24羽
「振り向かなかった野郎は多分、自分も歌舞伎役者かなにかだったんだろ」
「いやいや、ウサギたん。よく考えてみよう」
「なんだ? ユーキャ〇の資格講座でもやるのか?」
「なんでそこ!? 資格講座は大切だけど振り向かなかった一人のユーキャ〇への熱い思い強すぎるでしょ! 白塗り化粧をスルーできるくらいの決意で街中歩いてるよそれ! もう家でユーキャ〇させてあげたいレベルだよ!」
弾丸のツッコミをしてしまった、テヘッ。ウサギたんちょっと引いてるじゃん。ちょっと怯えてるっぽいじゃん。怯えてる姿がかわゆす(真顔)。
「おちや君」
「おちるでいいよ」
「おつむ君」
「おちるでいいよ」
「おちむ君」
「うん、ほとんどオシムさんと変わりないよねそれ。おちるでいいよ」
「オシムさん」
「監督の名前出ちゃったよ!? しかもとうとう流れでウサギたん僕にさん付けしてたよ!?」
「もううるさいから寝ていいか?」
〝秘儀〟……速土下座。これでウサギたんも申し訳なくなって――
「とりあえず寝るからご飯出来たら呼べ」
こっち見てないっ!
「あ……、はい。出来るまで添い寝してま――」
「近づいたら分かってるよな?」
ちらっと可愛い後姿から顔をこちらに向けて、すっごく敵意に満ちた目でこっち見てるでぇ!
だけども僕はへこたれない。ここで負けたら武士の恥だ!
「愛に壁は付き物だよ!」
なんかちょっと今の主人公っぽくなかった? ないですね、すいません。
ウサギたんは溜め息を一つ吐くと、フフフッとかわい……不気味な笑い声を出した。
「次はアクアマリン根こそぎ出して、ムンクさんの叫び声聞かせてやるからな。オシムの」
「(*´ω`*)ごめんちゃい」
「おうっ! ウサギたんっ! ちょ! 待って! 今の無し! 今のなしでぇえええ!! いやぁああぁああ!」
ウサギたんの電光石火とみだれひっかきによる連続攻撃によって、利き手がもっていかれました。ついでに、顔のガーゼは剥がされ、「ウサギたん、乱暴ねっ♡」って言ったらアルコール顔にかけられた。僕は網にかかった魚みたいに、ピチピチと跳ねるのだった。 (バ)




