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竈神(かまどがみ)の話

襲撃の訳。

大人しくなった竈神かまどかみは聞いてもいないのに突然の襲撃の訳を話してくれた。


「そうか、あんた美月ゆーんか。俺はな、前の神にちょっと文句があったさかい襲う様な形になってしまって申し訳なかった。」

一度しか会った事は無いけれど何か懐かしい感覚がした。この神社の前の神とあった時も感じたけれど。

「あの、えーと竈神かまどがみ…様?って一体なんの神様なんでしょうか…?」

何処か自信をもった顔付きになる。

「俺は各家の台所に憑く八百万の神!その家の幸せを守る神だ!」

業狐ごうきから光が消え、注連縄もスッと消えてしまった。

不思議な事に耐性がついて来てしまっている今、慌てるほどの事ではない。

竈神かまどがみは家内安全の神でね、火男ひょっとこのモデルになったとも言われてるんだよー」

業狐ごうきも言う様に、本当に神なんだろう。

さっきの術は期限?が切れたようで竈神かまどがみも多少動けるようになってきた。

「で、何であんなに怒っていらしたんですか?」

「いや、前の神とは少し色々あってな。今日こそは文句言ってやろうと来て見たら、成る程あいつは居ない。さては…」

少し間が空き竈神かまどがみの推理…?が始まった。

「いや、あいつが俺に『神社に遊びに来い』なんて言うのがおかしかったんだ。あいつの目的は…あんたを俺に会わせる事か!!」

業狐ごうきは全てわかっていたようで、

「主様は君がここに訪れる事を予見されていたよー」

と言う。

話に一人ついて行けていない美月は困惑するばかりだ。

気を利かせた業狐ごうきが耳打ちする。

竈神かまどがみは、あとで説明するけど顔が広いんだ。主様は竈神かまどがみの情報網を使って神護神社の世代交代を広めようとしてるんじゃないかな。」

「ふーん…?」

ブツブツ何か呟いていた竈神かまどがみは完全に動けるようになったようだ。

「まっ、あいつの思い通りに動くんは癪やけど。美月ちゃん?の神様就任はめでたいからな!広めたろ!」

そう言いながら膝を打ち鳴らして立ち上がる様はまさしく"おっさん"で、本当に任せて大丈夫かな、心配になる。

「またくるな〜」と上機嫌で帰ってくれた事にはホッとした。

竈神かまどかみさんが顔が広いって?」

業狐ごうきに尋ねる。

「あぁ、竈神かまどがみ神気分体しんきぶんたいって言う、小さな分身みたいなのを幾つも持てるんだ。それで各家庭を守護してる神なんだ。」

「全部の家の?!凄い!」

「そんな訳で分身を通して各地域の神に伝えようとしているんだと思うよー」

「え、じゃぁ私、明日には全国的な有名人?!」

「神様のなかでのね」

急に恥ずかしくなってきてしまった。

「でも、美月。気をつけてよ。」

急に真剣になった業狐ごうきにビビる。

「今日は始めて術を使ったよね。術を使うには神気が要る。今日の術は三つ。この意味わかる?」

「神気をたくさん貯めないと術が使えない…?」

「そう。しかも美月は……何でもない。兎に角、此処の神の仕事をこなそうと思えば神気はいくらあっても足りないし、術の練習だって必要だ。さっきは初めてとは思えないほどの術を使えたけれど…」

長ったらしい説明がよく分からないので、冗談で誤魔化す。

「えー、私術のセンス有るー?照れるなー」

笑ってればなんとかなる。

業狐ごうきがまた何か言おうとした時、携帯が鳴った。

早く帰るはずの私を心配して母がかけて来たのだ。

「そう言う訳だから!判狐はんきによろしく!」

「…はーい。明日は術の練習だからねぇー!」

業狐ごうき竈神かまどがみとの今日の出来事は本当に私が非日常に足を踏み入れた事の証明のようで少し怖かった。

けれど、考えれば考えるほど恐怖が増す気がして、現実から逃げる為に美月は布団に潜った。

事態を深刻に受け止められない少女の後悔はまだ少し先…。

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