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「僕の顔がおかめさんなのは今はどうでもいい! 早く母さんを助けないと!」

「えー、もっとラッキースケベタイムしたいんじゃないのー?」

 ウサギたんはそう言いながら母の周りをフラフラと歩く。ああ、蹴りたい。とてつもなく蹴りたいでごわす。すると、物置でドバァの下敷きになっている母がゴソゴソと動き出した。

「ちょっと、うるさいわね。今探してるから後にしてちょうだい」

「探し物はなんですかー」

 ウサギたんが聞く。

「見つけにくいものよ」

「鞄の中も机の中も探したけれど?」

「見つからないのよ」

 古っ! 絡み方といい、ネタといい、この二人古っ! というか母さん元気じゃん!

「さすが、今の若僧とは違うぜ」

「あなたも子どもなのによく知ってるわね。感心しちゃったわ」

「オッチードットコムシーオードットジェーピーも少しは見習えよな」

「そうよ、ODC」

「ちょっと! だからそういうアドレスみたいな名前はやめて! というか、とうとう母さんに略されちゃったよ! 息子の名前の原型跡形もないよ! というかもう母さん何も発作とか起きてないじゃんか! なんかしてやられた感じだよ!」

 はあはあ……。額の汗を拭き取り静かに二人の反応を待つ。これだけ言ったんだ。さすがにごめんなさいの一言は出てくるだろう。してやったぜ、ウサギたんと母さんめっ。

 沈黙が少し続く中、母さんが突っ込んでいた顔を出してきて立ち上がった。そして、ウサギたんと目を合わせる。ウサギたんの真剣な目が謝ろうと言っているように思えた。

 二人は同時に謝罪の言葉を述べた。

「疲れない?」

「謝罪じゃなくて気遣いかよ! そんな気遣い今はどうでもいいんだよ! もうちょっと前にそういう言葉欲しかったよ!」

 膝に手を当てて少し休憩する。持久走した時みたいに息が持たない。ツッコミスキルだけは一人前だったと思ってたのに、まさか肺活量の方で問題が起きるとは……。

「ODCも疲れてきたみたいだし、お茶にしましょうか」

「おっ! お茶とは母様中々気が利くじゃねえか」

 ウサギたんと母さんは手を取り合い、家の中へと向かっていく。

「いや、そうじゃないだろ!」

 二人に叫ぶ。二人は振り返ってこちらをきょとんと見つめる。何、純真無垢な目でこっち見てるんだよ! 

「家の中で話した方がいいでしょ? 外だとなんだし」

 普通に、普通の提案をされて、身動きが取れなかった。とりあえずその意見に賛同し、二人は和気藹々と家の中へと入っていく。僕は物置を元通りに直してから家の中へと向かった。後始末は基本僕なのは変わらないんだね母さん……。                       (バ)


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