38羽
「ハア……ハア……」
くっ、ウサギたんを食べてしまいたい! こんなラブリーでキュートなウサギたんをどうして放っておくことが出来るんだろう!
ああ、憎い! 神が憎いぃ!
「……」
とんだ茶番だよまったく。なんで僕が喜劇なんてしないといけないんだ。いや、やり始めたの僕なんだけどさ。
「ウサギたん寝ちゃったしやることないなあ」
まあ、目の前のこのプリティーな生き物を鑑賞するだけでも寿命が十年は伸びそうだしいいんだけどさっ。
「おっちぃ……」
その寝言に紳士の僕が咄嗟に反応する。
「どうしたんだいウサギたんっ!」
ああ! なんて可愛らしい声で僕のことを呼んでいるんだ! やはり食べてしまいた――
「さあ、何でも言ってみたまえよ!」
「もぐもぐ……酒くれぇ」
「っえぇえ~……」
まさかのお酒ですかいっ。
「お酒はダメだよっ」
「ちょうだいぃ~」
うおっほぅっ。くっ、膝の上でコロコロ転がりながらその台詞は大戦の一つを終結させる力があるよウサギたんっ!
「おっちぃ~酒ぇ~」
「おっほうっ……」
「酒ちょうだいぃ~」
「おうっほっほぅっ……」
――暫く悶え苦しみました
「グハァッ……なんて破壊力なんだウサギたん……」
命が幾つあっても足りないなんて迷信だと思ってたけど、これは本当に幾つあっても足りないぜ……。
膝の上で眠る水爆ちゃんめっ。可愛いなこんちくしょうっ♪
さあ、だいぶ悶えたしそろそろ支度でも始めようかな。 (バ)
へい、時雨さんっパスッ!




