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25羽



 それから大体一時間くらいだろうか、父さんから『悟空できたよ』とメールが来た。どうでもいいけど『御飯でしょ』と僕は返したよ。

「ウサギたんウサギたん、ご飯出来たってよ」

 僕は寝ているウサギたんを最初はゆっくりと優しく揺すり、徐々に撫でる様に触り始める。成るべく自然な感じで多めに触れる様にしないと、いきなり今までみたいにべったべた触ったら壁ハメのような抜けられないまま終わりそうだからね、僕の人生。

「ウ~サ~ギ~た~~ん」

 揺すってる間に仰向けになってしまったウサギたんの頬を両人差し指でぷにぷにする。

 そして次の瞬間僕に電撃が走った。


 ふにっ


「―――!!」

 なんだ、なんだこの今まで触れた事のない柔らかさは! こんなものがこの世界に存在するのか!?

 僕は自分の中で暴走しそうになる欲望を必死に抑えながら、優しく力まない様にぷにぷにし続ける。本当に何だこれ、新品の高級タオルの様な水の入ったビニール袋の様なスライムの様な……?

「ビーズクッション、いや違うな……って、何をやっているんだ僕は」

 本当に何と例えれば良いのか分からない程柔らかく、触り心地が良く、僕は本来の目的を忘れつつあった。ウサギたん起こさないと。

「ほら、ウサギたん僕の理性が効いてる内に起きて」

 我ながらなんて事を言っているのだろう。まあ、事実なので仕方がない事もない可能性もないとは言えないかもしれない。ややこしー。

 今度は魅惑の頬を触らずに肩を突いて起こす。うん、これはこれでヘヘヘでフフフな感じではある。

「んあー、起きる~、ぜ~?」

「Я люблю тебя!!(私はあなたが好きだ!!)」

 僕は思わず抱きついた。

「うおっ!?」

 ウサギたんは寝起きであるにも関わらず外敵(僕)にしっかりと反応し、起きている時程ではないが素早い攻撃を僕に繰り出す。

「はは!」

 僕はそれを笑いながらタオルケットをかける事で防ぎ、そのまま抱きしめた。

「何ぃ!?」

 ウサギたんが中々の迫力のある声で驚愕する。

 いや~、ここが僕の部屋だから助かったよ。何処に何があって、どうすればいいかって直ぐに分かる!

「ふっふっふ~ん、僕の勝ちだねウサギたん!」

 僕は満を持してドヤ顔を披露するが、前の戦いで既にガーゼまみれの顔には本当に似合わない顔だったと思う。         (時)



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