18羽
「いや、ああいう雰囲気作った方がおっちー好きそうだったし」
「そうね、なんせエターナルだもの」
二人が「ねー」なんて言いながらニコニコしてるー。軽くエターナル挿みながら僕のこと傷つけてるし……。
「もういいよ……僕が悪かったよ。だからエター――」
「エターナルファイディシジョン改の続きでも書いたのかい?」
そう言った、そう言い放った犯人は父でした。僕は膝から崩れるような思いにされ、家族の中で公開処刑をくらうのだった。
「なんで父さんまで!?」
「そりゃ息子の部屋に如何わしい本があったら確認しちゃうだろ、父として」
「いや、あれ見た目普通のノートだから! 表紙に「数学Ⅰ」ってちゃんと書いてたでしょ!」
再び父が目を丸くする。続いて母とウサギたんまでもが目を丸くする。
「え、なんか変なこと言った?」
三人が目を合わせて何か相談している。言わない方がいいと言わんばかりのウサギたん。言って聞かせねばという表情の父。お茶を飲んでいる母。ちょっと母さんだけほんっとによくわっかんない!
「ここは俺が代表して言うしかない……」
「父上やめるんだ! そんなことしたら!」
「うーちゃんは黙って見ていなさい。これが男の、親としての務めだ」
「あなた……本当に言うのね」
「ああ」
一拍おいて父は語る。
「落」
「へぇ!? はっはい!」
急に僕が責められてるみたいで声裏返っちゃったよ! なんだよこの空気! つらいよぉおお!
「ノートのな、表紙、『数学Ⅰ』って書いてある横にな……」
「もう、もったいぶらずにさっさと言ってください! 僕が緊張に耐えられない!」
「消そうとした中二病のタイトルの名前残ってたんだよ」
僕は空中で三回トリプルアクセルを決めてから床に不時着した。けっこう痛かった……。この衝撃で、一瞬何をしていたのか忘れていたくらいに中々にハードボイルドだった。
しかし、ウサギたんが僕を現実に連れ帰る。
「まあ、若気の至りだ。気にすんなよ。あと、ノートの表紙って鉛筆で書くと消えないよね」
ヒャアア! 恥ずかしさのあまりこのまま匍匐前進で部屋まで戻って引きこもりたい。
「んじゃ、父さん風呂行ってくるね」 (バ)