22羽
「それで、僕の自室に来たわけだけど、どう暴れるんだい? ウサギたんが女の子だったらこれフラグなんだけd」
「え? いや、中二病の続き読めるから来ただけだけど……」
「フェッ! いやいや、そうじゃないでしょう? ほら、これ、涙で痛む傷口を優しくウサギたんが優しく癒してくれるんでsh」
「ああ、そんなんすぐ直るから安心しな、それよりも、結構書いてるんだなエターナル」
「あの、今、機械が直るの方の意味で言ったよね! それに最後のエターナルは僕新しいあだ名なの!?」
僕の言葉を通り過ぎていく新幹線の如くスルーしウサギたんは創作物を捜索活動中だった。
「ああ、あったあった。これこれ。国王が殺されて、息子だった主人公が追い出されて、最終的には親の敵討ちをとって、めでたしめでたしっていう極めてありふれた物語だよなあ」
「ちょっと! 極めてありふれたとか言わないでよ! 結構書く人ってそういうところ気にしてるんだからね!」
超痛いところ突いてくるじゃん! もうなんだよこれ、なんか悔し涙で傷口までアクアマリンがインストールされてるんですけど……。結構傷口しみるなあ、痛みでショック死しないかなあ、ウサギたん優しくしてくれないかなあ。
「なあ」
「なんだよ、もう……」
さすがにもうそろそろウサギたんに対する態度が悪くなってきているぞ僕。可愛い生き物だったけど捨てて来ようかな。絶対捨てないけど! 懐くまで絶対離さないもんね!
「これはライトノベルとかいうやつか?」
「多分そうなると思うけど、どうしたの?」
ウサギたんは僕にトコトコと近づいてきた。歩き方かっわいいぃいいよぉおおお! これ見れただけでもう僕満足っ。
ウサギたんは僕の肩に手をポンッと置いてフッと笑う。
「ライトノベルとか絵で売れるから安心しなよ、エターナル」
「プギャァァァァアアアアァァアアア!!」
お膝が精神的にがっくんちょされた。今、内容無くてもイラストで売れるみたいなこと言われたんですけど!? その通りだけども! もうちょっと言い方ってものがあるでしょうよ! んで痛い!超傷口痛い! 精神的な痛みと物理的な痛みでアクアマリン大量だよ! 豊作だよ!
「ウサギたん、あんまり真実言い過ぎると追い出すy」
「ま、内容がダメ過ぎると絵でも売れないけどなあ」
少しの間だけ、ほんとに少しの間だけ、僕の前にヘブンズゲートが現れたのをウサギたんは知らない。
なんか神様チラチラこっち見てたもん。扉の向こうからゴミを見るような目でこっち見てたもん。あれ、多分神様の目じゃないよ、多分、人を何人か葬った人の目だよ。舌打ちしながら扉を閉められて現実に戻されたけど!
「えーっと……、あれ、名前なんだっけ。まあ、いいや。起きろ中二病ー」
「落だよ!」 (バ)




