26羽
「うわーい! ウッサッギったんもっふもっふー」
ぎゅうっとウサギたんの手が使えないように、タオルケットで上から拘束しているこの状態、もはやウサギたんに勝ち目などないっ!
「HA☆NA☆SE! この!」
「Я неприятный(嫌でーす)」
「このくそガキが! 離せと言っているだろ! というかちょろちょろロシア語入れんなっ!」
「Вы понимаете?(分かるの?)」
「ニュアンスでならな!」
おお、なんて博識なウサギたんだ。これはもっともふもふ、じゃなくて褒めてあげないとねっ。
もっふもっふ、もっふもっふ……。
――しばらくの間、もふもふしましたー(満足)。
「もうそろそろ俺を離した方が身のためだぜ、ロシアンヌ」
「Что ты имеешь в виду(どういうこと)!?」
「もうそろそろ理由が分かるさ。こしあんが何喋ってんのか分かんねえけど」
ど、どういうことだ……。この状況から見ても圧倒的にわが軍の勝利。だが、別の懸念材料があるというのか! くそっ! 分からない! でも、もう時間無さそうだからもふもふする!
「Ураа(うらああ)!!」
「ふははは……。もう遅いんだよ、何もかもなあ……」
ウサギたんの反応が空しい! 何だろうこれ、俗に言う死んだ魚状態!? 「マグロご期待ください」。っていつの番組だよっ! 古すぎるわっ!
――バンッ!
「Пожалуйста, прекратите(そこまでよ)」
二人の営みの最中にやってきたのは白いエプロンを纏った悪魔だった。
「というか母さんもロシア語!?」
「助かったぜ母上、さあ早くこいつをどかしてくれ!」
「任せなさい!」
さっと身構える母さんの両手には世界最強の武器、フォークが握られていた。
「やっぱり母さんあれじゃん! 混沌だよそれ! 著作権言われるタイプだよ!」
「ふふふ、著作権が飛んでくる前にフォークを飛ばしてあげるわ」
「ア"ァ"ー! 僕に飛ばさないでー! ギャアアアア!」
ぐっさりです。ぐっさりと刺されてしまいますた。心の言葉を噛んでしまうくらいに痛いでござります。
「む、無念……」
「母上、スパシーバ」
「あら、ウサギちゃんロシア語まで話せるなんてすごいじゃない」
なでなでしてる母さんの姿を、微かに横目で見る。視界が歪むぅ。
「さっ、ご飯食べに行くわよ」
「待ってましたー。さあ、参ろうじゃないか」
かすれ声で最後の力を振り絞る。
「ぼ…くを……置いてかない……で……」
「いつまでそんな恰好してるのよ。早くいくわよ」
「いやいや! これ刺さってるから……あれ」
腹部に当たった感触があったのに血が出てない!
「このフォーク、刺すと引っ込むマジックフォークなの☆」
「なにそれ新しい!」
なんだかよく分からないツッコミをいくつかしながら、家族で仲良く食卓へと向かいました。
ウサギたんのもっふもふをこの手と記憶と体と心と脳内と……(ry。 (バ)




