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童話 児童文学系

オレの一日の自伝

作者: 青瓢箪

ランチルームに入るといいにおいがした。


お、今日は肉だんごだ。


皿の上に、茶色の玉が三つ乗っかっている。

そのとなりにはキャベツの千切りがあった。



オレの名前は福田ノブユキ。

小学5年生だ。

勉学に励むオレたち小学生にとって、給食のじかんは息ぬきできるゆいいつの時間だ。

昼の授業のためにも、力をたくわえておかねばならない。


手を洗って席につき、当番の『いただきます』のあいさつを待つ。


よしよし、肉だんごは配膳テーブルに七つ

残っている。

確認して手を合わせ、いただきます、と合掌する。


「のんちゃん、後で肉だんごおかわりしに行こうな」


となりに座っているマサカズが言った。

うん、とうなずいてオレは肉だんごをひとつ、口にいれる。


おいしい。もごもごと口の中をかみしめる。


今日のメニューは、肉だんご、キャベツの千切り、八宝菜に食パン、牛乳だ。

八宝菜は好きだが、たまにかたくり粉の固まりが入ってるのが難点だな。

スプーンにシナチク、きくらげとともに、透明のゼリーをすくって口にいれる。


「いーちばーん」


となりのテーブルのヒロシが席を立って、配膳テーブルに向かった。


うん、うん、いつもヒロシははやい。走るのもはやい。


ヒロシが肉だんごをとって、席につくのをみて、オレは二つ目の肉だんごの半分をかじった。


オレはそんなに食べるのが早くない。

じっくり味わって食べたい派だ。


他のテーブルの男子が二人、空になった皿を持って立ちあがった。


タカノリとシゲアキだ。


これで残りの肉だんごは四つになった。


「のんちゃん、オレ先にとってきても、ええ?」


すでに皿が空になって待っててくれていた、となりのマサカズが心配そうに言った。


オレは口に残りの肉だんごをいれたまま、うなずく。


マサカズが席を立った。

これで、肉だんごは三つ。


おかわりをするには、それがのっている皿のものを全部食べてしまわないといけないというルールがある。

これは、皆の固いルールだ。


「のんちゃん、早く」


同じテーブルのユミが言った。


うん、とオレは肉だんごのとなりにある、キャベツの山を片付けにかかった。

しゃきしゃき、とかみごたえのある太めの千切りを口にいれて食べる。



配膳テーブルに、クラスで一番でかい女子のリエが近付いた。


リエは大人ぐらいの身長がある。

担任の先生より高い。


リエは、皿に肉だんごをひとつ乗せて戻った。


これで、肉だんごは二つ。


「のんちゃん、はやく、はやく」


前に座っているアヤとケイコが、一緒になって、言った。


オレの皿に、キャベツはあと半山。肉だんごはひとつ。


また、配膳テーブルに一人の男子が立った。


「あーっ、野田くん、ずるい。あんた、二回目やんかー」

「ほんまや。ずるい」


アヤとユミが叫んだ。


「ばれたか」


野田タカノリは、にやりと笑った。


「ちゃんと見ててんから」

「ズルしなや。ほんまに」


女子から責められてタカノリは


「くそ、この超エリートサイヤ人の俺様としたことが……」


と言いながら席に戻る。

タカノリはことあるごとに、ドラゴンボールのベジータの真似をする。


そうか、タカノリは二回目を食べようとしたのか。悪いやつだ。


サンキュー、と、オレは目の前の女どもに感謝の視線を送ってから、目の前のキャベツを片付けようとがんばった。


なに。


配膳テーブルに立って、肉だんごをつかんでいる四年生の男子の姿を見て、オレはおどろく。


しまった、まさか、下級生がおかわりに来るとは。


もごもご、とかむスピードを早める。


「のんちゃん、はやく」


女どもが騒ぎたてる。


まったく。

女ってのは、すぐ人のことを心配するんだから。

ま、でも、これが女どものゆいいつの良い点だといえるだろう、うん。


オレは最後のひとつの肉だんごを口に放り込み、味わう。


「のんちゃん、はやく」


せかすなって。

せっかく急いで食べても、もしおかわりが間に合わなかったら、腹と舌がかわいそうじゃないか。


しかし、やっぱりあせっていたオレは、口の中の肉だんごをのみこむと、皿に残っていたキャベツを二枚の食パンにはさんで隠した。



席を立ち配膳テーブルに行って、最後の肉だんごをトングでつかむ。


黄金色に見えたそれは、オレの皿の上にのる。



席に戻ったオレは八宝菜の残りを平らげた。


そして、肉だんごを口に放り込んだ。


肉だんごを口いっぱいに味わう。


みんなが笑った。

オレも笑った。

オレの腹の中の肉だんごも、コロコロと笑っているようだった。




……ま、オレの一日とは、こんなモンだ。

自分が子供のころのときの教育制度が一番よかった、て、思うのは、

どの世代の方も共通なんですかね。

私も、そう思います。

私が小学5年の時は、ドラゴンボール、スラムダンク、幽遊白書、セーラームーン全盛期。

クラスの男子は、放課後、いつも暗くなるまで校庭でサッカーをやっていて、先生に怒られて帰宅するのが常でした。

今みたいに、塾なんか行ってる子なんていなかったです。(田舎だから?)

変わっていくのは仕方がないけど、自分の長男が小学生になったときは、自分の同級生の男子のように、いつも泥だらけになって帰ることはないんだろうと思うと、かわいそうな気がします。

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[良い点] はじめましてm(_ _)m 小学生の給食の時間がありありと浮かぶような作品だと思いました。 主人公のちゃっかりした性格、体育が得意そうとか、クラスでの立ち位置が何となく伝わってくるリア…
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