさいなー。四次元から道具取り出すんじゃなくて、四次元に入れるぞこら」

 四次元のチャックをもはや開きかけているその姿は武士の居合抜きそのもの。やらなきゃ……やられる……! 

 僕は膝をつく。見えない星座のことを考えながら正座の態勢になる。十八番土下座の完成に至る。

 この話が終わったらオリオンを一回なぞろうかな……。

「すみません。ウサギた、ウサギさん。なぜこのようにもとに戻ったのか教えてください」

「やればできんじゃねえか。知りたいか?」

「はい、知りとうございます」

 この姿勢の間は相手の可愛い姿が見えないので、空想の中でウサギたんを思い描く。

 残念だ。画力が足りなかった。

「一言で言えばな」

「一言で申しますと?」

 少し頭を上げて相手の答えを伺う。母上、私は悪代官の下っ端についてしまったようです。

「俺に触ったかーら☆テヘッ」

 ズキューンッ!

「カハッ……」

「どうした、落下物! 鼻血出てるぞ!?」

「ヒトじゃ……ないっ……ブハッ」

 車に引かれたかのような破壊力、これは世界の理を変えられるかもしれない。あの魔法少女も頑張らなくていいのかもしれない。

 反り返ろうとする体を必死に持ちこたえ、サッと血を拭う。

「僕じゃなかったら、これは確実に天国のチケット握ってるね」

「そんな可愛かったか? ほーれ☆テヘッ」

 グハァ……。ピースまでお付けなさるとはぁ……。

「あ、そういえばお前のお母さんもさっき物置で倒れてたな」

「先それ言おうよ!!」                        (バ)



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