日常の話
少女の日常。
「みーづきっ!帰ろうー!」
幼馴染の山口日陽に声をかけられて美月は鞄に教科書を詰める手を早めた。
「ひよちゃん、今日は生徒会も、部活もお休みなん?」
山口日陽は生徒会長を務め、弓道部でも部内NO.1の実力者である。文武両道の幼馴染を美月はとても尊敬していた。
「そう。だからさ、久々に放課後遊びに行こうよ!桜と真理も時間あるらしいから四人で!」
桜と真理と日陽、そして美月の四人は小学校からの仲良し四人組である。
桜と真理は書道部で、書道パフォーマンスで全国大会に出場したりしている。
2人は双子で、性格も顔も可愛い為、皆の人気者だ。
「いいね、それ。行く行く!」
校門で待ち合わせをして、地元のショッピングセンターでファストフード店に入って近況を報告。
やっぱりこの四人で居ると気が和む。
帰りにプリクラもとって、それぞれの家に帰る。
美月の家がある住宅街は商店街から程よく離れた場所にある。家に帰るといつもと同じように母の手作りの晩御飯を食べ、いつもと同じように宿題をして、いつもと同じ11:00に眠りについた。
そして、いつもと同じ6:30に目を覚ます。
けれど、その日こそが美月の運命の日だったのだ。
誰にでも、曲がり角は訪れる。願っていてもいなくても。
日常は容易く終わりを告げた。
ファンタジーは誰にでも訪れる。
願っていても、いなくても。